※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「見える?」
「見えない」
「声が聞こえるなら見えるかもしれないな…
ちょっとさ、そこに集中してみてくれない?」
「集中…」
じーっと、左手を見つめた
皮膚、爪
それだけ
「…見えない」
「名前、オオノサン…で合ってる?」
「うん、大野智」
「呼ぶから、集中してね」
「分かった」
「行くよ…大野サン、大野サン、大野サン」
全神経を、声と、左手に集中させる
「大野サン、大野サーン、大野サーン!」
なにも無かった空間に
ぼんやりと…なにかが見え始めた
「はぁ~疲れた、やっぱ無理かぁ」
「薄ぼんやり…見えたかも…」
「マジで?!ぼんやりって?どれくらい?!」
「だから、薄ぼんやり?」
「もう少し頑張ってよ!俺も頑張るから!」
「うん…」
「大野サンッ、大野サンッ、ここだよっ」
輪郭がはっきりしてきて
色がつき始めた
徐々に向こう側が透けなくなって…
「…あ、居た」
左手の中指の先に、黄色い傘を差した人間みたいなモノが居た
「見えたの?!ねぇ!ほんとに見えた?!
ここだよ!ここっ!おーいっ!」
嬉しそうな顔して、中指の上で、思いきり手を振っている
「見えたけど…」
これってなんか…
「マジか!やった!ちょー嬉しぃ~!!」
中指の上で、ぴょんぴょん跳ねてる
「君…誰?」
「一応、ブタって名前らしいけど、俺は気に入ってない」
「ブタ?なんで豚?」
「さぁ…よく分かんないけど、かなり高い確率でそう呼ばれてる」
少し早口で、でも聞き取り易くて、心地好く響く
…これって、ニノの声?
白い肌に、ひょろっとした手足
すっと通った鼻筋、片方だけ上がる口角
姿も、顔も、全部ニノ
指先サイズのニノだっ
可愛い~!
けど…なんだこれ?
つづく
明日の更新、一時間遅れます。