顔を上げ、しばらく上を見つめるゆづ。
リンクで、これまで何度も目にしてきた光景だ。
その視線の先を追いかけたとき、
いつもそこに応援のバナーがあることに気付いた。
ファンがそれぞれの想いを込めて、手づくりしたバナー。
見た目も大きさもいろいろだけれど、
そこにあるのは、どれも同じ、心からゆづを応援する気持ちだ。
練習で。
それをひとつひとつ確認するかのように
じっと見つめるゆづを見て
皆の気持ちが伝わりますように、と願っていた。
試合で。
思うようにいかなかった演技の後で、
とても悔しそうだった演技の後で、
天を仰ぐように、顔を上げたゆづがいた。
そこで、気付いた。
彼がしっかりとバナーを見ていたことを。
視線を外さずにいたことを。
その時、何を考えていたのかは、
もちろん、ゆづにしかわからない。
しかし、それを通して、応援しているすべてのファンの想いは
しっかり伝わっていると確信した。
そう。
いつでも私たちの気持ちはあなたの側にある。
良い時、悪い時、うれしい時、悲しい時。
いつでも変わることはない。
それを覚えていて。
それを思い出して。
観客席を、バナーを、見てくれてありがとう。
その後ろにある、何千、何万のファンの
それぞれの場所から応援している想いを、
感じてくれてありがとう。
たとえ、毎日に困難なことがあっても、
私たちも顔を上げて前に進もう。
これから、ゆづが手にする多くの輝きを、見逃さないために。