※ＢＬ妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
死に物狂いで調整を終らせたけど、出発する予定だった日の最終にも間に合わなかった
「はぁ…頭重い…」
しっかりしなきゃ…
こっちに割かれた分の仕事も残ってるんだから
「えっと…時間を無駄にしない為には…」
タクシーに乗り込んで、一番早く戻れる新幹線が出る駅まで向かう
その中で仕事をしながら、旅行の段取りを組み直す
あれとあれとあれが出来なくなっちゃったけど、まだ大丈夫
無理矢理詰め込めば、今日から行ってもたくさんの思い出が作れる
あそこのご飯はニノにだけは食べて欲しいから、その間に俺が段取りして回って
夜の海を見て、朝日を見て…
ゴン！
「お客さん？大丈夫ですか？！」
鈍い音が聞こえて、ハッと顔を上げた
「…大丈夫です、すみません」
気付かないうちに寝てたかも…
遅れた分を取り返さないとニノにがっかりされちゃう
しっかりしないと！
タクシーから朝イチの新幹線に乗り換えて、新幹線からまたタクシーへ
マンションに着く直前で、手に持っていた仕事が終わった
「よし…よし！ニノと旅行だっ！」
エレベーターを待つのもじれったくて、マンションの階段を駆け上がった
…あ！飛行機！取り直さないと！
肝心なこと忘れてた
部屋に飛び込んで、急いでパソコンを出した
でもそれは、なぜかニノに電源を落とされてしまった
「ニノ？チケット取り直すから」
もう一度起動させようとすると、今度は抱えられてしまう
そうだよね、こんなに遅れちゃったから、怒るよね
今からちゃんとするから
だからそれ、返して
「嫌です」
「…分かった、こっちから探す」
携帯を取り出すと、それもニノに奪われた
時間がないのに、なんでそんなことするの？
約束守りたいのに、なんでそんなことするの？
ニノと旅行なのに！なんでそんなことするの？！
「返して！」
「嫌っ！」
機械を隠すように身体を丸めたニノは、叫ぶように言った
寝不足の目？
無理してる？
大切にしてない？
俺は今、どんな顔してニノの隣に居るんだろう
いつもニコニコ笑顔の優しいニノに
こんな俺と旅行しても楽しくないって、絶対に行かせないって
悲しいこと、言わせちゃった
「…ごめん」
俺が想うのと同じくらい、ニノは俺を想ってくれてる
知ってるつもりだったけど…
逆の立場だったら、行かせるわけない
「行く」って泣き叫んだとしても、どんなことしてでもまずは身体と心を休ませる
約束だけ守っても、形だけの旅行しても、意味無い
気持ちだけ焦って空回りしちゃったな…
「まずは、寝ましょう？」
急に力の入らなくなった身体を、ニノが支えてくれた
これって、いつかと逆だね…
追い詰められたニノをゆっくり寝かせてあげたくて
唐突に意識を手放した身体をベッドへ運んだことを思い出す
一人で頑張る必要なかったんだなぁ…
二人なら、どんなことでも素敵な思い出になる
ニノ、ありがとう
ニノ、大好き
「おやすみ、智」
安心感に包まれて、あっという間に眠りに落ちた
つづく