※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「ここか?」
名刺に書いてあった住所に建ってるビル
電話に出れたってことは仕事中じゃない
ってことはテレビ局じゃなくてこっちの可能性が高い
「関係者以外は立ち入り禁止です」
「関係者だよ、そこどけ」
「申し訳ございません」
「どけって言ってんだろ」
受付で止められて、モタモタしてる間にガードマンっぽいのも出てきた
…面倒くせぇな
30メートル先に見えるエレベーター
ドアが開いて、数人が降りてきて、ドアが閉まりかける…そのタイミングでダッシュした
「ちょっと君!」
「こら待て!」
鈍臭い大人をチラッと見てから、ドアが閉まる寸前のエレベーターへ滑り込んだ
「何階がいいかなぁ~」
下からさっきの奴等が追い掛けてくるだろうから、このまま最上階まで行ったほうがいいかも?
一番大きい数字を押すと、身体にグンと重力を感じた
音もなくドアが開いて、降りる前に顔だけ出した
「よし」
左右を見て、人気のない事を確認して、廊下へ足を踏み出した
「どの扉にしよっかな~」
居る気がする
なんとなくだけど
ニノが居るって感じる
「ここか?」
偉そうな雰囲気を漂わせる扉の前
最低限の礼儀としてノックをしようとした腕を止めた
ギャーギャーと言い争う声が聞こえてくる
嫌だとか、離せとか、辞めるとか
「さすが俺、冴えてるなぁ~
しっつれーしまぁーす」
聞こえないだろうけど、一言置いて、扉を開けた
「ざんけなよ!休みあっただろ!」
「そんなことするなら休みなんかやれるわけないだろ」
「だから!それなら辞めるって言ってんだよ!」
「我儘もほどほどにしなさい!」
「うるせぇ!離せ!」
キレた目で怒鳴るニノと、宥めるのに失敗してるマネージャーらしき男
そして、それを困ってる振りして面白そうに眺めるおじいちゃん
「なんじゃこりゃ」
ポツリと呟いた言葉を拾ったおじいちゃんがこっちを見た
「あらら」
「どーも」
一応、頭を下げる
「…大野さん?!」
やっと気付いたニノは、後ろから羽交い締めにされた状態で顔を歪ませた
「君はなに?なんでここへ入れたの?」
「ニノと話があって来たんですけど~」
「はいはい、なるほど、そうですか」
ニノから離れたマネージャーらしき男が素早く受話器を上げたのを、おじいちゃんがその歳とは思えない素早さで制した
この人、ただ者じゃねーな
「ニノくん、この人と話す?」
「……」
手を握り締めて黙ってるけど、さっきまでのキレてる空気はもう無くなってる
「ニノ、ちょっとこい」
腕を引っ張ると、おじいちゃんが右方向を三回指した
それへ小さくお辞儀で返して、廊下へ出る
右はエレベーターの方向…で、三つ目の部屋
応接室と書かれた扉には鍵はなくて、引っ張ってきたニノを押し込んだ
つづく