【おめでとう】
ずっと 待っていたのに
いざ この日になると
なんだか切ない
会えなくなった人の顔を思い浮かべながら
自分と家族と空の彼方に向かって
僕は「おめでとう」とつぶやく
新しい年
僕は静かに前を向く
空は青く晴れ渡る
風は清く流れ去る
鳥の羽ばたきが
しんとした空気に命を与える
今日から また生きていこう
そして また生きていこう
新しい今日という日が
かけがえのない一日になったら
僕は自分に
大きな拍手を送りたい
自閉症の作家・東田直樹さんが、
3年前のお正月に発表された詩です。
清々しく、静謐な雰囲気が漂っていて、
元旦の雰囲気にピッタリだと思います。
真冬の冷たい空気の中、新たな気持ちでいる
東田さんの決意が伝わってくるようです。
読めば読むほど、心に染み渡ります。