後夜祭・3 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「大会とかには出てないって言ってたけど、人前ではやってたよね?」

「はい、ステージのあるバーで」

「え?バーにポールがあったの?」

「設置してくれました、練習する部屋にも」

「それは有り難い環境だね」

「はい、とても」

「もうそこではやってないの?人の前に立つことはとても勉強になってたはずだけど」

「今は…やっていません、でも、いつか戻りたいと思っています」

「うん、いい目標だね」

「はいっ」





よくやく安定した収入を得て、衣食住にも困らなくなった

それでも、何かを求めて飛びたい衝動は治まらない

ステージを終えてから街に出て、探していた

何を?

自分でも分からない

人肌が恋しくて、あとは単純に身体を鎮める為に、そこら辺の奴とそこら辺で適当に寝ていた



ある夜、マスターから閉店後の行動について追及された

目の前が暗くなる

これでここにも居られなくなる

何も言えずに立ち竦んでいると「やるなら金を取れ」と言われた

さらに「時間も、身体も、心も、無駄にするな」と言って、閉店後の店を俺に貸してくれた

相手はマスターの審査をクリアしなければならなくなり、今までのような劣悪な環境でのセックスは無くなった

金は貯まるし、身体も適度に満たされる



なぜここまでしてくれるんですか?

俺からの問いに、マスターは淡々と答えた

多様な価値観が認められつつある、でもそれを受け入れるまで成熟していないのが現実、一人で勝手に傷付くなら目の届くところで利益を得てくれたほうが店としても有り難い



人に、初めて、そーゆーアレである俺を認識してもらった気がした



そして、あの人と、出会う





「忘れ物って恋人?」

「ぶふっ げほっ…」

「衣装を身に纏ったら常に美しく」

「はい、すみませんっ」

「で?図星?」

「…だったと思います、でも、何も言わずに離れてしまったので今は正直…」

「想う気持ちが無くなった?」

「いいえ、余計に膨らんで…苦しいです」

「いいなぁ」

「え?」

「素敵な想いも、苦しい想いも、全ての経験は表現の幅を広げて奥行きを持たせてくれる」

「…奥行き、ですか」

「分からない?」

「変わりたいと思っていますが、自分ではちょっと…」

「パフォーマンスをしている時に第三者の目を意識するように、自分の内面や魅力も客観的に見れたほうがいいんだけどなぁ」

「はい、あの…あの人と離れずにずっと一緒に居られたら楽だったと思います、でもそれはまた逃げることになると思ったので離れました、離れたからにはどんなことをしても成長したいし、出来れば…今も、恋人でありたいと思っています」

「いつかそれを本人に言えるといいね」

「胸を張って会いに行けるように頑張ります!」





あの人を一言で表すなら「面倒臭い人」だ

頑固だし、我儘だし、言い出したら引かないし

でも間違いに気付くと素直に謝る

知らないことは知らないと言えて、物事に対して常識に流されずに向き合うことが出来る



とても面倒臭い人



恋人に立候補された時はさすがに驚いた

そして、何かが始まる予感に胸が踊った

同時に、何かが失われてしまうのではないか?という不安も生まれた



俺は怖くなって、また逃げた

















つづく