有機農業が盛んな町 愛媛県今治市 | 心と心のふれ合いを大切に 新潟市西区 西原歯科医院 

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天然の歯はかけがえのないものです。皆様の健康に少しでもお役に立てるよう頑張ります。

 

首長の明確なビジョンと実行力、それを支える人々のお蔭で、食の安全が担保されている町のお話です。以下引用です。

 

愛媛県今治市は、瀬戸内海を望む風光明媚で温暖な土地で、人口約15万人。今治市といえば、「今治タオル」を真っ先に思い浮かべる人が多いと思いますが、実は有機農業が盛んな町でもあるのです。

 

学校給食が。有機に変わるきっかけになったのは、自校方式の給食を公約に掲げて市長選に立候補した岡嶋一夫氏が初当選を果たした頃からです。岡島市長の誕生が、今治市の学校給食を地産地消・有機化と導く大きな一歩になったといいます。自己方式にすることで、調理師一人当たりが担当する調理食数は約70食と、大型の学校給食センターに比べて約1/3になるため、手作業での調理がしやすいといったメリットもあるそうです。

 

今治市で地産地消有機給食が始まって5年後の1988年、今治市議会は「食糧の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」を全会一致で採択します。この宣言は「日本の食糧自給率が非常に低いこと」「輸入食物には防腐剤、殺虫剤等農薬が残留しており、国民の健康を害していること」などが明記され、「安心・安全な食料を安定的に供給することは市の役割である」ことなどが謳われています。 1980年代後半は、アメリカから輸入されるレモンに散布されている防カビ剤OPPなどの発がん性が問題になっていた時期でした。こうした背景も都市宣言を採択する後押しになったのではないでしょうか。

 

地産地消の有機給食を導入した岡嶋市長は、1989年に引退されましたが、そのスピリットは次期市長の繁信順一さんに受け継がれ、「今治市地域農業振興会」を設立。この振興会が主催となり、地域の有機農家を育てていったのです。 1999年には今治市の学校給食全てのお米を今治市産の特別栽培米に切り替えることに成功します。特別栽培米というのは、農薬や化学肥料の窒素成分量を慣行栽培基準の50%以下に抑えて作ったお米のこと。当時、繁信市長が割高で米を買い取るなどして作り手を増やして行ったそうです。お米の次に始まったのは小麦の栽培でした。小麦は有機栽培ではありませんが、輸入小麦などのようにポストハーベストの心配はありません。さらに、地域のレストランが使用するなどして地域活性化にもつながっていったそうです。豆腐に使用する大豆も今治産に切り替えることに成功しています。 

 

2006年には「食と農のまちづくり条例」が制定されたのです。この条例は「地産地消の推進」「食育の推進」「有機農業の振興」を3本柱に捉えており、有機農業の妨げとなる遺伝子組み換え作物の栽培を規制する画期的な内容となっています。私(著者の山田正彦先生)が感嘆したのは、今治市の承諾なくして遺伝子組換え農作物を作付けした場合、半年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるという点です。市長の食の安全に対する断固とした思いが伝わってきます。このように、今治市は学校給食の地産地消、有機化を起点に、地域全体の食料自給率を上げ、地元経済を発展させています。(p189~196)