今朝搬送されてきた救急患者。
90代女性。心肺停止。
脳梗塞後遺症で寝たきり、などの理由で近医開業医の往診を受けていた。
5月頃から食が細くなり、胃管から少量の栄養を入れるのがやっとの状態。
ここ最近ではそれすら困難になり、1日おきに近医が往診し、点滴をしていた。
今朝、ヘルパーさんが一旦は呼吸があるのを確認している。
その後、呼吸が止まりそう(?)という状態になったため、
いつも往診している近医に電話連絡。
一旦は経過観察の指示を受ける。
その後、呼吸が止まったため、再度近医に電話。
救急車を呼ぶように、との指示を受け、救急要請。
(救急要請したのが家族かヘルパーかは不明)
※ これらの情報は、最初から全てが分かっていたものではなく、
事後に改めて聴取して明らかになったものもあります。
心臓マッサージされながら当院へ搬入。
心臓マッサージを継続、気管挿管、採血・・・
同時に、救命センターの医師が家族に状況を確認。
家族(息子さん)いわく、
家で看取るつもりで話をしていたのだが、
主治医の先生に電話したら救急車を呼ぶように言われたので・・・
救急車を呼ぶとこうなるから呼びたくはなかったのだけど・・・
とのことでした。
このような家族の意思が得られたので、10分足らずで蘇生行為は終了。
死亡確認となりました。
どうでしょう。
なんともやるせない一件でした。
救急隊は、救急要請を受けた時点で、
救命のための行為、すなわちこの場合であれば心肺蘇生術に
全力を注がなければなりません。
それを行わないと判断する権限は、救急隊にはありません。
往診していたという医師も、通常の外来診療の時間帯であれば、
このような場合にすぐ往診することは難しいでしょう。
上に書いた断片的な情報だけで、
この医師だけを責められるものではありません。
医師ひとりの力ではどうにもならない、
行政の面も含めた診療環境の問題も大いにあるのだろうと思います。
本人・家族も納得した上で自宅で安らかに逝きたい/看取りたい
という意思が明確であるにもかかわらず、
それをその意思の通りに描けない・・・
そして実は、このようなことは決して珍しいことではないのです。
なんと哀しい現実なのでしょう・・・




