●PFASと人工芝の問題(2025年3月議会一般質問) | 西の なおみ トランジション日記。

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府中市議会議員 西の なおみ のつれづれ日記。
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府中市の2025年度予算に市民球場の人工芝化として8億4278万円が計上されました。

人工芝といえば、マイクロプラスチックの問題。そしてアメリカではPFASの使用による被害も出ており問題となっています。

日本で禁止されているPFASはPFOS、PFOA、PFHxSの3種類のみ。しかし、PFASはもはや1万種類以上も存在していて、私たちの暮らしに欠かせないものになっているという事実もあります。

その扱いを適切にして、自然界に流出させないことが大切だと思います。

府中市の考えを聞きました。

 

府中市内で人工芝を使っている施設はどのくらいあるか。また、対策をしていることがあるか。

市民サッカー場、庭球場12ヶ所。主要なスポーツ用人工芝メーカーでは、使用禁止のPFASは製造時に使用しておらず、試験でも検出されていないと報告されている。

 

今後、人工芝を新たに使用する予定があるか。

2025年度に市民球場のフィールド部分等を人工芝化する他、既存の庭球場も老朽化した人工芝の張り替えを行っていく。

 

有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。その中で日本ではPFOS、PFOAそしてPFHxSは3種類について製造や使用が原則禁止されています。しかしながら、紫外線に強い、水や油などの液体をはじく、粘着力が小さいといった性質から、似た科学物質は数多く使用されているのが現状です。欧米では有機フッ素化合物の総称としてPFASが使われており、関連する物質も使用しないような規制をかけることが進められています。なので、日本で製造が禁止されている3種類のPFAS以外にも注意が必要です。

人工芝について言えば、マイクロプラスチックの問題がすでに議論されており、環境省も人工芝からのマイクロプラスチック流出防止のリーフレットを配布するなど対策をしているようではあります。

2024年イギリスのバーミンガム大学の研究チームはマイクロプラスチックと有機フッ素化合物が結合することでより有毒性が高まると発表しています。またマイクロプラスチックは海洋汚染だけでなく、細かい粒子になり空気中に舞っており、体内に取り込まれると血液内に入って動脈硬化や脳卒中などの原因になっているとされています。2月3日にNHKクローズアップ現代で放送された内容では、血管中のプラークにマイクロプラスチックが含まれていた人が半数。そういった方は、心筋梗塞や脳卒中などの大きな病気になったり亡くなるリスクが4.5倍も高まるとのことでした。

 このようなことから、人工芝についても対策が必要です。

すでにサッカー場や庭球場、また民間の施設などでも使用されているわけで、そういったところへの対策も必要ですし、市では新たに市民球場の人工芝化の予定があるとのことですので慎重な判断をすべきであります。

 

人工芝化する場合と天然芝のままで使う場合の費用面について。初期費用、年間のランニングコスト、貼り替えの際の廃棄物処理等の費用について人工芝と天然芝のコストについて知りたい。また、耐用年数はどのくらいとなるか。

人工芝 市民球場人工芝化改修工事 8億4278万円 ランニングコスト1600万円

天然芝 ランニングコスト2200万円

10年後の張り替えの際の廃棄物処理は人工芝、天然芝共に5000万円。

 

10年間にかかる費用を計算したところ、人工芝にした場合は総額で約10億5000万円、天然芝のままですと、2億7000万円ということで、

人工芝にすると、天然芝のまま使うより約4倍ものコストがかかる。

 

 

ここまで費用をかけて、人工芝にするためのメリットがどういうところにあるのか。

天然芝の場合、養生やグラウンド整備に休場期間が必要。人工芝であれば、雨天等でも早期に使用が可能になることや、メンテナンスが容易になりコスト削減になる。イレギュラーバウンドも生じにくくなる。

 

 

天然芝の場合に使えない日数はどのくらいあるのか。

1月から3月まで約70日と、雨天の場合の135時間

 

 

マイクロプラスチックの問題として認識していることや、対策についての考えはどういったものがあるか。

マイクロプラスチックの発生源の一つとして人工芝があること、海洋生態系への影響が懸念されていることは承知している。

市民球場の人工芝化にあたっては、各種ガイドラインを参考に設計し、対策を進める。

 

 

 私の意見指差し

環境省が公表している「マイクロプラスチックの流出防止に関するリーフレット」では、マイクロプラスチックの定義を「5㎜未満まで小さくなった プラスチックのかけら」としていますが、マイクロプラスチックの問題は、目に見えないほど細かく粉砕されて海に流れ出る場合もありますし、、空気中に舞う微細な粒子が、人の体内に取り込まれることにも問題があることが明らかになっています。つまり、目に見える大きさだけでなく、もはや見えないレベルの小さなマイクロプラスチックが人の健康に直接及ぼす問題が注目されているわけです。

環境省が出している「衣料品から出るマイクロプラスチックの流出防止リーフレット」を見ても、より細かい0.05㎜のネットでマイクロプラスチックを下水に放出しないことを推奨しています。

テニスコートの人工芝について先進的に進めている多摩市の「テニスコート砂入り人工芝におけるマイクロプラスチック流出抑制対策ガイドライン」においても、ネットを細かくすれば、豪雨などの際にテニスコートが冠水するなどの問題が述べられていて、問題を解決することの難しさを感じます。

 

いろいろと人工芝の問題についてメリットも含めて聞きました。有機フッ素化合物PFASについてはこれまで問題になっている通り、一度自然界に入ってしまえば除去することは困難で水は大気を汚染し続けます。

そして張り替えた後の人工芝は簡単に燃やすことができず、広大な埋立地に埋めなくてはならないなど、廃棄に問題が残ります。

人工芝は季節や雨天などの天気に左右されず使用できるなど、便利なものだと思いますが、その代償はあまりに大きく、代償を払うのは次の世代の子どもたちです。今が便利ならいいのか、環境のために一度立ち止まり、本当に人工芝を敷く必要があるのかどうか、考えるべきです。

プラスチックに太陽光が当たると、メタンやエチレンなどの温室効果ガスを発生させ、地球温暖化にもつながります。気候危機が急速に進む中で、ゼロカーボン宣誓を行う府中市が、地球温暖化を進めるというのは、政策に逆行しています。将来の負の遺産を残さないためにも、人工芝の使用を中止することを要望しました。

 

質疑の動画はこちらから見ることができます。