ピアノ奏法・二つの世界線 | 台東区入谷・浅草・三ノ輪のピアノ教室《高島ピアノ塾》とバレエピアニスト高島登美枝のブログ

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歴史と文化の地・台東区(浅草 入谷 上野)の《高島ピアノ塾》。
主宰者は早稲田大学出身の異色のピアニスト。
伴奏業の傍ら、東京藝大大学院で博士学位を取得。
20代から「音楽による経済的自立と社会貢献」を実践し
逆境から夢を叶えた音楽起業家人生のストーリー。

先日のブログ↓では
人からの評価を求めて

足し算する人生がしんどくて
つくづく嫌気がさした…という話を
書きましたが――




これ、ピアノ奏法も同じなんですよね~笑
 

どーゆーことかと言うと…

 

 

脱力奏法とは引き算

すご~く大雑把に言うと、
ロシアピアニズムの身体使いって
要するに脱力奏法なんです。


(これ、あくまでも大雑把な話で
身体使いのごく一部分に

限定して言ってるからね。

炎上はごめんやで汗うさぎ


で、ピアノ奏法における
脱力とは何かということを
これまた大雑把に説明すると…


まずは脱力することで腕の重みを
鍵盤に乗せる(伝える)ことから始まるわけ。


ピアノは鍵盤を押すから
音が出る楽器だけど、

鍵盤を指の力で押すのではなく、
腕の重みを利用して押す。


だから脱力奏法は
別名、重量奏法とも言われます。
 

…と、以上が基本の考え方。

 

 

本当に脱力したら曲にならない(笑)

でも、ここでしばし
よく考えてみてほしいのです。

本当に本当に100%
腕を脱力しきって
腕の重みを鍵盤に落として
ある1音を弾いたら
その音は弾けても、
次の音に移行できないでしょ。

力が抜けきっているから

その鍵盤には
いつまででも乗っていられるけれど、

そこから他の鍵盤に移動しようと思うなr
その鍵盤にかかっている重みを
いったん引き上げて
それを次の鍵盤に
落とし込まなきゃなりませんから。

引き上げるってことは
多少なりとも完全脱力状態に対して
力を加えることになるでしょ。

だから脱力奏法と言っても、

実際の曲の演奏では、
脱力しきって
腕の重みで鍵盤にもたれるのと

ほぼほぼ同時に
鍵盤が勝手にはね返るところまで
最小限の力で腕の重みを
引き上げるベクトルも働かせています。

この最低限の引き上げ力が
いわゆる「支え」。

 

重みをかけて
鍵盤にもたれるのが基本だけど、

もたれたところから

「引き算」もしてるわけです。

 

 

毎瞬ゆらぐバランスを

ただね~真顔

日本語って難しくてあせる

「支え」という語を使うと
固くして力み続けちゃうイメージを
持つ人もいるから…

「二つの相反する力のベクトルの
釣り合いのバランスで弾く」

と言ったほうが正確に伝わるかも…上差し

 

スポーツトレーニングなんかで言われる
「アイソメトリクス」でもあり、
バレエでの「床反力」と
同じような感じですね。


このバランスの釣り合いを
どこにどのタイミングで作るかで
強弱はもちろんのこと
音色(響き)を変えることができます。

 

ちょっとした筋肉の使い方や
腱の支えの働かせ方、
呼吸(に伴う筋肉の動き)などで
毎瞬毎瞬、必要に応じて
欲しい音になるよう
釣り合うポイントを創っていきます。


ただ、これには
個人の手の形や体格も関わるので、
具体的にどこをどうするかという話は
ここでは書きません。


(てゆーか、言葉では
とても書き表せない絶望
 

 

足し算奏法は苦しい

昔の私は「足し算」の奏法でした。

弾く前に

どの程度の重みをかけるか計算して
あらかじめそういうふうに

身体を「構えて」
鍵盤に触れるようにしていました。

だって、その弾き方しか

教わらなかったから。

 

それがすべてで

それが正義であり真理だと思って
弾いていました泣

足し算奏法は
コントロールが大変だし、
精神的にも苦しいし、
ミスタッチの危険も増えてハイリスク。

でも「ピアノを弾く」って
そういうものなのだと
ずっと思っていて、
そのためにすごく努力してきました。

確かに正しいかどうかというと、
足し算奏法は間違いではないけど、
足し算奏法と引き算奏法では
紡ぎ出される音色も全く違ってますし、
音から音への移行も異なります。

 

結果的に
出来上がって来る音楽は
全く違う表情になります。

 

例えるなら、
油絵と水彩画の違いのようなもの。
同じ風景を同じ構図で
同じ画家が描いても、
全く別の印象になりますよね。

そういう意味では、
足し算奏法で表現される楽曲の世界観と
引き算奏法のものとでは
どっちもあ「あり」なんです。

一つの楽曲に対して、
どっちもあり得る、
しかし全く別々の現実、
つまり「パラレルワールド」ってこと。

書いていて気付いていしまったひらめき電球

なんかこれ、
めっちゃバシャール的世界やん笑

 

ピアノも人生も引き算で

足し算奏法か引き算奏法かは
究極、好みの問題。

今の私は
引き算で創る音の方が好きだし、
身体にも心にも楽で自由。

 

引き算奏法は
脱力した自分の腕の重みそのもので

鍵盤に持たれるところから始まるでしょ。

人生もね。

ええかっこせずに
脱力して無理しない自分を
世界や社会に投げかけてみることが
楽で自由な生き方なのかも。
 

…とそんな風に思うようになった
2024年の春なのでした。


ルンルン言葉だけじゃわかりにくいので

インスタリールを作ってみました。


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