※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
1年3ヶ月後・3
先生がいつも使っていた台と椅子を持ってきて
それに画板を置いて、向かい合って座る
一つ呼吸を置いて
丁寧に包装を剥がす
「ぅっ…っ…なんで…知って…」
だからさぁ
泣くと涙で滲んで見えなくなるんだってば
先生
先生
あなたから見える世界に、僕がいますか…?
「…見てい?」
頭が痛くなるくらい泣いて
外が薄暗くなったころ
松本が画板の裏側に立って、静かに聞いた
忘れてた…訳じゃないけど
ホントに素知らぬ顔で
近くない、だけど遠くないところで
俺をずっと待っててくれたんだ
「…いいよ」
「サンキュ」
俺の後ろに回った松本は
そこから絵を覗きこんだ
「おぉ~綺麗だなぁ…」
一面の青
空と海
煌めく砂浜
「南の島…?」
「さぁ…どこだろうね」
「…このサイン、長くね?
H…A…P…HappyBirthday?
N、I、N、O…ニノ?二宮?!
お前まさか誕生日?!」
「そう」
「おぉ~おめでとう!」
「…どうも」
今日は、俺の18回目の誕生日
なんで知ってるのか分からないけど
これは先生からの、バースデープレゼント
「これさぁ…お前?」
「…え?」
砂浜に、海を眺める男が一人、立っていた
「なんで?!」
「なんでって…
立ち方とか…雰囲気?
まんまお前じゃね?」
「うそ…」
これは、先生が今見ている風景を描いて
送ってくれたんだと思う
そのなかに、俺がいる…?
「これ送ってきたのって
俺らが1年の時に少し居た奴?」
「…うん、多分」
「…好きなの?」
「…さぁ」
「俺にしとけば?」
「……は?」
「そんな今どこに居るかも分かんない奴じゃなくて
俺にすれば?」
思いもよらない言葉に
俺の頭は真っ白になった
つづく