※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
人と一緒に過ごすことがこんなに心地好いなんて知らなかった
サトシと離れるのが寂しい
それでも、駄目って言わなくちゃいけない?
世の恋人達は、どうやって二人の時間を区切っているんだろう…
「ほんとにカズは…」
「あ…」
頬にちゅっとされて、身体が離された
「駄目って言いたいけど、言えなくて困ってる?
もっと一緒に居たいけど、駄目って言わなくちゃいけないから寂しくて苦しい?」
なんでバレてるの…?
人ってみんなこういう能力を持ってるものなの?
「カズに言わせようとしてごめんね
仕事、ちゃんと行くから」
行くんだ…
そっか…
「俺がちゃんとするから、カズは甘えていいよ」
そんな難しいことを言われても困る
今までは、そう思ってた
「サトシ、仕事に…」
「うんうんっ!仕事に?」
「…い…」
「いっ?!」
「…き、なさーいっ!」
「え~…」
期待に満ち溢れた顔から一気に落胆の顔になった
…と、思ったけど、手がするすると服の上を滑ってる
「こらぁー!脱がすなーっ!
あっ…隙を見付けて際どいところを触るなっ!」
「…チッ」
「は?今、舌打ちした?!俺ちゃんと仕事に行けって言えたよ?」
「舌打ちなんかしてないよぉ~?……チッ」
「してんじゃねーか!こんにゃろー!」
「ぐぇーっ」
ベッドから降りて、隙有らば絡みつこうとするサトシに跳び蹴りした
日常や仕事を疎かにしてまで二人で居ても、嬉しくないし楽しくないと思ったんだけど…
これは正解?不正解?
途中までしか読めなかったけど、あの本にはこれの答えが書いてあったのかなぁ
あ~!やっぱり分からないことばっかりだっ!
「行ってきます」
「お邪魔しました」
サトシと一緒に部屋を出た
「もう少しだったのになぁ~」
「そんなに仕事休みたいの?」
「そんなにカズと!一緒に居たいのっ」
「あ、そっか…そっちか」
こういうの、すぐに分かるようになりたい
でもお手本にする本はもう無いし、独学は駄目って言われちゃったし
今すっごく前向きなのにな~
なにか出来ることないかな~
「カズは夜から仕事?」
「そう」
「頑張ってね」
「サトシも、仕事しっかりね」
「知りたいことあったら一緒に学ぶんだからね?変な本使って勉強しちゃ駄目だよ?」
「分かってるって
じゃ、またね、サトシ」
「またね、カズっ」
手を振って、二人きりの時間を区切った
サトシの背中を見送って、反対方面のホームへ向かう
今日も一駅前で降りて歩こうかな…
本は駄目って言われたから、動画を借りて帰ろう
サトシはそっちも凄いから、俺もちゃんと勉強しないと!
乗り込んだ電車の窓には、雨に濡れた木々が鮮やかに輝いている
終わり
『部屋の中』続編リクエスト・S様、C様、Y様、アメンバー様