安藤梢選手と田中明日菜選手が所属するドイツ・1FFC フランクフルトは、6月1日・女子ブンデスリーガ第21節のホームゲームをポツダムと対戦し、2-1で勝利。
フランクフルトは、3位ポツダムとの首位攻防戦に勝利したことにより、第22節最終戦の前に今季リーグ戦2位以上が確定し、女子ブンデスリーガ2位以上に与えられる欧州女子(UEFA Womens)チャンピオンズリーグの出場権を獲得しました。
フランクフルトにとっては3年ぶり、そして安藤選手にとっては2011年4月以来ですから4年ぶりの、欧州女子チャンピオンズリーグ出場となります。明日菜選手にとってはもちろん初出場です。
安藤選手、ふたたびヨーロッパの舞台に立ちます!
2014年6月1日
【2013-14女子ブンデスリーガ 第21節】
1.FFC Frankfurt 2-1 1.FFC Turbine Potsdam
得点:
1-0 42分 F. Alusi (Frankfurt)
1-1 61分 Own Goal (Potsdam)
2-1 90+2分 K. Garefrekes (Frankfurt)
会場/ Stadion am Brentanobad (Frankfurt)
観客数/ 7250人
[Frankfurt line-up]
01 D. Schumann (シューマン)
23 B. Schmidt (シュミット)
25 S. Bartusiak (バルトゥジアク)
27 P. Kuznik (クツニック)
11 S. Laudehr (ラウデア)
21 A. Crnogorcevic (クロノゴルチェビッチ)
07 M. Behringer (ベーリンガー)
10 D. Marozsan (マロジャン)
18 K. Garefrekes (ガーレフレーケス)
19 F. Alushi (アルーシ)
14 K. Ando
63分 S. Bartusiak → 15 S. Huth
85分 F. Alushi → 9 C. Sasic
安藤選手はFW2トップの一翼として先発出場。前半22分頃からCMFのマロジャン選手とポジションを入れ代わり、それ以降は主に守備的なMFとして最後までフル出場しました。
明日菜選手はサブメンバー入りも、出場機会はありませんでした。
試合を振り返りますー
首位フランクフルトと3位ポツダム、リーグ優勝と来季の欧州CL出場権獲得のためには、互いに絶対に負けられない一戦となりました。
試合開始から、互いに鋭い出足とスピーディなパスが行き交う、女子ブンデスリーガのトップチームどうしならではの攻防が続いていきます。
フランクフルトは序盤、クロノゴルチェビッチ選手の2度のシュートチャンスを逸すると、ポツダムに切り替えの速い展開力のあるパスを繋がれ始め、劣勢になります。
ポツダムのFWエバンス選手にゴール前で2度の決定的場面を許しますが、これをGKシューマン選手が、いずれも優れた反応によるファインセーブで防ぎ凌いでいきます。CKのピンチも死守しました。この日のシューマン選手は、身体を張った素晴らしいセービングを連発、後にチームを救う立役者となります。
ポツダムの攻勢に圧され、安藤選手は、ボールがなかなか巡って来ず下がった位置となり、前線で攻撃の起点になれません。前半22分頃、安藤選手が中盤に下がり、同列のMFベーリンガー選手とボランチを組むポジションチェンジが成されました。
安藤選手が、中盤で安定したボールキープを発揮しパスを繋いで行くと、フランクフルト全体のバランスも次第に立て直されていく様子がうかがえます。
また安藤選手が、DFラインの前で相手にプレッシャーを掛け続けることも効いたでしょうか、高い位置で食い止めるディフェンスに修正されていきました。
中盤からの展開で攻撃を押し上げ、両サイドバックの攻撃参加も積極的になったことで、前半42分に左サイドバックからゴール前まで入って来たラウデア選手がシュートを撃ち、GKが弾いたリバウンドをアルーシ選手が押し込み先制点へと繋がりました。
後半に入り60分、しかしフランクフルトは、相手DFのロングフィードにDFバルトゥジアク選手が対応を誤り、自ゴールにヘッドで押し込んでしまうオウンゴールを献上。ヘッドで当てた直後、GKシューマン選手と接触したバルトゥジアク選手は負傷退場となりました。
安藤梢選手公式サイト「世界でたたかうKOZUE」 によれば、DFの要であるバルトゥジアク選手は、膝と下肢に大怪我を負い、10ヶ月の重傷だそうです。8日の優勝を争う最終戦に来季へ向けても、チームにとって大きな痛手となりました。
同点後、安藤選手が攻撃的に前に出てプレイするなど、フランクフルトは攻勢に出ますが、なかなかゴール前に入ってまでのシュートチャンスに至れません。
ゴールの可能性をもっとも感じられたのは、安藤選手がジャストミートしたミドルシュートでしたが、惜しくもゴール左へ外れて行きました。
80分、ポツダムにDFラインの裏を突かれ、ゴール前に侵入して来たFWヘーゲルバーグ選手を、後ろからクロノゴルチェビッチ選手が倒した格好となりPKを献上してしまいます。
フランクフルトにとって、リーグ優勝を争う上でも最大のピンチを迎えましたが、GKシューマン選手がキッカーのムジェルデ選手のPKを完全に読み切って弾き返すと、さらにそのリバウンドをムジェルデ選手が押し込むのを、素早く身体を寄せてコースを塞ぐことでゴール枠上に外れて行きました。
シューマン選手のファインセーブがまたしても、今度は超絶なパフォーマンスとして発揮され、チームを救いました。
フランクフルトは怪我で離脱していたエースFWのシャジッチ選手も途中交代で入れるなど、なんとしても勝ちたい姿勢がうかがえますが好機は見出せず、時間はアディショナルタイムへと経過していきます。
アディショナルタイム2分、フランクフルトはセンターライン付近でフリーキックを得ると、ここからドイツ女子トップチームならではのフィジカルによるアクロバットな芸当により、土壇場でのミラクルをおこします!
センターライン付近から、人並みはずれたロングキック力を誇るベーリンガー選手が、ライナー性の鋭いフィードをペナルティエリア内に一気に入れると、二アサイドでマロジャン選手がDFに競り勝ち、抜群のコントロールを効かせたヘッドでゴール前へすらします。→ゴール前では長身のガーレフレーケス選手が、さらにゴール右隅を突く絶妙なすらしを効かせたヘディングシュートを合わせ、GKが飛びつくも及ばずネットに収まりました。
約50mはあるフリーキックから、1選手のアシストを介して空中で繋ぎ、ゴールにまで至りました。これだけのロングディスタンスのセットプレイを同じように決めるのは、日本女子ではまず考えられないことです。
ドイツ女子トップレベルの能力の高さを思い知らされます。
お解りづらいかもしれませんが、ガーレフレーケス選手にずっと付いていたのが、永里亜紗乃選手なのです。永里選手が身体で抑え込もうとするのをものともせず、しっかりコースに決めているのがすごいのです!
その後アディショナルタイム5分で笛が吹かれ、フランクフルトが劇的な勝利を遂げました。
追い込まれながらも、つかんだ勝利の重みは尊く、最終節へ向けての大きな励みになることでしょうー
ドイツ女子ブンデスリーガ2013-14第20節を経過しての順位です。(ピンクはチャンピオンズリーグ出場権。黄色は降格圏)
フランクフルトは、次節6月8日に最終節、2位のウォルフスブルクが対戦相手となり、いよいよ優勝をかけた大一番を迎えます!
引き分けでも優勝とはいえ、先月欧州女子チャンピオンズリーグ2連覇を達成したウォルフスブルクのアウェーでの対戦となり、総力を挙げて勝ちへ挑まなければ成し遂げられない相手であることは明らかです。
激戦必至のもと、安藤選手がどんなパフォーマンスでチームを王者へと導くのか、大いに注目されるところです。必ずや導いてもらいましょう!
安藤選手がドイツ在籍5年目にして最大の決戦の時を迎えますー