※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「ニノ、帰るならこれ履いてけ」
病院の出口で、大野さんが履いていた靴を渡された
俺…裸足だ
気付かなかった
「俺がこれを借りたら、大野さんが困るじゃないですか」
「いいんだよ」
「よくないですよ~
自分の靴と服、明日取りに行きます
おやすみなさいっ」
「ニノっ!」
「和くんっ」
暗い夜道を、裸足で駆けた
「ぅわっ」
大きな石を踏んで足を止めると
空に浮かぶ月が
歪んで見えた
…どちらだろう?
「…そんなの決まってるよ、俺だよ」
月が歪んでるんじゃない
俺が歪んでるんだ
「あれ?和くん?どうしたの~?」
チャイムを押すと、大野さんのお姉さんが出迎えてくれた
「こんにちはっ」
出席を取らないおじいちゃん先生の授業を抜け出した
「母さんは出掛けてるの、智も学校だし」
知ってます、だからこの時間に来たんです
「和くん、学校は?」
「少しだけサボリ中です」
「ふふっ そうなの~?」
「はい、昨日忘れ物しちゃったんです
それを取りに来ました」
これかな?と言って大野さんのお姉さんが持ってきてくれた紙袋には
きちんと洗濯された俺の服と、ビニールに包まれた俺の靴が入っていた
「これ、お借りした服です、ありがとうございました」
「智の?」
「はい」
「大学行く前にお昼ごはん作るんだけど、和くん一緒に食べない?」
「いえ、サボリがバレますので」
「そっか、じゃあ、またね」
「はい、お邪魔しました」
大野家の香りがする紙袋を抱きしめて走る
「またねって言われちゃったっ
良い言葉だなっ!」
おじいちゃん先生の授業が終わる前に
学校へ戻った
「ニノっ」
あ、大野さんだ
「はーいっ」
「ふぅ…探した、買い物、一緒に行くぞ」
…探した?
「大野さん、部活は?」
「休んだ」
「あははっ ダメじゃないですかぁ~」
「いいんだよ、ほら、行くぞ」
つづく