これだ!と思えることがあるならやってみること
ブロッケンを突き動かしたもの
完璧始祖編。
ブロッケンJr.vsサイコマンの試合中にあった回想シーン。
ゆでたまご『キン肉マン54巻』集英社
ブロッケンJr.がソルジャーチームの一員だったころ、ひたすら石を握りつぶすトレーニングを行っていました。
あまりに異様なトレーニングだったため、傍らにいたバッファローマンも驚いていたほど。
バッファローマンのみならず、そばにいたメンバー皆に奇異の目で見られていたのもかもしれません。
「石を毎日1000個以上も握りつぶすなんて、ブロッケンはトチ狂ってしまったのか?」と。
そこでバッファローマンはブロッケンに尋ねました。
「なぜそこまでやるのか?」と
その問いかけに対しブロッケンは次のように答えました。
「“これがブロッケンJr.だ!”って言えるものをひとつくらい持っていたい… あるとすればコレさ!」
誰に命じられたわけでもない握力強化トレーニング。
それを「これだ!」との思いを胸に、自らの意思で続けていったわけです。
なぜそこまでやるのか?
比叡山延暦寺の荒行で「千日回峰行」というものがあります。
平安時代からある修行で歴代の達成者は51人。
7年ほどかけて行われるこの修行、
メインとなるのは「ただひたすら歩く」
1日30㎞から84㎞を年間100日から200日連続で歩き巡礼を行います。
炎天下の日もあれば嵐や雪の日もある。
しかも運動靴みたいな歩きやすいものではなく草鞋。
病気やケガで休むことは許されないそうです。
途中で投げ出したら自害しなければならないとのこと。
千日回峰行は5年目をすぎたころ、堂入りという最も過酷とされる修行が待ち構えています。
堂入りとは9日間、断食、断水、断眠、横になることさえできない状態でお経を唱え続ける…という凄まじい修行。
ハンパないですよね。
堂入り5日ほどで瞳孔が開き、終わり間際は死臭が漂うというんですから。
巡礼だって過酷でしょう。
フルマラソンの距離を毎日1~2回歩くようなもの。
それも平坦な舗装された道だけでなく山道、獣道ありの行程。
「なぜそこまでやるのか?」
と感じますよね。
きっとその心境は、修行に挑む僧侶にしかわからないのだと思います。
誰に言われたわけでもない。
彼らには「これだ!」との思いがあって、自主的に仏道修行に励んでいるのだと。
そこに常識的意見、一般論が介入する余地はないと思います。
「俺はやりたいとは思わねえな」
それでいいと思います。
私もやりたいとは思わないです。
人それぞれ「これだ!」と感じるものは違いますから。
私は18~19歳の頃、プロレスラーになるためにヒンズースクワットを1日おきに1000回やっていました。
「これだ!」との思いを胸に。
私のヒンズースクワットにしても、
あなたが「これだ!」と感じるもの… 日々熱心に取り組んでいるもの、過去に取り組んできたものにしても、
千日回峰行に挑む人は「私はやりたいと思いません」とたぶん言うでしょうから。
人によって価値観が違うのだから当然です。
あなたの「これだ!」は何?
大事なのは、
本人にとって「これだ!」と感じることをやることです。
「自己満足?」
「何の意味がるの?」
「その年齢じゃ無理でしょ」
そのようにあれこれ否定的に言う人も出てくるかもしれません。
そこで周りの目を気にして、
せっかく湧き出てきた「これだ!」にフタをして抑え込んでしまう…
“魂の声”より世間体優先…
で、なんとなく不本意ながらも「みんなが行く方向」へ行き、日々神経をすり減らす…
「あのときやっておけばよかった」と後悔…
そういう人ってたくさんいると思うんですよね。
ブロッケンだってあのとき、
「周りからヘンな奴だと思われたくないから」という理由で握力強化トレーニングを投げ出してしまっていたら、後々どうなっていたでしょう?
“ちょっと粋がった青二才超人”で終わっていたかもしれません。
周りの視線をものともせず、
自分の「これだ!」との思いに忠実になってトレーニングに励んだ、
だからこそ、あのサイコマンも一目置くほどの握力を手に入れることができた、
超人レスラーとして一回り大きくなることができた、
のではないでしょうか。
人って、「周りからヘンに思われないために」生きてるわけじゃないですよね。
周りから何と言われようが、「これだ!」というピンときた思いを大切にすること。
結局、その人の人生はその人にしか決められないのだから。
それぞれが心にヒットしたこと、
「これだ!」と感じることをやる、
それが人生の要ともいえるのではないでしょうか。