今日は天気も良く気楽に一人仕事。
最初の一本、いい感じに仕上げた。
だけど……ふと思う。
日本人的感覚だと、早くて巧いってのが技術だと、そう、職人。
寿司職人。日本料理職人。大工職人。建具職人。家具職人……
たぶん、職人と名のつく職業なら、早くて巧い、ってのが職人と思う。
私の仕立てる植木も、私はとても早い。
たぶん……シルバーの仲間内と比べてみても早いほうだと思う。
では、早いから、雑かと言えば、そうではない。
やはり、仕事は早くて巧い、ってのが日本的職人の技だと思う。
実際、私の仕立てた植木は、巧いと自分ながら思う。
――何々、新人が有頂天になって、と思われるかも……――
だけど、結果ってのは、誰が見てもそこにあるわけで、嘘もヘチマも無い。
巧い下手の理屈も何も無いわけ、結果がそこにあるわけです。
誰の目にも見えるわけで、
「お前は手抜きだ」
「こんな枝を残して、下手くそ」
「まだ、2年目のくせに、大きな口をきくな」って声もどこかにあるかも。
しかし、どんな風に仕上げようが、結果がそこにあるわけです。
時間的にどんなに早く仕上げようが、
どんなに丁寧に仕事をしているようなフリをして時間をかけて
仕上げようが、結果は、そこに現れてます。
そんな意味で、私は植木仕事は職人的で面白い。
植木仕事は芸術だと、いいはって、長い時間をかける職人もいる。
植木鋏で一本一本の芽を丁寧に剪定して仕上げる時もあるし、
電気バリカンで、バババーと刈ってしまう時もある。
一本の木を、一日かけて仕上げる時もある。
同じくらいのボリュームの木を半日くらいで仕上げる時もある。
依頼者様の要望なのだが……さて、植木の手入れはどうあるべきかと、
個人的に悩むところでもある。
昔やっていたLSIの設計仕事は、どんなに巧く、早く仕事を終えても、
誰の目にも、触れることは無かった。
そんな、結構寂しい仕事でもあったなと……ふと思う。
だけど……仕事の早さと、技術の高さを比例して考える国民は、
日本人なのよね。(笑)
植木職人も、検定試験などだと、規定時間内での技術の高さを
検査されるわけで、まあ、芸術だと言い張っては、ちょっと的外れかな……
しかし、ヨーロピアンは違う感覚を持ってます。
早いのがいいとは、限らない、丁寧さを要求されます。
彼らには、どのような職人にもギルド制ってのがありまして、
早さより、丁寧さを要求されます。
私はヨーロッパで針金を使って彼らの前で針金ネームを作る商売をしておりました。
→http://www.roy.hi-ho.ne.jp/rryyuu/life12/harigane/index.html
その時、日本人とヨーロピアンの技術についての感覚の違いを知り、
結構なカルチャーショックを受けたことをよく憶えております。
ヨーロピアン的感覚では、早いことは必ずしも巧みとは言えないのです。
彼らの感覚は、ゆっくりでもいい丁寧に仕上げるのが職人です。
どんなところで、って聞いてくれるな、話が少し長くなる。(笑)
大きなツゲ、5年ほど手入れのされていなかった木で、茂りもそうとうであった
なかなか話が面白い展開になってきました。
どんなことで……
針金でネームを作って商売していたのですが、
ヨーロッパの人々には「早く作って上げる」って言うと、
あまり喜ばれないのです。
何でなんだろうと、考えた結果なのですけど、早さ、イコール「巧さ」って
考えよりも、早さ、イコール「雑」って感覚が強いのかもです。