尾行。それは探偵の基本ともいえる仕事だ。
探偵の服装といえば、インバネスコートに鹿撃ち帽などと想像するかもしれないがそうではない。もちろんパイプを吸っているわけでもない。
周囲に溶け込む格好、即ちどこにでもいそうな街人を装わなければならない。
カートランドはこの誰にでもできそうな事が実は苦手であった。
彼は普段着にスーツとハットを身に纏っている程フォーマルな体裁なので、プライベートの方が探偵らしい格好をしているのであった。
茶色のベストに暗めの紺色のドンキーコート、首にはカーキ色と橙色のチェック柄マフラーを纏い、黒いショートブーツに青系のジーンズといったスタイルで、ロバート・ジェイムズの職場の前の通りの幾分離れたベンチに、あたかも新聞を読んでいるかのように腰掛けていた。