血炎・27 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















ぺち




「……?」



大野さんが受けたものと同等の衝撃を覚悟していたのに

小さな虫さえも殺せないほどの柔らかな張り手



「殴っちゃった、痛いでしょう?」

「…痛くないです」



目を開けると、すぐ側に悲しい顔をした大野さんのお母さん



「思い切り殴っちゃったもの、痛いでしょ?」

「痛く…ないです」




優しい大野さんのお母さんに、こんなことまでさせてしまって…


もう二度と、ここへは来れないのかもしれないな



分かってたけど、やっぱり…




最後にもう一度だけ



大野さんも、大野さんのお母さんも


いつもみたいに笑ってくれないかなぁ…






頬から手が離れると、ぎゅっと、身体が包まれた



「痛いよね…痛いよね…


痛くて涙出ちゃうよね…」



大野さんのお母さんが泣いてる…?



「…母ちゃんの…ビンタは…痛いからなっ

涙…出ちゃうよなっ」



大野さんも泣いてる



…なんで?



笑って欲しいのに

笑顔が見たいのに



なんで…なんで…



やだよ…




「痛いよね…」

「痛いよなっ」



「いた…く…ない…です」



人からこうやって抱きしめてもらうのは初めてで

身体を包む体温がぽかぽか暖かかった




…認めたくなかったけど、無理だったなぁ



大野さんにも知られちゃったし

大野さんのお母さんも泣いてるし…



最後に、すごく馬鹿みたいな話を

一つだけ話してもいいかな?




「あのね…」

「なぁに?」



「俺…ね」

「うん」



「この家に…生まれたかったです」

「…うん」



「大野さんがお兄ちゃんで」

「うん」

「大野さんのお母さんが、お母さんで」

「うん」



それでも俺は、余ったのかもしれないけど



「…ご飯とか一緒に食べて」

「うん」

「…一緒に…遊んだり…勉強したり…それから…」

「うん」

「時々でいいから…俺のこと…笑顔で名前呼んでくれたり…」

「うん」



「…そういうふうに…ここで…」




そのあとは、言えなかった



歪んでいた景色が、すごい勢いで流れていったと思ったら

すごい量の水分が、目と鼻から流れていた



そして、自分のものとは思えない声が

うわーん、うわーんって響いていた















つづく