◆プレナスなでしこリーグカップ2013 第1節
2013年5月26日(日) 13:00キックオフ *鴻巣市立陸上競技場
浦和レッズレディース 0-1 スペランツァFC大阪高槻
得点:
後半28分 奥田亜希子
入場者数/ 1114人
【浦和レッズレディース・スターティングメンバー】
GK/ 池田咲紀子
DF/ 和田奈央子、堂園彩乃、坂本理保、竹山裕子(84分石井咲希)
MF/ 藤田のぞみ(89分高畑志帆)、栗島朱里、猶本光(67分安田有希)、柴田華絵
FW/ 後藤三知、吉良知夏(61分加藤千佳)
SUB/ GK 田尻有美
【FC大阪高槻・スターティングメンバー】
DF/ 9虎尾直美、2奥田亜希子、29畑中美友香、8佐藤楓
MF/ 3壺井綾子、18本田紗希(59分FW28巴月優希)、5松田望、7浅野未希
FW/ 13島村裕子(72分FW16ネット)、14丸山桂里奈
SUB/ GK1鈴木理紗、DF6平野聡子、MF25木下愛
【試合経過】 ※手時計目安で時間と状況説明がアバウトなのはご了承ください。
[前半]
6分浦和
柴田がワンツーで抜け出しゴール前に迫るがDFに阻まれシュート撃てず。
持ち直して!?ゴール脇からGK大野の頭上を越えるループを放つが、ゴール前でDFにクリアされる。
8分高槻
カウンターから丸山がミドルシュート→ゴール右外へ外れる。
17分浦和
藤田が持ち込み→ゴール前中央で後藤が受けて→左の吉良に渡り→ゴール前入ってきた栗島!?がシュートに行くが、GK大野が弾き出しコーナーに。
23分高槻
右から抜け出した壺井がシュート→ゴール枠上へ外れる。
26分浦和
右から和田→中で後藤が受けて→猶本がシュートは、DFに当たって!?ゴール左外へ。コーナー獲得。
27分浦和
左コーナーキック(藤田)に、堂園が飛び込むがDFがクリア。
28分高槻
右からのクロスに、ゴール前で島村がヘッドを合わせる→クロスバーに当たり外れる。
決定的場面。
33分高槻
左前に出たボールに浅野が追い付きクロス→ゴール前ヘッドを、浦和DFが防ぐ。
40分浦和
藤田からのスルーパスに後藤が受けてDFをかわし、吉良へ→すかさずシュートに行くがDFにブロックされる。
なおも攻勢が続いたが潰える。
41分浦和
左から後藤→吉良のスルーパスに栗島が持ち込みシュートに行くが、DFに防がれシュートが
弱まりGK大野がキャッチ。
[後半]
8分浦和
右サイドラインから和田がスローイン→猶本がDFをかわしながら持ち上がりクロス→ゴール前で高槻DFがクリア→左後ろから竹山がハイボールのクロスをGK大野がキャッチ
9分浦和
右サイドから和田がミドルシュート→GK大野がキャッチ
13分浦和
猶本がボールを奪って、柴田が持ち上がりシュートは、GK大野がキャッチ
15分浦和
高槻陣内中央からフリーキック、藤田がキックイン→ゴール前に入ってきた堂園がヘッドを合わせるが、DFがカット。
19分浦和
左サイドから加藤が一気に持ち上がりクロス→GK大野がキャッチ
26分浦和
後藤が受けて振り向きざまにDFをかわし持ち上がりラストパス→ゴール前に安田が詰めるが、DFにカットされコーナーに。
27分高槻
右クロスに丸山が詰め寄るところ、ゴール前で和田がクリアしコーナーに。
*28分高槻
左コーナーキックを虎尾がキックイン→ゴール前ニアで奥田がヘッドを合わせてゴール。
※高槻、この試合初めてのコーナーキックから先制。
33分高槻
左から巴月が抜け出しクロス→ゴール前で藤田がクリアしてピンチを防ぐ。
36分浦和
後藤が持ち上がりシュート→ゴール枠を大きく外れる。
アディショナルタイム浦和
右から石井のロングボールに加藤がゴール前に出るが、GK大野がキャッチ
※アディショナルタイム3分を消化しタイムアップー
【試合の流れ】
浦和のポゼッション、受けて構える高槻の状況が試合の経過とともに色濃くなっていく。
浦和は最終ラインでボールを回しながらチャンスをうかがうも、高槻の統一された守備意識の前に、なかなか前に持ち運べない。
次第に高槻のプレスディフェンスが効いてくると、浦和の全体のラインが下がる傾向がうかがえる。出し所に窮して最終ラインで左右に振り、前に出せない状況が延々と続くと、会場全体から冷めた雰囲気が感じ取れる。
縦にボールを入れる→2つ3つ先にパスが繋がらず跳ね返される浦和。高槻はボールを持てば、無理に繋いで
行こうというよりも、前線の脚力を活かしたロングパス主体が徹底している様子。
なんとか打開して行きたい浦和は、藤田の攻守の切り替えから前線へ通すパス、柴田のドリブル、後藤のポストプレーなどから、ゴールへ迫るチャンスを生み出す。栗島のポジショニングの良さ・後列からの攻撃参加や、
猶本の個人技から攻勢を導く。
ただどうしてもフィニッシュの際で、高槻の集中したDFに阻まれ決定機がもたらされない。
前半から後半へかけて、次第にゴールチャンスは遠のいて行き、相次ぐ選手交代からも効果はもたらされず、ゴールへの可能性を感じるシュートがうかがえなくなっていく。
粘り強く守勢を貫く高槻は、浦和の攻勢の間隙を突いて、時折鋭い速攻からゴールを脅かす。
前半28分に手薄になった浦和のDFを突いて、フリーのFW島村がクロスに合わせたヘディングシュートは、クロスバーに阻まれる。この試合両チームを通じて、流れの中ではもっとも決定的場面といえる。
後半27分、ゴール前に出されたボールにFW丸山が詰め寄るところ、和田がクリアーしてピンチを逃れる。
これが高槻の試合を通じての唯一のコーナーキック獲得。
DF虎尾のキックインに、ゴール前ニア付近でバックヘッド気味!?に合わせた奥田の弾道は、浦和DF2人の間を抜けてゴールに突き刺さる。
決めた奥田本人が、一瞬ゴールしたのか判らないぐらい、必死に飛び込んだ様子の執念のゴール。
先制後、勢いを感じさせる高槻が、浦和の攻撃を未然に断ち切り、脚力を活かした攻め上がりから後半終盤を優勢に展開する。
途中交代で入ったFWネット選手が快速を飛ばし、浦和ゴール前へ迫る場面も。
追い詰められ、さらに前に持ち運べなくなった浦和は、次第に前線へのロングボールによる放り込みが目立つようになる。
ロングボールに追いすがるも、DFにブロックされゴールラインを割り、GK大野には直接キャッチされ攻撃が潰える。
成す術がチャンスに繋がらず、時間は経過しタイムアップ、
浦和はなでしこカップ第1節を0-1の敗北で終わるー
【感想と今後へ向けて】
正直、とても残念な内容であったことは否めません。
リーグ戦での連敗続きであっても、カップ戦では心機一転、今までとは違うゴールを目指す勢いなり気持ちなりを、感じさせてくれるものだと期待していました。
しかし始まってみれば、仙台・伊賀とリーグ前半戦終盤のアウェーで見せた戦い方と変わらない、引き分けでも致し方ない勝ち点を拾って来た進め方、全体がセーフティなボール回しから入り、慎重に繋いで行く様子が目に付きました。
停滞しているチーム状態を、そのまま継続しているかのような印象であり、若いチームにあるべきアクティブさが損なわれてしまっている。
実際ご覧になった方々も、物足りない印象を大いに抱いた方が多いのではないでしょうか。
この試合、これまでと違って開幕戦の頃と同じように、GK池田がゴールキックをロングフィードせずに、最終ラインに託してから、ビルドアップしていく形を意識しているのがうかがえました。
仙台や伊賀といった強豪相手のアウェーでは、相手の前からのプレッシャーを少しでも回避するためにも、
前方へのロングフィードを多用していた感じが見受けられました。
カップ戦となり、今一度自分たちの繋いで行くサッカーを構成していく、悪くないと思います。
しかし、開幕戦の時の録画を見れば、同じ戦術だとしても動きの質の違いを感じさせる箇所がいくつかあり、例えば最終ラインではもっと頻繁に速いボールで左右に交換し合いながら、動き出しを早めるリズムを形成していたように思えます。
近距離の中盤に当て、相手マークが付いていれば戻しつつ、ギャップを探っていくのは今回も同じ意識はあるのでしょうが、以前はもっと高い位置に押し上げながら全体をコンパクトに保ち、素早くボールを動かしていく活発さを感じさせていたのではないでしょうか。
パス交換の球離れの早さを活かして相手の守備網をズラして、ライナー性のロングフィードで裏を付いて行く。今季リーグ戦初得点の一連の流れは素晴らしいものがあったのです!
しかし、裏を取られての手痛い失点があり、さらに勝てない日々が連なり、ミスをどうしても恐れてしまう・・
相手のプレッシャーの前に、萎縮しているつもりはなくとも、セーフティにボールを回さざるをえない展開に陥ってしまう・・開幕当初の若い勢いが、なりを潜めてしまった感があります。
ただ選手同士の連携の中では、今回は後藤選手と吉良選手がゴール前でのコンビネーションが目立ちチャンスを形成。あともう少しというところでゴールに迫る場面もありました!
もっとお互いの絡みが合致して行けば、ゴールチャンスは増えていくはずです。後列から栗島選手が入って来てシュートに至る場面、一連の形には質の高いものを感じさせられます。
後藤選手が、くさびで受けてから球離れよく次に繋げて展開できているほうが、フィニッシュに結びついていると見受けられます。ここを意識してほしいかなと。
柴田、藤田、猶本といったU-20組の選手たちには、相変わらず個々の受け渡しのタイミングと球離れの早さに惹かれるものがあり、互いの連携の中では独特のリズムを醸し出しています。
柴田選手の推進力がチャンスを導き、藤田選手は相手のチャンスの芽を摘み攻勢の起点となる攻守の要、
低迷はしていても今のレッズレディースに欠かせない中盤の双璧です。
猶本選手は久しぶりの先発出場。今回は右MFという慣れないポジションのせいか、なかなか試合に入って行けない印象でしたが、徐々に質の高いパフォーマンスを発揮し始めていたと見受けられました。
(それだけに途中交代は残念ではありましたが・・)
ピッチの一隅だけに偏った質の高さだけではなく、もっと全体として線で結び合えて行けるなら、現有戦力でも
格段の成長を見せる可能性はじゅうぶんにあると、この状態においても信じて疑いません!
何かひとついいきっかけが、どんな形でも、十分に守り切っての勝利でもいいし、ひとつの泥臭いゴールでもいい、チーム全体が励みとなり活気づくきっかけを願うところです。
そのためには、ベンチワークも含めて疎通よく明確な方向性を共有しあい戦っていく思い切りの良さを、本来の浦和レッズレディースの素晴らしさを蘇らせてほしい。
今回、不可解なものも含めて相次いだ選手交代には、その後ピッチ上で効果がみられず、むしろチャンスが減退していったわけで、やはり起用についての不手際は否めません。誰しもが思うところは修正してもらわなくては。
高槻側は、前回やられたぶんの対策をしっかり踏まえ、守備意識の徹底から、今季初勝利のために一丸となった必死さが試合後の監督・選手のコメントからはうかがえます。
レッズレディースにだって、もちろん悔しい意地があるはず!選手たちはホントに悔しい!
対戦相手に、今までしてやられてきたぶん、雪辱を果たしていかなくては。監督・コーチ・スタッフも全力を尽くして選手たちにいい思いさせてやらなくては。浦和の誇りを胸に、このままでいいわけがありません!
私的には降格に関係のないカップ戦なら、点を取られるリスクを背負おうとももっと前向きにゴールを奪いに行く姿を披露してほしいです。
目先の勝敗にこだわらず(もちろん勝ちたいのはありますが)、今後に繋がる活力を蓄えていってほしい。
事ここに至っては、開き直ってミスを恐れずに果敢に挑んでいってもらいたい。
現浦和のDF森脇選手は、広島時代のミシャ監督に練習でこう言われたそうですー
「何回ミスしてもいいんだよ。ミスするのがサッカーというスポーツなんだ。ミスを恐るな」
今の若い選手たちの本来の伸びやかさを再生させるチャンスは、幸いなことにあと7試合もあります。
自分たちの力で押し上げて行き、掴み取っていけるものは何より自信となれるはず!かけがえのないものです。
型だけにはまらない逞しさが養われた時、レッズレディースは必ずや再浮上していくはずです!
