How to fly・54 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「外出るわ、閉店したらまた来るってマスターに言っといて」



金を置いて、席を立つ



「待って!」



袖を掴まれた



「なに」

「少しだけでも話をっ」

「だから、なに」

「えっと、あなたと飛びたくて…」

「こっちは初めからそのつもりだったよ」



それを伝えて、抱いたつもりだったよ



「もういいだろ、離せ」



袖を払おうとしたが、強い力でグイと引っ張られた



「恋人になりたいですっ」

「…は?」

「好きです!俺とお付き合い、してくれませんか?!」



それは妙に耳に届く声だった

真剣な顔と真剣な眼差しから察するに、おそらくそれは勘違いではなく、実際にはっきりとした声で言ったのだろう

そこまで考えて、ふと我に返る

熱くなっていた頭がサッと冷える

ここに店だ

店員も客も、彼が先生と呼ぶ奴も居る

変に勘ぐられたら彼の居場所が失われてしまう



「お、おー!もちろん付き合うよ!どこの店行く?買いたい物あるんだよな?!」



こちらもはっきりとした声で言う

最低限ではあるが、これでフォロー出来たはずだ



「日程はまた連絡する!じゃーな!」



掴まれた袖を今度こそ払い、彼に背を向けて早足で扉へ向かう



「違う!恋人になりたいって言ってるの!」

「バカ!黙れ!」



何を考えているのだろう

先程よりもはっきりとした大きな声で危険ワードを言うなんて、自爆にもほどがある



「とりあえずこっちに…」



腕を掴んで、せめて人目に晒さないように目立たない場所まで引っ張ろうとした

が、彼はなぜか足を踏ん張って抵抗する



「いやだ!断られたってあきらめない!何度でも言って何度でも告…ん゙ーっんん゙ーっ」



これ以上取り返しのつかないことを言い出す前に、手で口を塞ぐ

こちらのフォローを台無しにして、何がそんなに不満なのだろう

意味が分からない

全くもって意味が分からない



抵抗を止めない彼をどうにか押さえ込もうとしていると、背中に刺さる物を感じた

控え目に店内を見る

思った通りこちらに視線が集まってしまっていた

すみませんねぇ、なんでもないんですよ~、オホホッ

そんな顔を必死で作り、なんでもないアピールをしながら会釈する

と同時に足で扉を開け、彼を外に引き摺り出した




「あんな場所でバカなこと言ってんじゃねーっ!」



薄暗い階段の下

店内に聞こえてしまうのも、路上まで届いてしまうのも避けたい

どちらからも出来るだけ距離を置いた場所まで引っ張って、腕を離す



「お前なに考えてんだよ!」

「バカでもいいっ 誰に聞かれてもいいっ」

「ふざけんなっ!ここはお前の!大切な居場所だろ?!それをぶち壊すような真似すんじゃねーよ!」

「ここは大切な場所だよ!でもっ あなたが居てくれなきゃ意味ないっ!」

「はぁ?!」

「何も言わずに出てったのは、あなたに止められたら決心が鈍るって思ったからでっ 側に居て、あなたと過ごせたらどんなに素敵だろうって思ったけど、あのままだったらあなたに引っ張り上げてもらうだけで、一緒に飛べなかった!だから…だから強くならなきゃって!一人でも飛べる力が無いとダメだって!だから…だからっ」



泣いてはいけないと思っているのかもしれない

喉が絞まって苦しそうだ

見ているこちらも苦しくなる



「分かった、話聞くから、とりあえず落ち着け」

「勝手なことしてごめんなさいっ 会いたかった!ここに戻ってきたかった!あなたがまた会いに来てくれるって…言ってくれたからっ だから…がんばって…それでっ」

「だから、もういいって」

「いやだ!あきらめない!」

















つづく