傘を持つ豚・12 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「ニノー!ニノー!!

返事して!ニノ!出てきてよっ!」



何度呼び掛けても、返って来るのは、鉄に反響した自分の声だけ



「…ニノ」



もう会えないなんてこと、ないよね…?






「…大野さん?」


「ニノっ!!」



後ろから声がして、振り向いた



「どうしたんですか?」



そこには、非常扉から顔を覗かせた本物のニノが居た




「呼ぶ声が、廊下にも響いてます」

「居なくなっちゃった…」

「誰がですか?」

「もう…会えないのかも…」

「…場所を変えましょう」



足元がふらついてしまう俺を、本物のニノが支えてくれて


非常階段を下り始めた




「ニノ…ニノ…」



何度呼び掛けても返事はない



「ニノ…消えないで…」





地下の駐車場まで下りると


運転席で待機していたマネージャーへ「一度局内に戻って欲しい」とニノが頼んでくれて

送迎車に二人で乗り込んだ



「ここなら聞いてる人も居ませんから、安心してください

会いたい人とは、まだ…会えませんか?」

「…会えない」

「消えたまま?」

「見えないし、聴こえない…もう会えないのかもしれない

ちゃんとお礼…ありがとうって言いたいのに!

そうだ、朝も…朝からもう分かってたんだ

気付かなかった…いつも通りいってらっしゃっいって…笑ってくれたから…」



傷を治してくれる妖精



傷が治ったら…


なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろう




「さよならも…言えないの?」



左手の中指を見る

残りの瘡蓋も、辛うじてそこにあるだけ



もうニノは居ないの…?




「そんなの…やだよ…」






「傷を癒してくれる人がそこに居たんですね?

ちょっと見せてください」



背中を擦りながら、こんな訳の分からない奇妙な話を

一つも否定せずに隣で聞いてくれてたニノが

そっと左手を寄せると


じーっと見つめた



「…居る気がします」

「えっ?!」

「この瘡蓋…今日中には取れないんじゃないかな

ってことは、まだ居ますよ」

「じゃあなんで?なんで聴こえないの?!」

「役目を終える直前だから、すごく小さな声になってるのかもしれませんね

マネージャー呼んできます

ここよりあなたの部屋のほうが静かで聴こえ易いんじゃないかな


ほら、元気出して」

「…うん」

「きっと会えますよ」



バタンとドアが閉まって、走っていくニノの後ろ姿が見えた

















つづく