花粉症の原因・症状と治療について | 西早稲田眼科のブログ

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花粉症とは?

花粉症とは、ひとことで表すと花粉が引き起こすアレルギーのことです。

目に関しては、花粉が抗原となって起こる”アレルギー性結膜炎”を指します。

 

花粉によるアレルギー性結膜炎では、空気中の花粉がたまたま目に入り結膜上に付着し、花粉を特異的に認識するIgEという免疫グロブリンの一種が花粉に結合し、そのIgEが結膜下の肥満細胞の表面に結合することにより肥満細胞からのヒスタミンの放出といった反応が起こります。

ヒスタミンが結膜表面の細胞にあるヒスタミン受容体に結合するとかゆみが起こります。

通常のアレルギー性結膜炎は原則として深刻な組織障害を伴わないため、治療の主な目的は不快な自覚症状(主にかゆみ)を抑えることです。花粉(季節性の抗原)が原因の場合、症状は一過性でありその時期をしのぐことができればいいのですが、通常は一定期間(花粉が存在する間)症状が続くのでなるべく長期間行っても深刻な副作用が起こりにくい治療が望ましいといえます。

 

花粉症の治療は?
 

①私生活で花粉症対策を行い、症状を和らげる方法

 

治療としてまず考えることは、アレルギーを引き起こしている抗原の除去です。

完全な除去は難しいですが、下記のような工夫で目に見えない空気中の花粉の侵入を減らすことができます。

 

花粉は外出時に曝露されることが多く、

✔︎外出時のマスク

✔︎フード付き眼鏡や

✔︎室内に入るときの着衣・手・顔についた花粉の持ち込み防止

✔︎室内の空気清浄機の使用

などが有効です。

 

人工涙液の点眼はまぶたの裏側の花粉を減らすのに有効と考えられます。

逆にコンタクトレンズの装用は花粉を長時間眼表面に留まらせる要因になります。

 

②薬物療法

 

前提として、薬物療法は原因治療ではなく、あくまでも症状に対する治療です。

根治を目指すのではなく、症状を和らげるのが目的の治療なので、必要最低限の治療で目的を達成することが要求されます。

 

副作用のリスクのある治療を漫然と続けることは望ましくありません。

 

③抗アレルギー薬の点眼

 

花粉症に対する抗アレルギー薬の点眼は、「ヒスタミンH1受容体拮抗薬」と「メディエーター遊離抑制薬」に分類されます。

 

−ヒスタミンH1受容体拮抗薬

 

放出されたヒスタミンの受容体への結合をブロックします。

症状を起こさせる反応のすぐ前の経路をブロックするので即効性が期待できますが、ヒスタミンを減らすわけではなく持続性がありません。

 

−メディエーター遊離抑制薬

 

肥満細胞からのヒスタミン等の放出を抑制します。

効果が出るまで時間がかかりますが(1~2週間)、効果は持続的です。

 

抗アレルギー薬点眼のメリットは重大な副作用がないことで、両者の特性をうまく利用して症状のコントロールができれば、リスクの少ない望ましい治療法といえます。

 

日本眼科学会によるアレルギー治療のガイドラインの上では、抗アレルギー薬点眼のみで効果が不十分な場合はステロイド点眼の併用となっています。

ステロイド点眼は抗アレルギー薬点眼よりも上流のアレルギー反応を多岐にわたって抑制します。

効果は強力ですが、重篤な副作用の可能性があり、使用のメリット・デメリットを考慮して慎重に使用する必要があります。


 
舌下免疫療法では、花粉症根治の可能性が


アレルギー性結膜疾患に対する従来の治療では症状を抑えることはできても根治することはできませんでした。

根治というのは、「アレルゲンが侵入してもアレルギー反応が起こらない体になる」という事です。

 

近年アレルギー疾患を根治する可能性のある唯一の治療法として、舌下免疫療法が開発されました。ス

ギ花粉が原因の花粉症は根治の可能性がある治療法ですが、長期的な効果を維持するためには最低でも3年間の継続が必要で、治療期間中は原則として1ヶ月ごとの受診が必要で、治療したら必ず根治に至るわけではありません。

また、可能性は極めて低いもののアナフィラキシーという重篤な反応を引き起こす可能性があります。

軽い症状の方に対して安易にお勧めできる治療ではないですが、重い花粉症でお困りの方で興味のある方はご相談ください。