まだ薄暗くなるにはもう少しかかる。
そよ風と共に冷たい空気が肌に染み渡る。
新聞に穴が空くほど読みつくして、もしかしたらそこから風が吹き込んでいるかもしれない。
傍から見たらそう思えるに違いない。
カートランドがまた一から新聞を読み直す「フリ」をしようとした時だった。
郵便局からスーツ姿にスーツケースを持った一人の男が出てきた。
中肉中背、はっきりとした二重まぶたにぼたっとした目、鼻は横に大きく、立派な口髭をたくわえ、四角とも言える輪郭。
写真で見たことがある。
ロバート・ジェイムズだ。
男は帰るべき自宅とは反対方向に足早に歩いていく。
なにかある。カートランドは新聞を歩道に設置されているゴミ箱に捨てると、男の後を追った。
追跡開始だ。