浅草 入谷 台東区のピアノ教室
《高島ピアノ塾》主宰、
バレエピアニスト、音楽学研究者、
コレペティトゥア兼歌曲伴奏者の
高島登美枝です。
本日もご来訪ありがとうございます。
先日、FBでかさこさん※が
「12星座占いやっている人は
古代と現代で
星座がずれているってことを
どのように説明して
占っているのだろうか？」
という趣旨の投稿をされていました。
※本名・笠原崇寛。トップブロガーの一人。
カメラマン、ライターなど、多方面で活躍。
かさこ塾（「好き」を仕事にする大人塾）主宰。
このツッコミ、
占星術の
最も基本的な概念に関係しています。
学会発表の質疑応答でよく
「素人質問ですが…」
という前振りのもと、
鋭いツッコミが来ることがありますが、
まさにアレです。
かさこ塾生やかさこさんのFB友達には、
スピ系や占星術の専門家が多いので、
誰かレスを付けるかな～と
様子を見ていたのですが、
誰もつけないので、
仕方なく（笑）私が書きました。
そしたら、かさこさんから
ブログネタとして、
この問題をきちんと書くよう
勧められたので、
今日はこの問題を
取り上げてみようと思います。
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え～と。
その前に、
ピアニスト・高島登美枝が
なぜそんなに占星術に詳しいかについて。
本ブログのフォロワー歴の長い方は
ご存知だと思いますが、
高島、8歳頃から、
西洋占星術を勉強しております。
タロットは9歳頃から。
30代からは気学も研究し始め、
40代で家を買った時は、
風水と四柱推命と易を
めっちゃ掘り下げました。
でも、これ、あくまでも
自分の人生設計と開運に
使用しているだけで、
人の鑑定はほとんどやらないのですが。
･:,｡ﾟ･:,｡★ﾟ･:,｡ﾟ･:,｡☆
さて、
かさこさんのツッコミの件ですが。
なぜこういう疑問が出てくるかというと、
話せば長いことながら…
占星術が誕生した古代と現代では
夜空の見え方が
ズレてしまっているからです。
なんでズレたかというと…。
地球は自転しているのですが、
地球自体がきれいな球形ではないのと
太陽や月の重力の影響を受けることで
この自転軸そのものが
振られてしまうのです。
具体的には、
ちょうどすりこぎかコマに似た感じの
首振り運動が生じているのですが、
この運動のことを
天文学用語で
「歳差運動」と言います。
…といってもこの首振り運動、
2万5千年周期なので、
我々が体感することはありません。
以上、物理学的な詳しい話は
Wikiを見てちょ↓
（歳差運動のアニメーションも出てます）
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%B3%E5%B7%AE
･:,｡ﾟ･:,｡★ﾟ･:,｡ﾟ･:,｡☆
西洋占星術が生まれたのは
古代メソポタミア文明ですから、
既に誕生から
3千年くらい経っております。
古代の人々は
夜空の星の動きを目視で観測し、
その周期性を経験則で読み取り
占星術概念を
体系化していったわけですが、
ここで一つ問題が
彼らが見た天空のドーム（＝天球）と
現代の我々が見る天球は、
この歳差運動のせいで
結構、違った風景に
なってきているということ。
2万5千年周期のうちの
3千年経過ですからね。
侮れない差が生じているのです。
どう違ってくるかというと…
地球の自転軸は、
これを延長していくと
天球上の北極と南極になります。
歳差運動のせいで
これが移動するために、連動して、
天球上の赤道も、
天球上の太陽の通り道＝黄道も
みんな移動してしまうのです。
ですから、
かさこさんのご指摘のように
現在の黄道上には
古来の十二星座に加えて
へびつかい座も存在することになります。
近年、
十三星座占いなどというものが
出現したのは
こういう現状を
反映させたがゆえなのです。
古代そのままの
十二星座で占っている人は
この矛盾をどう説明するのか、
というのが、
かさこさんのツッコミの趣旨です。
･:,｡ﾟ･:,｡★ﾟ･:,｡ﾟ･:,｡☆
しかし、ここには
根本的な誤解があります。
確かに、占星術の始まりは、
夜空の目視観察からでした。
けれど、
体系化される過程において占星術は
円や球に関する幾何学概念を取り込み、
実際の夜空の見え方に拠らない、
より観念的・抽象的な世界観による占術へと
変容していきます。
その結果、
現在、占星術で用いる十二星座は
黄道360度を12等分した
各30度の帯域の
名称に過ぎないものとなっています。
要するに目盛り。
つまり、占星術の十二星座は
現実の夜空とは無関係な
ヴァーチャル概念なのです。
シンボルと言っても良い。
実際、英語では
占星術の星座のことは
sign と呼びますが
夜空の星座は constellation です。
単語も別。
わが国でも、
占星術の輸入当初から
専門家はここをきちんと区別しようとして、
牡羊座、牡牛座…という言い方ではなく
白羊宮、金牛宮…と呼んでいたのですが、
世間的には「○○座」のほうが
普及していますね。
やはり「白羊宮」というより
「牡羊座」「おひつじ座」という方が
視覚的にも意味的にも
親しみやすからでしょうか。
かさこさんのツッコミの背景には
占星術上の星座概念と
実際の夜空の星座との
混同があるのだと思います。
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それにしても…。
かさこ塾関係には
西洋占星術の占い師さんが
大勢いらっしゃるのに、
なぜ、かさこさんのツッコミに
ちゃんと即答できないのかな、
と思います。
みなさんプロなのに。
私が占星術の勉強を始めた頃は
ホロスコープは手計算でした。
今は、生年月日を入力すれば
ソフトが一発で
ホロスコープを表示してくれます。
だから、
こういう基本概念を知らなくても、
「○○座の性格はこうこう」
と覚えれば鑑定はできてしまう。
極端言うと、
ネットに上がっている情報だけ
半年ほど独学すれば
開業できてしまうんです。
だから、キツい言い方をすると、
占星術の仕組みもろくに知らない
「なんちゃって占い師」が
話芸とキャラクターで集客して
鑑定とは名ばかりの
コンサルティングをしているケースが
「鑑定」と呼ばれるものの大半なのです。
実際私が、
かさこ塾関係のイベントで
経験した残念な出来事ですが…。
とある超・売れている占い師さんと
占星術トークをするのを
楽しみに集まりに参加したら、
向こうの知識が浅くて、
一言しか
会話にならなかったことがありました。
いや、決して大した話を
したわけではないんです。
その方のブログなどを拝見していて
鑑定スタイルが気になっていたので、
会話の糸口として、
「先生は古典ですか、モダンですか」
と、鑑定手法について、
お伺いしただけだったのですが。
あちらは、
そういう質問が来ること自体を
想定しておられなかったようで
一瞬非常に驚いた表情をされ、
その後目を泳がせながら（笑）
「古典かモダンかと
敢えて聞かれればモダンですが、
そんなこと意識したこともなかった」と。
いや～。
ほんと、がっかりでした
それでも大勢のお客様が
その方のことを望んでいるから
その方は売れっ子なのでしょうけれど、
だったら「占星術師」と
名乗らなきゃいいのにな、と思います。
「コンサルタント」か
「アドバイザー」で仕事をして
その中に占星術の手法を
取り入れているということにすれば
看板に偽りなし、なのにね。
結局、コンサルタントの看板を
上げる勇気がないから
占星術をダシに使っている。
クライアントは素人だから
ばれないと思っているってことでしょ。
そういう人がいるから、
占星術の奥深さが
全然伝わらないわけですし、
またその程度のものが
占星術だというふうに
間違って受け取られることになる。
占星術、舐めんな
と思いましたよ、ほんとに。
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