昨日、国立へ行って来ました。
海外クラブのレディースチームを見る機会は初めてです。
どんなサッカーするのか興味有り、また、日本のチャンピオンチームであるINAC神戸のサッカーが、どう対抗するのか、今までにない新鮮味がありました。
INAC神戸のスタメンはー
-------------大野-------------
川澄----チソヨン----南山----高瀬
--------------澤--------------
那須----田中------甲斐-----近賀
-------------海堀-------------
フォーメーションは、リーグ戦でお馴染みの形で変わらず基本4-1-4-1。
実際は、川澄ー大野ー高瀬が同列の3トップに、チソヨンー澤ー南山が中盤で活発に上下しながら、4-3-3で動いている時間が多いですかね。
FWとMFが縦横無尽に入れ替わり、近賀選手や田中選手、那須選手といったバックス陣が、ポジションを越え厚みのある攻撃に加担してポゼッション優位に進める、そんな感じでしょうか。
さて、アーセナルはー
こんなフォーメーションで興味深かったです。
11ヤンキー-------16リトル---------9ホワイト
----------------8ノブス----------------
-----17チャップマン------4ラドロー--------
19ファーヒー---5フラーティ------7グラント----2ハウトン
----------------1バーン---------------
4-2-1-3という、女子サッカーでは見慣れない形。
前線の3人がほぼ同列で、リトル選手とノブス選手が上下することが多く、4バックは基本的にフラットにラインを保ち、サイドバックは目立った上がりを見せませんでした。
*TOYOTA Vitz CUPのプログラムに選手プロフィールが載っていたので、スタメン選手をちょっと紹介しときます。
(生まれた年/身長/前所属/代表歴)
◆GK;エマ・バーン
1979年生/183cm/フォルツナ・イェリング(デンマーク)/アイルランド代表
◆DF;
ステフ・ハウトン
1988年生/170cm/リーズ/イングランド代表
キーラ・グラント
1978年生/173cm/セント・パトリックス(アイルランド)/アイルランド代表
ジリー・フラーティー
1991年生/168cm/ミルウォール/U23イングランド代表
ニーフ・ファーヒー
1987年生/170cm/ソルトヒル・デヴォン(アイルランド)/アイルランド代表
◆MF;
ジェーン・ラドロー
1979年生/173cm/ニューヨークマジック(USA)/ウェールズ代表
ケーティー・チャップマン
1982年生/170cm/シカゴレッドスターズ(USA)/元イングランド代表
ジョーダン・ノブス
1992年生/160cm/サンダーランド/U20イングランド代表
◆FW;
レイチェル・ヤンキー
1979年生/163cm/ニュージャージーワイルドキャッツ(USA)/イングランド代表
キム・リトル
1990年生/161cm/ハイバーニアン(スコットランド)/スコットランド代表
エレン・ホワイト
1989年生/171cm/リーズ/イングランド代表
メンバーのうち、現イングランド代表(フル代表)選手は4人、アイルランド代表3人、ウェールズやスコットランド代表選手もいて、UK全土から優秀な選手たちが集ってる感じですかね。
INAC神戸に、どう対抗していくのか注目でしたがー
INACのポゼッションに対して、FW陣が(特にセンターのリトルとトップ下MFノブス)INACのDFMF後列に食い付いて行き、INACがさらに前に進めて行くところを、体格の優るMFラドロー選手とチャップマン選手らが連携して挟み込んで、複数でプレスを掛けていく。
170cm級のDF陣は、出来るだけ高いラインを保ち1列になっての対応。
DF4人とボランチの2人がほとんど守備を専任し、3トップとトップ下が攻撃的に動き回る、前後の役割がはっきりしたオーソドックスな印象がありました。
攻撃時は、あまり手数を掛けずに、長いボールを前線やサイドに入れて展開していく。
カウンター主体の攻撃でしたが、FWヤンキー選手はテクニックとキープ力があり、FWリトル選手がよく動いて前線を活性化させ、またMFノブス選手が前線への繋ぎ役として有効にだったと見受けます。
実際ノブス選手が、後半の同点時に速攻からラストパスを出して、途中交代のFWビージー選手がゴールを決めていました。
人数をかけての堅守から、中盤でパスを回すより、長い一本入れてを主体に攻撃陣の個人能力に託すのは、ドイツやUSAでも同様で、イングランドのアーセナルにも同じシンプルさは感じました。
欧米人のミドルシュートは、キック力があるだけに大きな武器になりますし、フィジカルで強引にゴールを脅かす強さがある。チャンスが少なくとも一発で決める力はあります。
ですが、攻撃に機動性がある方が、見る者を湧かせ魅了します。
素早くパスを繋ぎ、ダイアゴナルにゴール前を陥れていくINAC神戸の攻撃力にはスピード感があり、先先のパスを受ける動き出しが備わっているから、ゴールチャンスに意外性を感じられるのです。
序盤のアーセナルのプレッシャーから、徐々に慣れてくると、サイドを生かして活路を見出し、いつものように裏を突いていく。あともう一歩のところでゴール前フリーになる場面を何度も作っていけるのは、潜在的な組織力の違いを見せ付けていました。
チソヨン選手は、来日してからずいぶん成長したのではないでしょうか。
何度も中盤からの起点となり、パスを出して前線へ上がり、また受けてからゴールを目指す一連の瞬発性が、とても優れています。
澤選手が上がれば、後方を埋めるポジショニングを怠らず、それは同列のMF南山選手も同様で、近賀選手が上がった後の右サイドを補っていますし、アイナック神戸が補完しあう中盤の構成は、見ていて面白いと思います。
アーセナルは速攻を受けると、DFとMFの間がぽっかり空いて、そこにくさびをつくったINACが、起点にして自在に展開できる機会が多かったのですが、引いたDF陣が結果的にはフィニッシュを容易に許さず、チソヨン選手の突破による1失点に抑えたこととなりました。
ですが、主にサイドから入って来る、川澄、大野、ソヨンといった選手たちを捕まえ切れることが出来ていませんでしたし、サイドの裏を突かれて危ない場面が多々あり、またパスミスからピンチもありで、INACにもう少しシュートの精度があったのなら快勝できていたでしょうか。
ただ最後を食い止めていたのは、アーセナルのGKバーン選手の好守によるところは大きいでしょう。
上背があるだけではなく、ゴール前への飛び出し、ポジショニングの的確さにより、川澄、大野選手らのシュートがぶれた一因もあるかと思います。
(川澄選手のループは、触っていたのでクロスバー上に外れたのですね。後から知りました。)
欧州で日本より優っているのは、GKの質が全体的に良いということ。
これは男女に関わらないことで、ドイツ、フランスに、そしてイングランドでも、女子GKはレベルが高いことを再認識しました。
(GKバーン)
勝って欲しかったです。
じゅうぶんに勝てた相手であり、なでしこジャパンを培ってきたものは、クラブチームが切磋琢磨してきた証であることを海外に知らしめるに十分な出来のサッカーだっただけに、結果としてアーセナルに勝つことで報道のされ方も違ったはず、もっと注目を受けてほしかったと思うのです。
「強豪アーセナルに健闘」という言われ方に、違和感を覚えてしまいます。
なでしこリーグのサッカーのほうが、全体的に質が高く、個々の技術も上ですし、しっかりした戦術の上で戦っていると自負してもらいたいです。
アーセナルは、今季の2011~2012UEFAチャンピオンズリーグで、後藤史選手が所属するスペインチャンピオンのラーヨ・バジェカーノに勝ち、ベスト8に進出しました。
昨夜アーセナルに対し、内容的には優勢だったINAC神戸は、欧州ではベスト4には入れる力が十分に備わっているとみます。
これから世界へ、
日本の女子クラブチームが席巻する時代が幕を開けた、昨夜は記念すべき一戦であったでしょうか。
日曜日に対戦するベレーザには、ぜひ勝ってもらいたいと願っておりますー
木龍がDFを切り裂きそうです(o^-')b