昨日、飲んでる時にした話です。

 

CC:Apollo Scribe

 

私がチームビルドする時に、どういう視点でやっているのかというのを

昨日話したのですが、基本的に、

 

・成長を前提にしない

・強みを発揮できる事をやってもらう、できない事をやらせない

 

です。

 

もちろん元々はそうではなくて、

どちらかというとチームに対してロールがあり、

そのロールに対して足りないとしても頑張って下さい。

 

その欠点は克服して下さい。

というスタンスでした。

 

ただ、やるとわかるんですけど、これパフォーマンスがめっちゃ落ちるんですよ。

 

マネージャーはマネジメントコストがとてもかかる。

メンバーは不得意な事もやらないといけないから得意な領域に時間使えない。

みたいな感じで。

 

少人数のチームだとまだマシですが、50名をこえて100名規模になってくると

そういうスタンスのマネジメントは不可能です。

 

なので、今は僕自身も得意じゃないことはやらないし、

メンバーにも不得手な事をやらせません。

 

向いてないなと感じたら割とあっさりロールやミッションを変えます。

 

そして、成長もあまり前提にしてません。

 

これは表現が難しいのですが、成長してくれたら超ラッキー、

その人のアベレージだとして、何ができるかからチームを作る。

という事です。

 

面白いんですけど、ちゃんとハマると成果が出て、

結局そっちのほうが成長したりします。

 

こういうふうにやると、チームに必要なロールに対して人が足りなかったりするん

ですが、その時は採用するか、自分でそこをカバーします。

 

そして、ヒト・モノ・カネが全部充実してるチームを受け持てる事は

ほとんどありませんので、大体いつも採用をしている事になります。

 

特に自責なタイプのマネージャーはメンバーにも自責を期待して、

怒ったり、失望したり、神経をすり減らしたりすると思うのですが、

一回、「得意な事しかやらせない」に振り切ると

コミュニケーションコストが劇的に下がって、やってる事は減ってるはずなのに、

物事がうまく進むようになるのでおすすめです。

 

 

 

同業者で同じゲームが好き、仕事としてはほぼ絡みが無いのですが、

不思議なご縁で超不定期に、思い出したら食事している佐々木さんが

本を出されました。

 

手元に届いてから、読了までかなり時間がかかったのですが、

丁寧に読まないといけない本だなと感じたので、

出張中のホテルで、静かな環境で集中して読了しました。

 

理由なんですが、手にとると分かるんですが、装丁が気合が入ってるんです。

 

アクリル加工された表紙が一番目を引くと思うのですが、

それだけでなく裏表紙もしっかりとした材質で本自体が守られ、

そして、なんといっても「綴じ方」が良いです。

 

何というのか知らないのですが、糸綴じされたものが何束か糊付けされている

ような綴じ方で、それによって「本のどのページを読んでいても手で抑えずに

開きっぱなしになる」のです。

 

これ、本当に本が好きな人だったり、読書が習慣になっている人でないと、

こういう綴じにしないし、ありがたみが分からないと思います。

 

そういうところから佐々木さんの気合を感じて、

「これは移動時間とか隙間時間に読むのではなく、

落ち着いて静かに読むべき本だな」と感じました。

 

そして内容ですが、、、

 

途中から「ええええ!」っていう展開に突入し、それはそれで

面白いのですが、ネタバレになるので避けます。

 

ちょっと未来の日本を舞台にした物語なのですが、

僕がこの小説を読んでいて満足感を感じたのは、佐々木さんが描き出す世界に、

手触りがあるからです。

 

我々の未来像は、多分に手塚治虫ナイズされていたり、ハリウッドナイズされている

と思うのですが僕らのネクロマンシーに出てくる課題や、未来像は、

「確かに今この通りに技術が発展するとやってくる未来」なのです。

 

例えばお祭りのシーンで実行委員会がUUやARPUを振り返る下りが出てきます。

「いやー、そう。カメラデバイスとかそういうのの発展で、きっと僕らは性懲りもなく、

そういう振り返りをするんだろうよ!」という未来なのです。

 

また、近未来のネット接続の在り方を、佐々木さんはカームネットとしてこの小説

で描いています。

 

技術の発展でAIもデバイスも大きく発展した未来、映画ではロボットが闊歩して、

ホログラムと会話するようなものを想像しますが、カームネットは、

自然と身につけたパーソナルデバイスに囁く、というUIになっています。

 

ネットとつながっているのですが、ネットの存在を意識しない。

 

発展は、足し算ではなく、むしろ街からものがなくなっていく引き算であろう

という描写はとても腹落ちするものがあります。

 

実際、例えば未来の駅からは改札がなくなるでしょう。

未来の家からは鍵がなくなるかもしれません。

 

個人と、その行動を正確に特定できるようになる未来は、

想像するに確かにいろいろなくなり、静かになるのです。

 

あとは、マジックザ・ギャザリングが好きだったり、

ネット業界に詳しいとニヤリとできる描写が随所に出てきます。

 

というわけで、良い本でした。

 

僕らのネクロマンシー
僕らのネクロマンシー
posted with amazlet at 18.08.02
佐々木大輔
NUMABOOKS

 

とある合宿で話した事をそのまま書きます。

 

結論、ビジョンやコアバリューは作るだけでは意味が無くて、

行動や制度が重要ですよ、ということです。

 

byDubwise Version

 

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今からとある企業のコアバリューを読み上げます。

どこの企業のコアバリューか当ててみてください。

 

「尊敬」「誠実」「コミュニケーション」「卓越」

 

分かるでしょうか?

 

「尊敬」「誠実」「コミュニケーション」「卓越」

 

わかった方は相当マニアだと思うのですが、

これは、アメリカのエンロンという会社のコアバリューです。

 

とても素晴らしい4つだと思いますよね?

でも、皆さんご存知の通り、エンロンという会社は既にありません。

粉飾決算によって潰れてしまいました。

 

「尊敬」「誠実」「コミュニケーション」「卓越」を掲げた会社が、

粉飾決算で潰れてしまったのです。どこらへんが誠実なんでしょうね。

 

私が何を言いたいかと言うと、ビジョンやコアバリューは、

作っただけでは意味が無い、という事です。

 

今までの経験で言っても、「ビジョンが大切だ」と言ってビジョンを作って、

いきなり会社が変わるという事は100%ありません。

 

だから、このビジョンやコアバリューを体現するような行動を推奨し、

実現できるような制度や取り組みを行って、

自分達の中にしっかり事例をつくっていかないといけません。

 

私が、ここにこだわる理由はもうひとつあります。

 

それは、我々が価値観を掲げて採用するからです。

 

多くの人は、我々が対外的に発信している価値観に惹かれて

この会社にやってきます。

 

私が一番恐れているのは、そういう人達が失望してやめていくことです。

「○○って聞いてたけど、全然違うじゃん、この会社」

 

これを、一番恐れています。

 

ですので、価値観が体現されているかは定期的に確認しないといけないし、

それを実現する為の仕組みを、今回の合宿のようにみんなで知恵を絞って

考える事が重要だと考えています。