「音大生と仕事」について考える:番外編・確定申告のおはなし | 台東区入谷・浅草のピアノ教室《高島ピアノ塾》とピアニスト高島登美枝のブログ

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歴史と文化の地・台東区(浅草 入谷 上野)の《高島ピアノ塾》。
主宰者は早稲田大学出身の異色のピアニスト。
伴奏業の傍ら、東京藝大大学院で博士学位を取得。
20代から「音楽による経済的自立と社会貢献」を実践し
逆境から夢を叶えた音楽起業家人生のストーリー。

浅草 入谷 台東区のピアノ教室

《高島ピアノ塾》主宰、

バレエピアニスト・バレエ音楽研究者、

コレペティトゥア兼歌曲伴奏者の

高島登美枝です。 

本日もご来訪ありがとうございます。

 

「音大生と仕事」シリーズ、

ご好評をいただき、

ありがとうございますハートユウコ

 

重たい記事ばかり続いたので、

今日はちょっと

番外編をお送りしようと思います。

 

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立春を過ぎ2月

バレンタイン・デーが過ぎくりぬきハート

スギ花粉スギ花粉の本格的飛散(=悲惨)と共に

音楽家にやって来るのが、

確定申告えーんのシーズン。

 

一昨日の記事末尾に、

「音楽家」と呼ばれる仕事の

業態について書いたのを

思い出してください。

 

=復習コーナー=笑

A.雇用される側(定収あり)
B.フリーランス(仕事を単発で請け負う)
C.雇用する側(経営側)
※Aはさらに…

A1.フルタイム雇用の人

A2.パートタイム雇用の人

…に分けることができます。

 

A1の収入だけの人は

会社員の方と同じで、

原則、確定申告をしなくても

オッケーなんですが、

音楽家の場合、私の見る限り、

そもそもA1の職種の方自体が

少数派だと思うんですよ。

 

また、A1の方でも、

音楽家の場合は、

著書やCDの印税収入があったり、

自宅教室をお持ちの方が多いので、

こういう場合は確定申告が必要なんです。

 

なので、大半の音楽家にとって、

この時期は、

電卓片手に計算をして

書類を作成しなければいけない時期。

 

計算自体は単なる四則計算なのですが、

まぁ、いろいろと面倒くさいんですグッタリ

 

だから、

私の周りの音楽家のみなさんは、

毎年この時期になると揃って

あnobashibo^*」とか

いいいー」とか

ぎゃm

と叫んでおられます。

 

音大生のみなさん、

師事している先生が、

この時期、

ストレスフルな雰囲気を漂わせている場合は、

何も聞かずに、

次のレッスンの予約を

3月16日以降にしましょうね。
※確定申告期間はは毎年、

2月16日~3月15日です

 

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「確定申告って何はてなマーク

という音大生諸君のために

ざっくり説明すると…

 

確定申告とは

前年の1月1日から12月31日までに

(1)仕事で稼いだ金額(=収入)と、

(2)稼ぎを得るために要した金額(=経費)を

集計し、

収入から経費を差し引いて、

本当の利益分(=所得)が

幾らになったのかをはじき出して、

税務署に申告することです。

 

この所得金額によって、

払う税金(所得税・住民税)の額が決められ、

健康保険料なんかも変わってくるわけです。

 

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仕事でいただくお金は

一見、みんな同じ福沢諭吉先生諭吉なんですが、

上の復習コーナーに書いた業態分類によって

諭吉先生の性格が違っているんですね。

 

Aの仕事でいただくお金は

給与」と呼ばれます。

BやCの仕事でいただくお金は

報酬」(売上)と呼ばれます。

※これは税法上の呼び名の違いです。

労働法など、法律が変われば

労働の対価に対する呼び名・定義は

また違ってきます。

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日本の税金って、

たくさん儲けた人は

たくさん払わなきゃいけない

仕組みになっています。

 

でも、正直な話、

誰だって、

あんまりたくさん払いたくないですよね。

 

…ということは、

税額を左右する「所得」が低ければ、

あんまり税金に持っていかれないわけです。

 

「所得」って何だったか、覚えていますか?

「所得=収入―経費」でしたね。

ならば、収入が低いダウンか、

経費がたくさんアップなら、

所得の値は小さくなるわけです。

でも、納税額を抑えたいからといって、

収入を減らすのは本末転倒ですから、

「経費を増やす矢印節税」になるわけです。

 

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何が経費になるかは、

仕事の内容によって違います。

これは、税金のプロに訊いてください。

確定申告の時期になると、あちこちで、

無料の税務相談会が開かれていますから、

足を運ばれるとよいでしょう。

 

私は、

親の扶養から叩き出された日に、

その足で区役所に行って

年金と健康保険の手続きをし、

さらに税務署にも出かけて行って、

「すいませんビックリマーク

親の扶養から出されちゃったあせるので、

税金を払いたいんですけど!!

と、受付で叫びました。

 

当時私が住んでいたのは

練馬区の「江古田」という街でした。

アメブロは全国版なので解説すると、

江古田という土地は

音楽家の街なんですね。

武蔵野音大と日大芸術学部のキャンパスがあり、

さらに西武池袋線で3駅の池袋からは、

東京音大まで徒歩で行けます。

藝大も池袋で1回乗り換えで通えますし。

そういう訳で、

「音出しOK音譜」の賃貸物件が

たくさんあったわけです。

音を出す人に世間が厳しいのは

東京とても例外ではなく、

他の街で音出し物件を探すのは

なかなか厳しいため、

音楽家はみな江古田に集まってくるのでした。

 

で、私のようにみずから

「税金を払いたい」と言ってくるヤツが

珍しかったのか、

はたまた

確定申告や消費税納入の期日も過ぎた

4月の半ば過ぎだったため暇だったのか、

税務署の方が二人掛かりで、

上に書いたような税金の仕組みと、

何が経費になるかについて、

1時間以上かけて

教えてくださったのです。

 

交通費や演奏会用のロングドレスが

経費になるだろうことは

当時の無知な私でも想像できましたが、

音楽家の街・江古田の税務署だけあって、

その署員さんは音楽家の生態に詳しく、

「〇〇も経費になるよ」とか

「☆☆は、普通、領収書をもらえないけれど、

日付と払った相手と金額をメモしていれば、

経費に算入できるよ」とか、

懇切丁寧に教えていただきました。

 

↓高島の場合、

経費の種類ごとに
会計ソフトに入力後、

領収書は袋分け保存しています。

 

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で、この経費なんですが、

こういうふうに、

人によって違っているのは

ギャラの(税法上の)種類が

「報酬」(売上)の人の話なんです。

つまり昨日書いた業態分類で言うと、

BやCの職種のギャラ。

 

業態分類Aの仕事のギャラ、

つまり税法上「給与」と呼ばれる収入の場合は、

収入額に応じて、

だいたいこんなもんだろうという経費額を

国の側で定めてしまっています。

「本当はこれだけかかったんです~涙

といくら訴えても無駄むです。

 

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さて、ここで、いったん、

全然話が変わります。

 

まずはみなさんにご質問。

Q「源泉徴収」って聞いたことありますか?

 

所得税の源泉徴収、略してゲンセンは、

あらかじめ税額を予想して、

ギャラから差し引いてしまうことです。

 

ゲンセンは、

ギャラの支払い元が、

ある程度大手の場合に実施されます。

ですから、

ピアノ教室のお月謝のように、

個人から支払われる報酬は、

当たり前ですが、

ゲンセンされていません。

 

つまり、 仕事のギャラには、

「ゲンセンあり」「なし」という

先ほどの「給与」「報酬」という分類方法とは

また別の分類方法が存在するわけです。

 

ゲンセンの額ですが、

ギャラの種類が「報酬」の場合は、

ゲンセンは慣習的に1割です。

(今は復興税が上乗せされているので、

もうちょい多く差し引かれてます)

「給与」の場合は

いろいろと計算が複雑で、よくわかりません。

 

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閑話休題。

お仕事のオファーがあった時、

呈示されたギャランティが

ゲンセンされた後の手取り額なのか、

ゲンセン前の税込額なのかは、

さらっと明るく確認しましょうね。

 

たとえば10.000円のお仕事があったとして、

それが手取り額ならば、

本当は11,111円のお仕事だということです。

逆に税込10,000円ならば、

手元に入るのは

8,889円ということになります。

結構、違うでしょ。

 

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話を戻します。

 

ゲンセンで差し引かれた分は、

ギャラを払ってくれる側で、

ちゃんと税務署に収めてくれます。

 

つまり、ゲンセンとは、

「世の中には、確定申告が

辛くてたまらない人もいるだろうから、

確定申告をしたくなければ

ゲンセンで見込み金額をもらっちゃうから、

無理にしなくてもいいよ」

...という国の親切なシステムです。

 

ですが、この見込みの税額は、

ちゃんと確定申告をして定まる額より

高い金額であることがほとんどですマジ

なので、国のやることというのは

親切なんだか不親切なんだか、

よくわかりません(笑)。

 

冒頭に書いたように

確定申告がうざくてたまらない人は、

いっそ確定申告をせずに放置していても、

ゲンセンされる仕事をいくつかしていたなら、

何も文句は言われません(たぶん)。

しかし、面倒でもちゃんと確定申告をすると、

国はゲンセンでもらい過ぎた分を

返してくれます。

これを「還付金」と言います。

 

ゲンセンされる仕事をした場合は、

12月~翌年2月頃に、支払い元から、

「支払調書」という書類を渡されます。

これには、

一年間に支払われたギャラの額と

ゲンセンの額が書かれています。

ちっちゃい紙ですが、非常に大切重要

還付金の額を左右するので

失くすと死活問題やばい

 

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で、ここでやっと

さっきの話と繋がってくるのですが…

収入から経費を引いた「所得」の額、

これは、住民税や健康保険の金額を決める

元になります。

 

しかし、所得税の額に関しては、

この「所得」からさらに、

なかった事にしてくれる分があります。

これを「控除」と呼びます。

医療費に使った分の一部(医療費控除)とか、

年金や国民健康保険を払った分(社会保険料控除)とか、

人として最低限生きていくのに

これくらいはかかるだろうという金額(基礎控除)などを

お目こぼししてくださるわけです。

 

つまり、収入から経費と控除額を引いた残りが、

所得税の課税対象額というわけです。

 

この額からはじき出される所得税額と

何枚もある支払調書のゲンセン額の合計を比べ、

ゲンセンの方が多ければ還付金をもらえてイェイ

少なければ差額を支払うわけです残念

 

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ゲンセンされない仕事がほとんどという人は

収入-経費-控除額が黒字になっていれば、

税金を納める事になります。

個人相手の仕事が多い人、

たとえば音楽教室のオーナーさんとかですね。

 

(自分で企画するのではなく)

団体や事務所からの発注で行う演奏のお仕事や、

大手楽器店の音楽教室講師のお仕事の場合、

手取りギャラはあらかじめゲンセンされています。

こういう仕事中心の方は、

還付金が戻ってくる可能性が高いです。

私も含めて音楽家の多くはこちらのタイプ。

 

...ということは、

確定申告をすると

還付金がもらえちゃうかもわくわく

(もらえると言ってもよく考えれば

もともと自分のギャラなんですがあせる

そういう意味では、

確定申告≒お仕事なわけです。

「自由業のボーナス」だとも言えますね。

 

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申告の書類を作成する作業、

昔は手計算で手書きだったのですが、

今は、国税局の確定申告サイトに行って

数値さえ入力すれば、

自動計算してくれます。

 

したがって、

レシートやら通帳やらを見て

収入と経費と控除額を算出するだけなのですが、

やっぱり面倒くさいえーん

やらなきゃ、やらなきゃと思いながら

既に2週間が過ぎました。

 

申告最終日まで、あと14日。

「こんなブログ書いてないで、

さっさと計算始めんかい」ムキー

と誰か私に説教してくださいあせる

 

 

 

《高島ピアノ塾》
高島登美枝

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