◇現代人は、食べすぎによってみずからをダメにしている


 多くの人は、食べることによって栄養を補給し、エネルギーを蓄えているい
ると信じて疑わない。言いかえれば、食べることで健康を維持しようとしてい
るのである。

 <食べることの欠点>
 ①内臓の疲労がはげしくなる
 ②頭の働きが鈍る
 ③血液が汚れる
 ④生活の中で大幅に時間をとられる

大きなものとしては以上のようなことであろう。
 ①について…
 私たちの内臓は一日とて休むことはない。毎日3食を摂り、それを消化する
ために胃や腸は休むことなく働いている。これでは食べれば食べるほど内臓が
疲労を重ねていくと言ってもまちがいないであろう。
 常に胃腸を健全な状態に保つには、定期的な断食で胃腸をゆっくり休ませ、
機能を回復することではないだろうか。

 ②について…
 食事の消化には、多量の酸素を必要とする。その分だけ、脳に回る酸素の量
が少なくなってしまうのである。これでは、残念ながら頭の回転がよくなるわ
けがない。
 頭の回転をよくするには断食が最高なのだ。

 ③について…
 さらに食べ物は血液を汚すという欠点を持っている。特に肉類は血液を酸性
に変えてしまう。日本人の血液はもともと弱アルカリ性(pH7.4)で、その
状態を保つことが最もよいとされている。
 西洋文化が日本文化に深く入り込み、日本人特有の西洋びいきが、「肉こそ
最高の食べ物」と思わせ、肉はいままで食卓に欠かすことのできないものにな
った。しかし、肉だけを西洋にまねても、西洋人の賢い食生活を完全にはまね
ていないのである。
 外国人は肉を食べるとき、同時にアルカリ性のワインや生野菜を大量に摂っ
ている。それに比べ、日本人はせいぜい生野菜を小皿に少々食べるだけであ
る。
 これでは血液は汚れほうだい。血液が汚れると、頭は鈍り、体調は悪くな
り、いつも体がだるく、そして病気にかかりやすくなってしまう。
 現代人が病気になりやすい理由──それは”食べ過ぎ”ているからだ。

 ④について…
 日本の裕福さは、その食生活に著しくあらわれた。しかし、すべての人が好
きなものを好きなだけ食べられるようになったいま、太古の昔から食を断つこ
とで健康を維持してきたという歴史の事実を、いつの間にか忘れてしまったの
である。
 食べることで脳の働きが鈍り、食べることで疲労を増やし、食べることで血
液を汚して病気になっている。そしてさらに食事に費やす時間の多いこと。こ
れではせっかくの活動時間がうばわれてしまう。


 ”食”──それ生命を養う糧でもあり、一歩まちがえば毎日三度三度あなた
をだめにしているものともなりかねないのだ。

※参照 断食のすすめ~心とからだの完全健康法~
 静養院断食療養所院長
 寺井嵩雄、桜木健古共著(柏樹社刊)