コロナ以外にもいろいろあり、どこにも出かけず競馬(川崎、佐賀、高知のネット中継)と読書三昧の正月です。
※かわいい仔牛ちゃん。
昨秋、遠藤周作の未発表作品「影に対して」が出版されました。
長崎放送の特集番組をたまたま見ていて、長崎で遠藤周作の未発表原稿が公開されたということを知りました。
ご子息も出演されていました。
早速、アマゾンで検索してみると、新潮社より単行本が発売されていました。
kindle電子版で購入しました。
最近、重たい単行本は敬遠しがちです。
文庫本になったら、「だぶる」けど購入します、たぶん、きっと。
副題が<母をめぐる物語>とありまして、表題の『影に対して』のほか、新潮社の編集で母を主題とした短編いくつかが掲載されています。
あくまでも小説なので、「母」が亡くなる時期や飼い犬の「名前」なんかは作品ごとにまちまちで、事実とは異なるようです。
ただし、作者の精神世界の深淵部分の構築に深くかかわる母や家族への思慕と葛藤、そして宗教との距離について、少年時代の思い出とともに、丁寧な筆致で描かれています。
<書評から>
「人生」を燃焼させようとする烈しい母、「生活」を大事にする父。二人が離婚した時、幼い息子が強いられた選択は、やがて……。今年発見された未発表の中篇小説「影に対して」をはじめ、母を描いた名作を集成。『沈黙』や『深い河』の登場人物が結局キリストを棄てられなかったように、母と別れることは誰にもできはしない――。
◇目次
影に対して
雑種の犬
六日間の旅行
影法師
母なるもの
初恋
還りなん
◇作者紹介 遠藤周作
(1923-1996)東京生れ。幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、11歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』『スキャンダル』等。1995(平成7)年、文化勲章受章。1996年、病没。
※丑年なので、見島牛(日本の在来種)登場。おとなしくて小さな牛で、さわったことあります。
私の読書感想を簡単に記しておきます。
描かれているのは、「留学」、「沈黙」、そして「黄色い人」と重なるテーマあるいは出来事であり、あるいは取材の様子なども知ることができました。
私は遠藤作品だと、三部作「死海のほとり」「イエスの生涯」「キリストの誕生」が特に好きですが、本作は、多くの人が悩めるコロナの時代に思いやりに満ちた(多数派であろうマザコン男性には福音とも読み取れるかも?)贈り物だと感じました。
私は個人的に『雑種の犬』に強く心奪われました。
とても悲しい話ですが、戦中戦後の苦しい時代の現実であったのだと理解します。
遠藤の研究対象でもあるサド作品や、ニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」も並行して読んでます。
サドもニーチェも分厚いし、わかりにくいので、時間かかってます。


