西の なおみ トランジション日記。 -4ページ目

西の なおみ トランジション日記。

府中市議会議員 西の なおみ のつれづれ日記。
持続可能な地域社会への移行。
食、経済、エネルギー、職を地元・府中で循環させて地域力を高めよう!

2017年9月に食品表示基準が改正・施行され、国内で作られたすべての加工食品に対して、原料原産地表示を行うことが義務付けられました。

消費者庁「新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報」によるとパンや豆腐などの加工食品については、原料の原産地が海外であっても、国内で製造を行った場合に原産地を「国内製造」と表記してそれを原産地とすることが許されています。

また、無添加や化学調味料不使用の表示は、意図せぬ混入があるかもしれないという理由で表示ができなくなり、遺伝子組み換え食品についても、これまでのように「遺伝子組み換えでない」という表示ができなくなりました。 

こういったことから、消費者は安心な食材を選ぶにはどうしたらいいのか、戸惑っている状況があります。 

また、学校給食においても、食品表示の変更によって安全性が確保できなくなるということを防がなくてはなりません。

消費者が知る権利を保障し、また子どもたちが口にする学校給食の食材の安全を確保するために質問しました。 

 

市として食品表示基準の改正についての問題や課題について把握していることや懸念していることがあるか。

食品表示については、多くの市民が困惑している状況がある。食品表示基準は食品に関する情報を得て、消費者が自主的な食品選択の機会を確保するために食品表示法に基づき定められたものである。

改正により、わかりにくいという相談がきており、市民への周知が課題と捉えている。 

食品表示は消費者が食品を買う際に情報を得るための重要な媒体であるが、原料原産地に関する情報がわかりにくいといった意見が多いことを懸念している。 

 

学校給食について。 2020年第4回定例会で、学校給食食材について聞いた。 

国産食材の使用率の変化は。

 99.8%から99.0%と若干減少した。

 海外の調味料としてデミグラスソースや甜麺醤や、アレルギー対応の卵不使用のマヨネーズ風調味料を使うことになったため。 

 

国産食材使用についての割合は

金額ベースか重量ベースか 府中市では重量ベースで算出している。 

 

調味料の材料の産地は把握しているか。 

加工品は主原料の場合、個々の原材料の産地まで把握することは困難。

 

給食センターからの納入食材について、納入のルールやチェックはどのようにしているか 

契約業者から商品規格書も提出を求めて確認している。 

令和5年10月の産地偽装の件により、給食用物資規格基準書に、不正な行為に対して厳正に対処することを警告する文言を追記し、食材の品質や安全性の確保を徹底した。 

 

「商品企画書」の項目はどんなものがあるか。遺伝子組み換えであるかなどの確認はどのように行っているか。 

主原材料の配合率や産地、加工地、アレルギー物質(特定原材料等28品目)に該当する品目、栄養成分、製造過程を示した図など。 産地や、遺伝子組み換えであるかどうかということは、不明な点があればその都度業者に確認している。

 

 ゲノム編集食品についての扱いはどうか。 

ゲノム編集食材については、厚生労働省に相談し、食品等調査会に対し、食品安全委員会にかける案件に該当するかの意見を求め、該当する場合は諮問し、優良と判断された場合のみ流通が可能になることから、市場に流通している食材ゲノム編集食材であっても国が安全性を担保していると捉えている。 

 

すでに学校給食にゲノム編集食材が使われているのか。納入の際にはチェックしないのか。

現在はまだ使用していない。納入の際は遺伝子組み換え食品の表示は確認している。ゲノム編集食材は国が安全性を担保している。 

 

米の納入について「あきたこまちR」を学校給食で使う可能性はあるか。「あきたこまちR」について現場で得ている情報はあるか。 

食材の剪定は、毎月PTA代表や給食主任の先生方、給食センターの栄養士、調理員で構成する食材選定会で選んでいる。 

「あきたこまちR」については、国が安全性を担保しているので、事業者から提案があれば選定する。

「あきたこまちR」について現在把握している情報はない。 

 

 

質疑を終えて

 

最近、店舗で売られているパンや麺類などの加工食品の原材料欄に「国内製造」という表記が見られるようになりました。

これは2017年9月に改正された食品表示基準が2022年4月に全面施行されたことによります。消費者庁は原材料として使われている原料の産地を国別、重量順で表示して、消費者の合理的な食品選択に貢献するとしています。

しかし、実際は、パンなどの加工品については、原料の原産地が海外であっても、国内で製造を行った場合は原産地を「国内製造」とすることになり、例えばパンであれば、アメリカやカナダから輸入した小麦を、日本で製粉した場合は「国内製造」という表記になっているのです。 

2016年に消費者庁が調査を行った際には、「原料原産地情報を参考にする理由」を聞いたところ、65.4%の人が「減量が国産のものを選びたい」と答えています。つまり原料原産地表示を正しくすることで、消費者は国産原料商品を選択し、国内の農業振興につながり、ひいては食料自給率アップにつながることになります。 

しかし、実際は多くの消費者が「国内製造」という表記を誤解していることが民間の調査でわかりました。

街頭調査では、実際のパンの原材料表示を見せて「国内製造」の意味をどう理解しているか聞いたところ、

「国産小麦だと思う」人が3分の1、輸入小麦だと思う人が3分の1、生産地はわからないとする人が3分の1という結果でした。 国産小麦、と誤解している人が3分の1もいるのは問題だと思いました。 

 

遺伝子組み換え食品については、昨年の3月までは、大豆・とうもろこし、それらを原材料とする加工食品について、分別生産流通管理をして意図せざる遺伝子組み換え農産物の混入を5%以下に抑えている場合、「遺伝子組み換えではない」などと任意表示することが可能でした。

しかし、その後、「遺伝子組み換えでない」と表示できるのは、「5%以下の混入」から「不検出」に厳格化されました。 実際、輸入される大豆やとうもろこしの多くは遺伝子組み換えの作物になっており、大きなコンテナなどで運ばれてきます。遺伝子組み換えでない作物を輸入する際に同じコンテナを使うこともあるために、どうしても「意図しない」混入がおこってしまうこともあります。そうなると、それは「遺伝子組み換えでない」と明記することはできず「分別生産流通管理済み」といった表記になり、遺伝子組み換えをしているものは「遺伝子組み換え不分別」といったような表記になります。 

素材が国産で、しっかりと管理された中で生産されたものであれば不検出で、「遺伝子組み換えでない」という、これまで通りの表示ができますが、国産であっても、加工の段階で微量に検出されてしまうと、そのような表示ができません。 

 

私が国産にこだわる理由は、一つは残留農薬の問題です。

アメリカやカナダでは収穫を効率的に行うために、収穫直前にグリホサートという農薬を散布することが認められており、農水省は調査でアメリカ・カナダ産小麦の9割以上からグリホサートが検出されたと報告しています。

小麦のグリホサートの残留基準値は30ppmですが、これは2017年に6ppmから引き上げられており、基準を超してはいなかったとしても成長期の子供が食べる給食パンで、こういった農薬が検出されるのは問題があると思います。 

2019年に農民連食品分析センターがおこなった、学校給食パンの分析では、輸入小麦を使ったパンの全てで農薬が検出されましたが、国内原料のものについては一切検出されませんでした。日本国内では、そもそも小麦などに対してグリホサートを直接散布することは認可されていないからです。 

大豆等についても、海外では遺伝子組み換えのものが多く流通していますが、これは、グリホサートなどの除草剤を使っても枯れない遺伝子を組み込んだものであり、この農薬を散布すると、雑草だけが枯れて除草の手間が省けるというものです。 2015年にWHO(世界保健機関)の専門家機関がグリホサートを「発がんのおそれあり」と評価したことで、世界は規制強化の方向へすすんでいます。子供への発達の影響も心配されています。 アレルギーの対応と違い、遺伝子組み換えや外国産の小麦を使った食品を、微量に摂取しても、緊急の事態にはならないと思います。しかし、長年食べ続けた場合の結果がわからないというところで、やはり慎重でありたいですし、知らないうちにたくさん食べてしまっていたということがないように、表示をしっかりとしていくことが必要だと思っています。

まずはゲノム食品であることを納入業者から明らかにさせること、そして安全性に不安があるものは使わないということを徹底すべきです。

 

秋田県は「あきたこまち」の交配種である「あきたこまちR」を奨励品種に採用し、2025 年産から全面的に「あきたこまちR」に切り替えることを決めました。品種改良についてはイオンビームを照射して突然変異を起こす方法が取られます。

放射線を照射して突然変異を起こす方法自体は、以前から使われている手法でありますが、この手法を使っていても、使っていなくても、「あきたこまち」と表記して流通させることになっています。この件についても消費者が選ぶことができないところに問題を感じています。

地元の有機農家の中には、従来の品種を育てる予定でいるけれども、品種改良を行なったものとは別にしてほしいと訴えている方もいます。消費者も、選んで購入できるような表示を求めています。 

また、今回行われる、重イオンビーム放射線育種の手法でつくられたあきたこまちRは、特定の栄養素が少なくなるという特性があると聞いています。学校給食においては、栄養素を計算された上で献立を作っていますが、その際にも、使う食材の特性がきちんと知らされ、納入の際に確認ができなくてはならないのではないでしょうか。 

そういったことからも、まずは原材料として使う食材の産地や出自について、食品表示をしっかりとしていくことを求めていってもらいたいと思うわけです。

 

今回は消費者庁が定めた食品表示基準の問題から、学校給食食材の安全性の問題など多岐に渡って質問をしました。

消費者が食について選ぶ権利を求め、そのためにも適切な食品表示を求めているわけですが、消費者庁は、事業者の声を優先して取り入れているように思えます。原産地表示を厳密に行えば、商品ラベルを頻繁に印刷し直さなくてはならないので、表示したくない、 また国産を求める消費者が多いから、一目で「国産でない」ことがわからないようにしたい、といったような事業者の都合されているのではないでしょうか。

農家さん、生産者からも声があがっています。 遺伝子組み換え食品についても、国産であれば遺伝子組み換えの作物は作れないはずなのですが、5%のルールを撤廃したばかりに、外国産と同じ「分別生産流通管理済」の表示になってしまえば、せっかく国産で頑張っている生産者さんも救われません。 国産を望む消費者が多いわけですから、そこをまずわかりやすい表示にするべきです。また、あきたこまちについても、秋田県で有機農業に取り組んでいる農家さんたちの中には、引き続き、在来種のあきたこまちを作り続けたいとおっしゃっている方もおられます。しかし、食品表示上では重イオンビーム照射のあきたこまちの品種と、見分けがつかなくなってしまいます。 

消費者としても、従来のあきたこまちを選びたいと思っても、選ぶことができなくなってしまいます。 私たち消費者が、国産や有機の農産物を選んで購入することが、今の日本にはとても必要だと思いますが、この制度ではそれも叶わなくなってしまいます。 

食料自給率が低い日本では、農産物を国産にできるだけ切り替えていくことが喫緊の課題ですが、それに逆行した国の政策になっているわけです。 

国内の安全な農産物を増やすためにも食品表示の見直しを国に求めていただくことと、子どもたちが毎日食べる学校給食については現在の食品表示の基準に惑わされず、市として率先して安全性を確認し、遺伝子組み換えやゲノム編集食品がこっそりはいっているということがないよう、厳しい基準を守ることを要望しました。

質疑の様子は動画で見ることもできます。