◆プレナスなでしこリーグ2012 第3節
2011年4月28日(土) 15:30キックオフ
浦和レッズレディース 1-1 伊賀FCくノ一
*埼玉スタジアム2002/ 入場者数 2474人
【浦和レッズレディース・メンバー】
GK/ 山郷のぞみ
DF/ 土橋優貴、高畑志帆、矢野喬子、和田奈央子
MF/ 庭田亜樹子(70分MF柳田美幸)、猶本光、柴田華絵、安田有希(65分MF加藤千佳)
FW/ 吉良知夏、荒川恵理子(77分後藤三知)
SUB/ GK池田咲紀子、MF堂園彩乃
DF/ 15藤本綾乃、13宮迫たまみ、3小野鈴香、2山口絢子
MF/ 19小林真規子、6那須麻衣子、5宮本ともみ、10堤早希
FW/ 24櫨まどか(79分中出ひかり)、20松長佳恵(72分乃一綾)
SUB/ GK16久野吹雪、DF4道倉宏子、MF8松長朋恵
【試合経過】
※時間は目安なのでアバウトです。不確かなレポートもあります、ご了承ください。
前半5分、
伊賀、FW櫨が抜け出しゴール前に迫るが、浦和DF高畑が食い止めシュート撃たせず。浦和ピンチを逃れる。
7分、
浦和、右MF柴田からFW吉良に渡るところ、伊賀DF宮迫が競ってCKに。
コーナーキッカーMF庭田から、FW荒川がヘッドを合わせるもゴールを割る。
20分、
伊賀、右MF小林の鋭いシュートを、浦和GK山郷が防ぐ。
22分、
浦和、MF柴田が右からドリブルでDFを交わして突破→シュートを放つが、ゴール右へはずれる。
28分、
伊賀、浦和陣ペナルティエリア前、FW櫨から左のMF堤へ渡り、浦和DFを交わして左足シュート→ハーフライナー性のコースを突いた弾道は、ゴール右隅に決まり、伊賀先制。 伊賀1-0浦和
34分、
浦和、伊賀ゴールから20~25m付近左よりFK。キッカー庭田→左CKとなる。
38分、
浦和、自陣から一気に展開。
中央のFW荒川から、右を走るMF柴田へ渡り→伊賀DFの裏を突いた浮き球のスルーパスをFW吉良に通しゴール前に迫る→(DFと競って倒されながらも??)流し込んだボールは、GKの逆を突く形となりゆっくりとゴール左隅に決まる。
浦和1-1伊賀

後半2分、
浦和、伊賀陣内で左FKから、FW吉良が左サイドを突破し、後ろへ戻したところにMF庭田がシュートは、ゴール左へはずれる。
7分、
浦和、MF猶本がゴール30m付近からシュート→ゴール上へ大きくはずれる。
8分、
浦和、右からMF柴田がゴール前へクロス→ゴール前でFW荒川が頭を出すが、ボンバーヘッド1個ぶん届かずゴールチャンスを逸す。
16分、
伊賀、浦和陣内で右からのアーリークロスで左へ展開→MF堤が完全にフリーで受けてシュートは、GK山郷に当たり(?)ゴール右を割りCKに。
伊賀、絶好の決定機。
18分、
浦和DF高畑が自陣ペナルティエリア付近での接触プレイで身体を打ちつけ(腰を押えていた)、しばらく立てずにゲーム中断後、戦列復帰。
20分、浦和、MF安田OUT→MF加藤IN
25分、浦和、MF庭田OUT→MF柳田IN
27分、伊賀、FW松永OUT→FW乃一IN
28分、
浦和、右MF柴田からゴール前へ渡り、MF加藤がシュート→リバウンドをFW荒川がシュートするも、いずれも伊賀DFに至近で阻まれる。
31分、
伊賀、FW櫨がドリブルで切り込みシュートは、ゴール右へはずれる。
32分、浦和、FW荒川OUT→FW後藤IN
34分、伊賀、FW櫨OUT→FW中出IN
41分、浦和、ペナルティエリア左脇のFKから、MF柳田のキックにDF高畑が飛び出してヘッドを合わせゴールを決めるが、オフサイド。
43分、浦和、左から中→戻してFW吉良がシュートは、ゴール上を大きくはずれる。
【試合について】
浦和は、前節千葉戦で負傷した左SB竹山選手に代わり、今季新入団・アカデミー福島出身のDF和田選手を同ポジションに先発起用。それ以外の布陣に変更なし。
伊賀は、前節湯郷戦から、DF道倉選手に代わりDF山口絢子選手を左SBに起用。
FWには中出選手からFW櫨(はじ)選手に、また中盤には、松長姉妹のMF松長朋恵選手から、怪我明け今季初起用となったMF那須選手が先発となり、都合3人入れ替わっての浦和戦となりました。
キックオフから浦和は、ポゼッションを高めて攻め入ろうと、過去2戦と同じいつもの入りを見せます。
しかし程なく、伊賀の高いポジショニングから囲い込んでの組織的な守備に攻撃が滞り、伊賀の逆襲に浦和陣内を脅かされていくと、パスのつながりに冴えがみえなくなり、単調な攻撃が目立つようになります。
伊賀は、サイドや中盤に鋭い出足で数的有利をつくり、浦和の侵入に対して、ダブルチームあるいは3人がかりで阻み猶予を与えません。サイドでは外で切られ中に入れない場面が目立ちます。
なかなか中盤でつくれない浦和は、トップの2選手に放り込む状況も多くなりますが、中盤の底のMF宮本選手が常に上下を見守り、CBの宮迫選手と小野選手が受け渡しでマークに付くため、浦和のFW荒川選手がくさびから良い展開に結びつかず、FW吉良選手は前線へ抜け出してのゴールチャンスが見出せません。
伊賀は攻勢に出る時には、すばやい展開から攻撃陣が連携、あるいは個人技で鋭く切り込み、浦和のゴールを脅かします。
前半の先制と後半の決定機は、いずれもサイドからスペースを突いて浦和のDF陣を翻弄しました。
俊足で技量の高い前線は、浦和の守備陣を手こずらせ、交代するまで運動量に衰えをみせませんでした。
浦和は、左からの攻撃が封じられ中央が滞る中、早い展開から右MF柴田選手が起点となり、何度か伊賀のゴールに迫りました。(試合経過を見ていただければ解ると思いますが、左サイドから繋いでの有効なシュートの覚えがありません)
神村学園高校の先輩・後輩であるMF柴田選手からFW吉良選手へ、息の合った繋がれたパスが、伊賀DFの間隙を突いて同点に出来ました。
ですがそれ以外には目ぼしい決定機はうかがえず、CK9本の多さやFKのチャンスも活かすことは出来ずじまい。
試合終盤DF高畑選手のゴールはオフサイドで天を仰ぐむなしさ、前節の千葉戦以上に内容的に乏しく封じられた結果となりました。
【伊賀FCについて】
組織としてしっかりとした対応、個々のクオリティの高さ、今までの浦和との対戦にはない手強かった印象。
中盤に、伊賀の要である元日本代表のMF宮本選手と同じく元代表の那須選手という、このベテランボランチの起用は効きました。那須選手の球際の強さは相変わらず健在です。
右MFには、昨年から変わらず活発な攻守をみせる小林選手、左MFの堤選手は、ファインゴール以外にも鋭いサイドアタックで攻撃を活性化していました。
浦和は、中盤の機能が寸断される場面が多く、中央が空洞化してサイドからと前線への放り込みを強いられる場面も多く見受けました。
FWの松長佳恵選手と櫨選手が、積極的な攻守で絶えずプレッシャーをかけたことは、浦和の後列を躊躇させビルドアップの猶予を与えません。
堤選手と松長選手のドリブル突破は、特に目立っていたように思います。浦和は容易に止められず侵入を許していました。
伊賀のベストプレイヤーをあげるなら、CBのDF宮迫選手であり、ディフェンスで獅子奮迅の活躍をみせ、浦和を最後まで封じ切りました。
あともうひとつ先でフリーになるところで、何度も食い止め決定機を与えなかった集中力は見事でした。
荒川選手へのハードマーク、吉良選手の突破を防ぐなど、身体能力の高さを示していました。
宮迫選手とCBを組んだDF小野選手に、MF那須選手、FW櫨選手と、この4選手は元INAC神戸のレギュラーとして活躍した選手たちです。
2010年10月、ホムスタで行なわれたINAC神戸vs浦和戦。4選手はスタメンで出場し、当時の浦和の攻撃力を零封して1-0で勝利しています。
宮迫選手は左SBだった以外は、3選手は今節と同じポジションでの活躍。
この時も、浦和の1トップ荒川選手を封じ切りました。荒川選手に直に対応したCBの小野選手をはじめ、当時の経験が活かされ対策して臨めた伊賀だったかもしれません。
百戦錬磨のMF宮本選手がDFのフォローに加担することで、より強固な守備網を形成できたといえるかもしれません。
1トップだけを残し自陣にリトリートして少ないチャンスを活かしたカウンター、
許すシュート数は5本以下。
ほんの2年前に対戦したときには、たしかにそんな迫力に劣る伊賀だったと記憶しています。
今や当時とは見違えるレベルの向上を、痛感させられずにはいられませんでした。
【今節の浦和について】
相手が中盤以下を固めてラインを敷いた中に、浦和の選手がほとんど入って行けず、外側と前線に偏った状態から攻撃の仕掛けを強いられる場面が見受けました。
この数年、低迷していたトップチームで、何度もあった状況に似ていました。
サイド後ろから同サイドの前につなげば、ライン際に絞って対応されスペースがなくなることが多く、活路を見出せない。
最後列から縦一本で前線に出すと、受けたFWの個人技頼みになってしまう。
結局、中盤で優位に前を向いて先につないで行けなくなると、バリエーションある攻撃には結び付いていないのが、いまのレッズレディースにはうかがえます。
この点については村松監督が、伊賀戦の前に配布されたマッチデーニュースの中でも、前節千葉戦を振り返っての反省を語っている箇所がありー
「ジェフLは中盤でのプレッシャーや球際が強く、それをうまく回避できず、決定機を作る回数が少なくなってしまった。縦への意識が強く、相手の狙いやすいロングパスを入れ過ぎてしまった、もう少し横に動かして相手の陣形を広げてから、縦に入れていくことができれば良かったと考えています。
奪われて失点することを恐れるのではなく、我々はチャレンジする立場ですから、恐れずにボールを動かせば良かったです」
そのまま今節の反省にも思えてしまいます。
プレッシャーを回避しようと外側から慎重になってパスを置きに行く感じが随所にあり、恐れずにボールを動かすという点では欠けていたのではないでしょうか。
主導権をとってボールを動かし、ゴールチャンスのあるシュートまで至れなかったということでは、千葉戦よりも不出来だったのは否めません。
相手チームの対策が功を奏されているのは、千葉、伊賀戦と感じるところです。
ゲームの流れを呼び込もうとするチャレンジがうかがえず、単調に終始しているきらいはないでしょうか。
監督が課題とされている、相手の守ろうとする形によって、さらに攻め方に変化をつけるというところは、さらに取り組んでいってもらいたいです。
ポジションチェンジやシステム変更等、ベンチワークを駆使するのもチャレンジでは?
開幕から3戦、サブも含めてほぼ固定メンバーです。ユーティリティな戦力は豊富なのですから、いろいろ可能性を試してみて活性化するのも悪くないと思えます。
もちろん、選手たちは局面において、打開しようと懸命にがんばっているのは、じゅうぶんに伝わってきます。
だからこそ、けなげに単騎で踏ん張る場面が目立つよりも、もっと全体でフォローしあいながら押し上げる、勢いのあるレッズレディースを望みたいのです。
苦しい状況の中でも、一瞬の隙を見つけてゴールできる力は持っているのですから、ポテンシャルを活かし切れるように、徐々にでも見えてくることを期待したいです。
日々仕事や学校の両立でプロではない選手たち、まだ環境に馴染んでいない選手も多いでしょうから、偉そうなことは言いたくはないのですが、このままずるずると精彩を欠いていくわけには行きませんし、現状を克服して成長してほしいと願う思いを、今回は綴らせていただきました。
