◆2011年4月15日(日) 13:00キックオフ
NACK5スタジアム大宮
ASエルフェン狭山 0-5 浦和レッズレディース
得点者:32分庭田、51分荒川、57・75分吉良、76分安田
入場者数/ 2057人
【ASエルフェン狭山・メンバー】
DF/ 田子亜貴、柴田里美、清原祐子(82分萩原愛海)、熊谷さやか
MF/ 澤田由佳(54分高橋優子)、小林菜摘、齋藤有里(56分鈴木薫子)、薊理絵
FW/ 渡辺彩香、村岡夏希
SUB/ GK大谷明香、FW河合奈世
【浦和レッズレディース・メンバー】
GK/ 山郷のぞみ
DF/ 土橋優貴、高畑志帆、矢野喬子、竹山裕子
MF/ 庭田亜樹子(66分柳田美幸)、猶本光、柴田華絵、安田有希
FW/ 吉良知夏(76分加藤千佳)、荒川恵理子(60分後藤三知)
SUB/ GK池田咲紀子、DF和田奈央子
・前半32分
浦和が狭山陣内ペナルティエリア前左でFKを獲得。キッカーのMF庭田選手が、ゴールへ向けグランウンダーの低く弾むボールを入れると、ゴール前に出て来たFW荒川選手が合わせ損なうも、狭山GK有馬選手は前を遮られボールを後逸。庭田選手のFKが、そのまま直接ゴール右へ決まるかっこうとなり、浦和先制。
・後半6分
浦和が狭山のDFを揺さぶり崩しながら、最後はFW吉良選手から右のMF柴田選手へ渡りセンタリング→ゴール前でFW荒川選手が頭で合わせて左隅上へ2点目。
・後半12分
MF柴田選手から右で受けたMF猶本選手がゴール前へのクロス→FW吉良選手が飛び込みワンとラップから右足でゴール、左隅へ3点目。
・後半31分
MF柴田選手からゴール前右へ絶妙な縦パス→FW吉良選手が抜け出てグラウンダーのシュートは、ゴール左隅サイドネットに鮮やかに決まる、4点目。
・後半33分
FW後藤選手が狭山DFを振り切りシュートは右ポストに当たるも、MF安田選手がリバウンドに詰めてゴールへ押し込み会心のガッツポーズ、5点目。
「みんなで浦女を楽しもうぜ!」
試合前の挨拶に訪れた選手たちに掲げられた横断幕、
これは、昨年選手たちが辛そうにプレーしている感じがうかがえた応援の中心の方々の中から、もっとゲームを楽しんでもらおうと励ます思いで掲出された横断幕なんだそうです。
2012年開幕戦、まさにそんな思いを具現化した痛快なゲーム内容に、見る者をじゅうぶん堪能させてくれました。
試合は、予想通り浦和のポゼッションに対し狭山が食いつき逆襲をうかがう展開が多く、狭山は何度かサイドを突破して上がりゴールへ迫る場面もありましたが、さらに繋いで有効なシュートにまでは至りませんでした。
狭山の決定機は、前後半に1回ずつ。
前半序盤に、ゴール左前から放ったシュートが浦和のゴール上方を突くも、GK山郷選手が渾身のジャンプではじき出すファインセーブ。後半には、浦和DFがペナルティエリア前での横パスをカットされシュートされますが、グラウンダーのボールを山郷選手が右横へ好捕し難を逃れました。
時間が経過するにつれ、浦和がゲームを支配する時間帯が多くなり、後半はほぼ狭山を制圧したといってもいいでしょう。
前半、あともう少しのところで噛み合わなかったいくつかのゴールチャンスがありましたが、後半は球際の強さが上回り、迅速で濃密なパスワークが冴え渡ることで狭山守備陣を崩し、次々とゴールが産み出されました。
好状況をもたらしているのは、浦和のセンターラインがしっかりと基幹を成していること。
CBの高畑選手が最後列から活発にボールを動かす起点となり、セントラルMFでは猶本選手が動き回り、戦況に応じた的確なボールを供給し攻守を司る、センターFWの荒川選手がポストとなりキープできる強さを発揮する。
新戦力の高畑、猶本選手と復帰した荒川選手が加わったことで、センターラインに厚みが増した印象です。
昨年より明らかに、中央縦へのグラウンダーのくさびを入れていますし、あるいは低空ですばやいフィードをGKとDFの間隙へ狙ってFWを走らせているのが窺えます。
高畑選手のメリハリある挙動に、同列CBの守備を統括する矢野選手がバックアップに専念できていましたし、猶本選手の安定感もあってか、同列MFの庭田選手が積極的にタッチライン際に開いてサイド攻撃を効果的にサポートできる。また、荒川選手や途中交代で入ったFW後藤選手がDFを引き付けることにより、同列2トップのFW吉良選手のDFラインを抜け出す動きを際立たせていたと見受けました。
それぞれが相乗効果で良いパフォーマンスが引き出されている、ちょっと誇張し過ぎかもしれませんが、攻守における懐の深さが昨年とは違います。嬉しいです。
中央が強固になったことで、いずれかのサイドが空き、敵陣深くまでサイドから侵入できる場面も何度かありました。
左サイドハーフの安田選手が積極的に仕掛け、右ハーフからは柴田選手がすばやくはたいて決定機を演出。2選手の良い特色も引き出されています。
神村学園高校出身で先輩後輩のFW吉良選手と柴田選手(吉良選手が1年上)の間隙を突いた絶妙な連携は、ゴールにも結び付きましたし今後も楽しみなホットラインとなりそうです。
浦和は加点していくにつれ、さらに狭山陣内へ圧力をかけ、プレーする時間が長くなっていきます。
狭山守備陣が、自陣ペナルティエリア前でボールを回しながら、2,3トラップして受け手を捜していると、容赦無い浦和のプレスが襲いかかります。
奪い捕られて展開されピンチを招き、また苦し紛れに前方へパスを出しても繋がらずタッチラインを割っていました。
応援するチームがゲームを支配し、観戦者が次へ展開する期待通りにボールが繋がり、意外性あるフィニッシュの数々に魅せられる。期待は高まりワクワクさせられます。
空いたサイドスペースを的確に突きゴール前へ迫る、ペナルティエリア前では密集の中、ダイレクトに折り返されたスルーパスにゴール前での決定機をつくる、あるいはまたFWが粘りに粘って振り向きざまの力強いシュートを放つ。
たとえ重厚に盛られたアフロなボンバーヘッドが、クロスバーに阻まれゴールに至らなくても、後半においては次から次へと作り出されるゴールチャンスに、時の経つのも忘れて魅了される至福のひとときを、応援するもの皆が共有できていたと実感できました。
ゴールラッシュに、ゴール裏はお祭りでしたから。(あ、メインスタンドからじっくりとは、やっぱ見れなかった性分の私でした…)
選手たちに感謝です!
トップチームに負けず劣らず、レッズレディースも格段に面白くなってきています。
もちろん、これからの対戦相手によってはじゅうぶんな力を引き出せないこともあるでしょうが、選手個々のクオリティは高く、自らが担う役割をきっちりと把握し果たしている様子の見受けるぶん、昨年開幕から序盤戦のような消極的な不安定さはうかがえません。そう思えるし確信として抱きたいです。
トップチームで活性化を促している槙野同様に、早稲田大で主将を務めディフェンスリーダーとしてチームを牽引してきた高畑選手が一押しです。
とてもデビュー戦とは思えない堂に入ったプレーぶりは、すでに全体を包容し統括する雰囲気を醸し出しています。
アグレッシブに前に出てすばやい攻撃を促し、守備ではピンポイントのスライディングでボールカットなど、随所に魅せ目立っています。
前半に一度、するすると上がって来てミドルを放ちました。GKに難なくキャッチされましたが、まだまだこんなものではないはずで、今後さらに機をうかがってのゴールへの貪欲さを見せ、いずれセットプレイからは、得意のヘッドが決まる時が訪れるでしょう。
至近で対峙しても、物怖じすることなく果敢に挑む姿勢。この開幕戦でも仰向けにぶっ倒されましたが、程なく立ち上がり、平然とプレーを続行していました。
『女闘莉王』
浦和のファイティングスピリットを継承する闘将が、これからのレッズレディースを熱く盛り上げてくれる予感です。
おそらく、また見に来てみたい、お客さんを呼び込める逸材だと思えるのです。
入れ込みすぎて飛び込んで交わされることはあるかもしれませんが(笑
これから克服してもらいましょう、面白い存在であることは確かです。
試合を経るごとに、少しずつ、したかかに上位をめざして、レッズレディースは順風にスタートを切りました。