●DV等支援措置について(2024年6月議会一般質問) | 西の なおみ トランジション日記。

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府中市議会議員 西の なおみ のつれづれ日記。
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DVやストーカー、虐待の被害者の方達を保護する「DV等支援措置」は、加害者などから住民票などの閲覧や交付を制限する制度です。さまざまな困難を抱えた方にとって必要な制度にも関わらず、手続きの仕方がわからない、また手続き時の負担が大きく、一人で手続きするのが難しいといったことが課題とされています。この制度を必要とする人が安心して利用できるようにするために府中市での運用状況について確認しました。

DVやストーカー、虐待などの被害を受けている方の相談はどの部署が担当になりますか。

相談窓口は男女共同参画センター「フチュール」の女性問題相談であり、男女を問わず相談を受けている。

 

DV等支援措置の対象者数の推移は

 

DV等支援措置ではどのような手続きが必要か

総合窓口課にて2種類の書類を渡し、警察署等から申請内容の事実を証明してもらい、市の窓口に提出して支援を決定する。

 

 

行政のミスによって加害者に住所を知られてしまうという事故が、全国各地で、たびたび起こっているが、こういった事故を防ぐために、市としてどのような対策を行なっているか。

関係課で組織しているDV連携会議で情報共有を行い、各課の業務システムで、住基照会画面上に注意メッセージを表示して注意喚起する。

 

マイナンバーカードやマイナポータルについて情報漏洩が危惧されるが、どういった点に留意が必要か。

支援措置を決定すると住民票などの証明書交付や閲覧に制限がかかるのでマイナポータルの情報閲覧が使えなくなる。コンビニ交付サービスも使えない。

 

DV等支援措置は1年ごとに更新しなくてはならないとされているが、継続の状況はどうか。また継続するために必要な手続きはどういったことがあるか。

多くの対象者が継続している。手続きは、支援措置期間が終了する1ヶ月前に初回同様の書類を送付し、警察署等で証明してもらい、市に提出する。

質疑を終えて

 

 民間支援団体の認定も可能

 

 

行政や警察などによる聞き取りでフラッシュバックに苦しみ、支援措置の申請を諦める人もいる。

被害の認定は、被害者支援を担う民間団体などでも認められていますが、総務省が各自治体に通知しても浸透せず、行政の窓口では『まず警察に行って』と言われるケースも多いと言います。

府中市でも民間団体の認定が認められているケースもありますし、近隣市では、虐待によって引き起こされた精神疾患をもとに、精神科の医師による意見書が認められている例もあります。警察署に向かうのが難しい方について配慮を求めました。

 

 情報漏洩の防止対策は

府中市では、2017年に他市から避難している方の書類を誤って加害者の住所に送ってしまったという事故が起こりました。過去に一般質問で取り上げました。

この際には、システムの改修時のミスをチェックできなかったことと、発送時の引き抜き作業にミスが重なったことが原因でした。当時は発送に関わる業務を外部業者に委託している部署は18課にも及び、主管課が個別に委託しているものについては詳細な委託内容は主管課しか把握していない状況でした。住基情報は庁内の多くの職員が扱うにもかかわらず、個人情報、特に支援措置を受けている市民の命、安全に関わる場合があるということが十分に共有できていなかったのではないかと思います。

 

 

相談員と行政の担当者の連携が十分ではないケースが多い。被害者がどういう生活を強いられているのか、行政の担当者には想像力を働かせることが求められている、とお茶の水大学名誉教授の戒能民江さん。

庁内で、命に関わるような市民の情報を扱っていることや、被害者の大変な状況を

 

 マイナンバー制度の危険性に備えて

マイナンバーカードの利活用が広がることで情報漏洩の危険性が高まることが懸念されていますが、特にDV被害者の方にとっては身の安全を守るためにも、十分な情報提供が必要だと思います。支援措置を受けると、マイナポータルは使えず、マイナンバーカードを保険証ととしても使うことはできません。

さらに気をつけなくてはならないのは、職場の健康保険証を使っている方は、医療機関を通じて情報が見られる可能性があるので、情報を不開示にする手続きが必要ということもあります。

支援措置を取らずに避難している方については、マイナポータルでの代理人の設定をしていると、情報を加害者に知られてしまうといったこともあります。

さまざまな危険性を、申請する方に丁寧に周知する必要があります。

 

 長期間続くDV、ストーカー被害

DVやストーカー被害は1年で終わるわけではなく、加害者に居場所を知られる恐怖は何年も続きます。

警察署で手続きする際には「現在、被害を受けているか」どうかで措置の必要性を問われることが多く、過去の被害を証明することや精神的な虐待を理解してもらうことが難しく、つらい体験を何度も話すことで2次被害となってしまい、その結果、措置を受けることを諦める人もいます。

そこで、被害者を支援している団体、ゆずりはでは「支援措置サポートブック」を作成し、先ほど申し上げましたように民間支援団体などでも支援措置に必要な認定を出すことができるといったことを広めようとしています。相談を受ける職員の方にも広く周知を求めました。

 

 女性が安心して相談を受けられる窓口の設置を

女性だけでなく、男性もフチュールで相談を受けられることがわかったのですが、このことについては、広く周知していただくことについては課題もあると感じました。

現在、都内、また多摩地区で、困窮した方が弁護士などに相談ができる相談会が行われていますが、DVや性被害を受けた女性からの意見から「女性のための女性による相談会」として、相談員や弁護士などもすべて女性で行なったところ、多くの相談者が参加するようになっています。

そこでは「男性がいると怖い」「女性だけしかいないから安心して相談できる」と言う声が聞かれています。そういったことから、男性からの相談窓口については、例えば「福祉総合相談」の窓口で受けられるようにするなど工夫が必要と思います。

 

「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が今年4月に施行されました。DVや虐待は女性だけでなく、男性からも相談がありますが、社会的な状況から困難を抱えやすい女性が多いのは事実だと思います。性暴力被害や、非正規雇用率の高さなどもあります。そういったことからも、この女性新法の理念を生かし、女性も誰でもが困った時に相談し、暮らしを立て直せるような支援を求めていきます。