カミシバイ 最終章 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















扉が現れてから数日



街も、城下も、人の気配は無い



王の命令に従い、多くの民は避難を終え

城内の人々も、軍人以外は安全な山中まで退避



これから迫り来るであろう災悪に対し、息を潜め、見守っていた





扉が現れた地は、想像以上に静かであった



「一番近くまで行った者は?」

「先程、災に流されたとの報告が」

「…そうか」

「名の知れた玄人でもそこが限界とは…もはや…」

「気を落としている場合ではない

ここを最後の砦とする、一歩も引くな」

「はっ!」



軋む扉と、それを取り囲む軍



扉の奥から微かに漏れ聞こえるのは、この世の者ではない奇声と怒号

こちらの世界からは、至る箇所から雄叫びが上がる



どちらが先攻するか



構え、睨み、今か今かと、殺気を纏う




「智」



歪んだ空気を割って届いたのは、優しい声



「和…和っ?!今どこ?安全な場所に避難した?!」



それに応えるのは、悲壮な祈り




大衆が望むものと、この者達が望むものは


同じようで全く違う



それに気付く者が存在していたら、歴史は変わっていたのだろうか











「扉が現れる日時が解りました」



古書を読み解く者からの報せが届く



「国の至るところから手を挙げる勇者がおります

その者達に先頭を任せ、我々が後方に控える

なにも問題はございません」



城の中でも高い位を持つ者と、国でも一番の知識を持つ者と

それらを集めたとしてもこの程度



「…うん、そうだね」



それよりも、唯一の友のほうが頼りになるとは皮肉なものだった






「和」

「もー、また来たの?

駄目じゃん供も付けないでさぁ」

「扉が現れる日が分かったから」

「あぁ…でもそれ、御布令出すよね?」

「和には俺が直接伝えたかった」

「そうなの?どーもありがと」



暗い森深くに住む亜種

明るく、賢く、己の立場を分かりすぎる友



「行かなくていい」

「それは命令?」

「うん」



高い丘の上に建つ城に住む若き王

民に愛され、自制に優れ、こちらも己の立場を分かりすぎる友



「だったら従おうかな~」

「え?ほんと?!」

「王様からの直々の命令だもんね、守りますよ」

「そっか…そっか!よかった!」

「早く帰りな、みんなが心配してる」

「また来るねっ」

「うん、またね」



これで解決したと思うほど短絡的で、楽観的だったわけではない



行かないで

行かないよ



泡のように掴むことも留めることも出来ない約束



ただその笑顔を

見たかっただけなのかもしれない

















こちらのお話はカテゴリー「妄想日記2016」内記事


二宮さんご生誕記念祭2016・7『カミシバイ 序章 』の最終章です




つづく