カミシバイ 最終章・2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















災悪の扉は、予想よりも遥かに強大であった



そこへ辿り着ける者は無く


田畑を無くし、家を失い

豊かな森も湖も、形を保てなくなっていた



しかし、命までもが奪われなかったのは、扉が完全に開かれるまでの時を限界まで遅くさせる為に動いていた者がいたからだ



「亜種が扉の足元で防いでおります!」

「なに?!亜種が?!」



報告を受けた側近は疑いの眼差しで筒を覗く



「亜種が…我々を守るなんて…そんな馬鹿なことが…」

「しかし、それによって民は災を免れておりますが」

「油断するな!あんな物を信じてはならん!」



立派な椅子から立ち上がることも出来ずに、血の気を失っていく王を他所に



「亜種は信じられない」


「扉ごと消してしまうのはどうか」



無駄な議論が繰り返された






ついに、その時が来る



「あー…もう無理かなぁ

みんな…逃げたかなぁ…」



痺れる腕、痺れる足


懸命に踏ん張るその地も、崩れ始める



一人で抑えられるとは思っていない


だが、災悪を遅らせることで、被害を最小限に出来ることを知っていた




徐々に扉が開き、隙間が大きくなっていく



今か今かと待ち構えたように飛び出そうとする災悪

構えを整え、迎え撃つ軍



「智は…あぁ、一番後方だね

よかった…そこに居てね…」



安心したように、扉から手を離した亜種は

二本の足を真っ直ぐに立てられる場所まで下がり、腕を広げた



腹に災を

背に刃を



声の一つも上げずに、受け止めた




二つの種をその身に湛え、月日をかけて育った力


それを持ってしても耐えることの出来ない衝撃によって、人型は崩れる



「やはり亜種は亜種であった!」

「任せておけばこの国が滅ぶぞ!」



酷く禍々しいそれは、目が焼けるほどの痛みを受ける者が出るほどで



腹には、あちらの世界の歓喜が

背には、こちらの世界の更なる恐怖が



醜い亜種へと降り掛かる




「違う…違うよ…」



軍の最後尾

雅に飾られた輿に乗り、選ばれた精鋭に守られた王



「行かないって言ったのに…なんで…


あんなの…どっちも痛いに決まってる…


和…もう止めて…」




さとし…?




誰にも聞こえない悲鳴を、王だけが拾った

















つづく