赤いカブ | 永劫回帰

永劫回帰

価値なき存在

 
 
 
赤いカブに風防が似合うかと訊かれたのは、いつのことだったろうか。
 
記憶は定かではないが、返答は当時も今も変わらない。
 
カブこそが風防のもっとも似合うバイクであると。
 
そんなことをなんともなしに思い出しながらSNMの街を歩く。
 
この街は周辺を少し含めても約30㎞²の広さで、海からなだらかな坂道が、やがて急峻な山系へと続く。
 
歴史ある街並みが人々を呼ぶのであろうが、わたしにはさして興味のあるものではない。
 
元々この街が好きだから歩いているわけではないから。
 
では何故、坂道を行ったり来たりといつもいつも徘徊しているのだろうか。
 
その答えを見つけるために、休日を海と山に挟まれた街で過ごしているのだとしたら、愚かしい限りだ。
 
そう言えば、赤いカブなんて郵便配達員のもの以外、一台も見ないな。
 
空模様が怪しくなってきたようだ。
 
ギャラリーカフェで目を醒ますとしよう。