Canzone・15 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「おはようございます、大野智ですっ」


「…はよーございまーす」



新たなルーティーンが始まって一ヶ月



「おーちゃん、おはよ~ん」

「おーちゃんじゃなくてオーシャンですよ、クリスティーさん」



先に身支度を終えたモーリスさんが冷静に訂正する



「そうそう!おーちゃんってぇ、海!ってかんじ!オーシャン、似合ってるよね~」


「ありがとうございま~すっ」



真新しい白シャツの胸元には木彫りのネームプレート


アルファベットは「O」


店で呼ばれるあだ名は、もはや人名でさえなくなった



「なーちゃん?ぼーっとしてるけど大丈夫?」


「あ、はい、大丈夫です」


「記念の日だから元気にいこ~!」


「はい」



和気あいあいとする休憩室




なぜこんなことになった…









約一ヶ月前




「新しい人を採用しましたのでよろしくお願いしますね」



オーナーがカウンターに入ってきた


これはとても珍しい事態



「5人が並んで立つ風景を思い描いたらパッと浮かびましたので、その方を正式に採用する際はお店の名前を変えようと思います」


「えっ?!」



そんなに簡単に?!

俺は驚愕したが、サムさんに聞くとそれほど珍しいことではないと言っていた

開業してからこれまでに、2回ほど変更されたことがあるらしい




始まった新人研修は、昼から夕方までの週5日

主にサムさんとモーリスさんが指導を行う



この店に相応しい言動、守るべきルール、接客、メニューの把握、レジ対応、開店閉店作業、掃除、洗濯諸々…

これは最低限だけど、一人で店に立つ前に覚えるべきことはたくさんある



例の新人は持ち前の美しい立ち姿、スマートな身のこなし、器用な手さばきを遺憾無く発揮し

遅い人だと三ヶ月以上を要する研修を一ヶ月で終えてしまった





「準備出来たか~?」

「は~い」

「じゃ、門のとこ行くぞ」


「わぁ~、いい天気だな~」



今日は門出に相応しく朝からすっきり晴れている



「オーナー、お待たせしました」


「はいはい、ご苦労様です」



研修を経てすでに顔見知りだが、新人の正式な初出勤日には全従業員が揃って出勤する


これは恒例行事で、俺の時も総出で迎えてくれたことを思い出す



「本日のオープンからこちらになりますので」



皆が見守る中、新たな店名が門に下げられた



Cafe Tempesta



「…てん…ぺすた?」

「英語じゃないな」

「イタリア語?」



「俺、あとで意味調べときます」とモーリスさんが言う

「頼む」とサムさんがぽんと肩に手を置く



さすがナイスコンビネーション

…俺もあとで教えてもらおう




「それでは今日もよろしくお願いしますね」

「よろしくお願いいたしますっ」


「ナターシャとオーシャン」


「は~い」


「今日はホールからな」


「はいっ」




俺だけに「また来週」と言うお客さまは周知されていたらしい

その人がグイグイ来ていることも知られていて、あの日のこともすぐに知れ渡り、ついにはこうして仲間として受け入れられてしまった



「あなた、どんな手使ったんです?」

「オーナーに雇ってくださいって言ってみた」

「オーナーに?よく分かりましたね」

「分かるよ、時々掃除してるじゃん、庭とか、外の道とか」

「庭じゃなくてテラスね、研修やり直しさせますよ」

「そうそう、テラスな!分かってるって~」



間が抜けて見えるのに、周りをよく見てるなと思う

あの人がオーナーだってこと、普通は分からないから



「そういえばクリスティーさんのこと、始めから相葉さんって呼んでましたよね

まさかそれもAだから、ですか?」

「会ったことあんだよ、相葉ちゃん」

「どこで」

「ラジオ関係の繋がりで挨拶したことある」

「そうだったんだ」



あれから何度か相談するうちに、クリスティーさんもラジオをやっていると聞いて驚いた


早速聴いてみたら、人柄そのままの優しさ溢れる番組だった



「おーい、そこの二人、オープンすっぞ~」

「はーいっ」



店内へ戻って、身だしなみをチェックする



「汚れ無し、傾き無し」



スタンバイOK




チリン



「こんにちは、いらっしゃいませ」



横に並んでいたオーシャンが、音も立てずに颯爽と駆け寄る


俺も先輩になったんだ、負けていられない



チリン



「いらっしゃいませ、こちらへどうぞ」



今までも色々あったし、これからも色々あるだろうけど


ここは俺のお気に入りの職場だ


















終わり