※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
『この前は日曜なのに悪かったね
助かったよ、ありがとう』
「仕事ですから~」
『他にも隠れたバグありそうだから、3月の定期点検、12時間で予定入れといた
いつもとそんな変わらないけど、詳しい時間はあとで送っとく』
「は~い」
『そういえばさぁ、昨日変な人来たよ』
「へ~」
『KZって人がここに居ると思うんですけどって』
「ぶっ…けほっ…けほっ」
口に運んでいたお茶が飛び散りそうになった
KZはゲームの中のキャラ名だ
『なに?吹いた?』
現実世界では、一度しか口にしたことがない
「いや…けほっ……で?」
『KZってお前?』
「さぁ~」
『和也…KZでもおかしくないよね』
「ど~でしょ~」
『居ませんって伝えたよ、それが事実だし』
「……」
『サトシって名乗ってたけど、知り合い?』
「知らない」
『あははっ!即答!分っかりやすっ!』
「うるせー!用事がないなら切るっ」
『次来たらどうする~?』
「事実を言えば?!」
『あはははっ』
笑い声を切って、ソファへ投げた
「はぁ~…」
ため息が微かに熱い
「ぼんやりしてそうなのに」
よく見てますねぇ
カチ
クリックすると、印象的な赤が現れる
「ROUGEかぁ…」
名前は敢えてつけなかったのに
いつしかそんな風に呼ばれてた
あの日、時間通りに行こうとした
12時間とかアホかと思ったけど
「承認」が来て、自分もアホだと思った
誰も知らない秘密の部屋の中
あの人とまた会いたいって
運命とかあるのかもしれないって
そう思ってしまう自分が笑えた
昔から引き込もるのが上手くて
いつの間にか引き込もってても成立する仕事に就いていた
システムエンジニアとして独立して
有り難いことに食う寝るに困ることなく、それなりに楽しくやっていた
そんな日常の中で、人が苦手だからこその反動だったのかな
誰に依頼されたわけでもないのに、人と人をマッチングするプログラムを組み始めた
5年掛けて完成したそれは、我ながら美しい仕上がり
古くから縁のある友人に見せたら「これは凄いよ、使おうよ」って言うから
権利とこれを管理する役割だけを担って、経営や運営を友人へ丸投げした
背面をこの色にしたのは…
運命の糸にでも焦がれていたからかもしれない
伝説よりも不確かな糸
もしそんなものが本当にあるなら、自分で作ってやろうってさ
つづく