荒川直人の週末シネマ -5ページ目

シャッター アイランド

レオナルド・ディカプリオ主演、マーティン・スコセッシ監督最新作『シャッター アイランド』を観る。精神を患った犯罪者を収容する隔離病棟のある孤島で、ひとりの女性患者が失踪する。だが、厳重な監視下にある密室からどうすれば抜け出せるのか。連邦保安官テディ・ダニエルズは、事件の捜査が進むにつれて深まる謎に翻弄されてしまう。喧伝される驚愕のラストはそれなりに納得のいく幕引きだが、むしろそこに至るまでの緊迫感が本作の見どころだ。観客を幻想の迷宮へ誘う、夢野久作の奇書「ドグラ・マグラ」のような酩酊感も面白い。【平日シネマ100409-2】

オーシャンズ

ドキュメンタリー映画として破格の製作費70億円を投じた『オーシャンズ』を観る。構想から10年を費やしたそれは『WATARIDORI』のジャック・ペラン&ジャック・クルーゾー監督最新作だ。今回も革新的な撮影技法で見たことのない大海原の素顔に肉薄し、驚異の瞬間を切り取る。まるで『ファインディング・ニモ』や『崖の上のポニョ』を実写化したような奇跡のショットが続き、言葉にならない感動が次々と押し寄せる。物語はやがて人の営みが海に与える深刻な影響にも触れ、単なる海洋ファンタジーでは終わらない。真摯な佳作だが、ほろ苦い。【平日シネマ100409-1】

プリンセスと魔法のキス

ディズニー最新作『プリンセスと魔法のキス』を観る。3DCG一色の潮流に異を唱え、手描きアニメの復権を目論む野心作だ。スタジオの方針を変えた張本人は皮肉にも新たに経営に加わったピクサーのジョン・ラセターで、『ボルト』に続いてまたもや新生ディズニーの実力を世界に知らしめる。グリム童話「カエルの王子」を題材に、1920年代のニューオーリンズを舞台にしたその物語は、夢に邁進する黒人ウェイトレスをヒロインに迎え、ジャズを使った大胆なミュージカルを展開。現代的なひねりを効かせた脚本が素晴らしく、嫉妬するほど面白い!【平日シネマ100407】

涼宮ハルヒの消失

超人気TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が二期のシリーズを経て、ついに映画化。待望の『涼宮ハルヒの消失』を観る。物語はハルヒらSOS団が、クリスマスを前にこの世界から消えるという衝撃の展開で始まる。キョンだけがかつての記憶を持ち、元の場所に戻る方法を探ろうとする。だが、そこに留まれば平穏な日常が手に入る事実に気づき、彼は迷う。予備知識は必要だが、ファンならずとも楽しめるラブコメSFに仕上がり、丁寧な構成に感心。160分の長尺も意外と気にならない。異世界を逆手に、登場人物の心情を露わにする仕掛けも巧みだ。力作!【週末シネマ100404】

マイレージ、マイライフ

ジョージ・クルーニー主演最新作『マイレージ、マイライフ』を観る。リストラ宣告人のライアンは全米各地を飛びまわり、一年のほとんどを飛行機と出張先のホテルで費やす。唯一の楽しみは出張で貯めるマイレージの記録だけだ。何にも縛られず、足が地に着かない彼の生き方は、やがて二人の女性との出会いをきっかけに大きく変わっていく。現実にリストラされた人々が本音を吐露するシーンも凄いが、シリアスな題材をユーモラスに料理する演出が素晴らしい。いずれの人物も複雑な内面を持ち、万華鏡のように多彩なドラマを堪能した。傑作!【週末シネマ100403-2】