【夏疾風】は、なじゅさんとのコラボ作品になります♡

 

妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。

 

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なじゅさんのEP3↓


 

 

(episode4)

 

「・・・ニノ、今の・・・マジ?」

 

ビックリして慌ててニノの正面に屈み込んで顔を覗き込んでみても目線も合わせてくれない。

 

それでもニノが俺の言葉を否定はしなかった・・・その事実が嬉しくて。

 

堪んなくて両腕を伸ばして、慣れないながらにニノの身体を腕の中に収める。

 

小さく震える肩先・・・ニノを泣かせてんのは俺・・・なの?

 

「ねぇ・・・ニノ」

 

顔を見たら絶対に答えてくれない気がして、ニノの肩に顎を乗せたままで俺が声をかけると、

 

「聞くな・・・バカ」

 

それだけ答えて黙り込む。

 

ニノの気持ちが触れた肌越しに流れ込んでくるような、不思議な時間。

 

2人とも無言、聞こえるのは外で煩くなている蝉の声だけ。

 

爆発するみたくドキドキしている心臓の音すら伝わりそうな、そんな静かな時間をこんなにも愛おしく感じたのは初めての経験だった。

 

お互いの体温を感じるみたく暫く黙り込んだままで抱き合っていると、

 

「・・・汗臭っ」

 

ポツリと呟いたニノの言葉・・・え、もしかして今のは幻聴?

 

このシチュにその言葉は似合わないじゃん!

 

「・・・ニノ?」

 

「潤くんってば、汗まみれなんだもん」

 

「つかお前、この場面でそんなこと言う?」

 

「だって、クサイんだもん・・・なんか湿っぽいし」

 

「仕方ねーだろ!翔くんに相談するためにこのクソ暑い中で歩けば汗くらいかくだろ?!」

 

「俺だっておーちゃんと一緒に画材屋さんまで歩いたんだけど?」

 

・・・言われてみれば、そうだ。

 

でも、ニノからはふんわりと甘い匂いしかしないし、ぶっちゃけめっちゃいい匂いだし。

 

「仕方ねーじゃん・・・俺、汗っかきだし・・・分かった、シャワー浴びてくる」

 

不貞腐れ気分でそこまで言った時点で、ニノが耐えられなくなったみたく吹き出した。

 

「ごめっ・・・嘘だよ・・・なんか安心したら急に恥ずかしくなっちゃった」

 

ニノが上半身を少し離して真正面から俺の顔を見る。

 

泣き笑いのニノは目を真っ赤にしながら、それでも可愛い笑顔を俺に向けてくれていて、その笑顔がニノのツクリモノではなことが分かって俺もホッとする。

 

でも、次の瞬間には、また無言。

 

だって、俺も恥ずかしくなって絡んだ視線を一旦解いて、くっつきあったままで2人してどう動けばいいのか分からなくてフリーズ状態。

 

・・・翔くんとかなら、こんな時・・・シレッとキスしたりすんのかな。

 

でも、俺にはできねー!!

 

だって恋愛経験値ZEROの中学生だもん、俺。

 

俺が心の中で叫んだ直後、

 

「意気地なし」

 

ってポツリとニノが呟いて、抱きしめたままになっていたカップを床に置いて急に表情を変えてキッと俺を睨むみたく見る。

 

「・・・え?」

 

「潤くん、俺はA高を受験する・・・おーちゃんが言ってたもん。未来も大事だけど今も大事だって。だったら俺は今を大事にしたい・・・勉強なんてやる気があればどこでもできる」

 

真面目な表情でそう言われて・・・その直後にほっぺたをムニっと摘まれて、

 

「イテッ・・・何すんだよ?」

 

抗議の声をあげた俺にニノが、

 

「潤くんは・・・どうするの?」

 

途端に不安げな瞳になって、そのギャップにクラクラして・・・そんなの答えなんて決まってるじゃん。

 

「陸上だって・・・どこでもできるし・・・A高・・・陸上部あるし」

 

「今を大切にすれば、それが未来に繋がるんだもん・・・だったら俺は潤くんとの時間を選びたい」

 

「・・・お前」

 

・・・お前、自分が何言ってるか分かってんの?

 

それ、完全に告白なんですけれど。

 

とか、ほっぺをムニムニされながら言われてる俺は、なんとなくニノの尻に敷かれそうな予感しかしない。

 

・・・ここで軽くキスでもできれば完璧なのに。

 

それができない俺はヘタレなんだけれど、もう暫く・・・ニノとのこんな甘ったるい時間を楽しんでいたい・・・かな。

 

バラバラになりかけた俺とニノの気持ちが一つに向いたその時、俺たちの部屋を見上げる3つの怪しい影の存在があったなんてことは俺たちは知る由もなくて。

 

「ったく、世話が焼けるんだから。最初から素直に話してりゃこんなにこんがらがることもなかったのに」

 

「ニノの部屋から出てこないってことは、うまくいったってことでいいんだよね?」

 

「ああ、俺とニノがあの場所を通りがかったのはリアルに偶然だったけど、それがきっかけでいい方向に進んだんならいいんじゃねーの?」

 

「どうせ近い内に話をさせるつもりだったもんね・・・2人とも様子が変だったし」

 

「・・・今の気持ちが友情なのか・・・違う種類のものなのかはまだ分かんねーとは思うんだ、あいつらにも・・・俺たちにだって分かんねーよ」

 

「ま、見守って行ってやろ?とりあえず俺たちはあつらの兄貴みたいなもんなんだし」

 

「それにしてもクソ暑いな・・・」

 

「翔ちゃんってば汗・・・すごくない?」

 

「うるせーな・・・雅紀だって汗だくじゃんか!」

 

「5分待って突入だな・・・」

 

「「オッケー」」


…2人の運命は神のみぞ知る…?

 

(終)

 

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なじゅさんのEP4↓