劇場版トライガン Badlands Rumble
TVシリーズ終了から12年の歳月を経て、ついに映画化された『劇場版トライガン Badlands Rumble』を観る。番外編的なエピソードで独立したストーリーが用意され、ファンならずとも楽しめるSF西部劇だ。こだわり抜いたアクション作画が素晴らしく、伏線の回収もキレイに決まって高い完成度を誇る。B級娯楽活劇として申し分ないが、その出来映えは一級品で、気楽に観るにはむしろ贅沢な仕上がりだ。それは凄腕ながら“軽さ”を装う主人公ヴァッシュの姿に重なるようで興味深い。とはいえ、シンプルな物語が両刃の剣になり、淡白な印象も。【平日シネマ100524-1】
劇場版“文学少女”
野村美月原作の人気ライトノベルをアニメ化した『劇場版“文学少女”』を観る。自称・文学少女こと天野遠子は聖条学園文芸部部長で、物語を愛するあまり書かれた紙を食べるという特異な癖がある。その秘密を知る井上心葉は、唯一の部員として先輩のために様々な物語を提供していた。宮澤賢治の代表作「銀河鉄道の夜」をモチーフに、心葉の過去をめぐるミステリアスな展開が面白い。だが、遠子の奇怪な設定をはじめ、いずれのキャラクターも記号的で不可解な言動が際立つ。ドラマの仕掛けは楽しめるのに、ファン向けに閉じた演出が惜しい。【週末シネマ100523】
ランデブー!
『結婚できない男』などの人気ドラマを手がける脚本家・尾崎将也第一回監督作品『ランデブー!』を観る。携帯を拾った女優志望の谷山めぐるは、落とし主の男からの連絡で直接の受け渡しに応じるのだが、二人はすれ違い、彼女は携帯を渡せと迫る別の男たちに突如追われる。低予算ながら見事なサスペンス&コメディで、特に脚本の巧さが光る。テレビスペシャルまがいの日本映画が多い中、観客に媚びることなく、謎を残しながら物語をリードする演出の手腕は初監督と思えない力量だ。川井憲次の音楽も本編に絶妙なアクセントを添える。快作!【平日シネマ100310-1_改訂】
グリーン・ゾーン
マット・デイモン主演、ポール・グリーングラス監督最新作『グリーン・ゾーン』を観る。イラク戦争開戦から4週間後。米国陸軍MET隊隊長のロイ・ミラーは大量破壊兵器捜索作戦に参加し、3度も続いた空振りから本国の情報源に疑問を抱く。綿密な取材に基づくノンフィクションを原案としながら、本作は疾走感のあるポリティカル・サスペンスとして見事な活劇を演出。勧善懲悪の不確かなリアルを題材に、自国の失策をエンターテインメントに昇華させる手腕は脱帽の一言だ。戦場の臨場感をアトラクション化する懸念は残すけれど、面白い!【平日シネマ100514】
9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~
ティム・バートン製作『9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~』を観る。2006年米アカデミー短編アニメ部門ノミネート作を、監督のシェーン・アッカー自らがリメイクした長編版だ。人類滅亡後の未来に、命を吹き込まれた麻布製の人形“9”が目覚める。彼は仲間と出会い、世界が機械獣の恐怖に覆われていることを知る。フルCGで描かれながらアナログな人形アニメのテイストが色濃く、ダークな世界観にクエイ兄弟などを思わせる。ユニークで親しみやすいキャラクターも素晴らしいが、予想以上にアクション満載でラストまで目が離せない。傑作!【週末シネマ100508】