学校の先生が難しい問題の解き方を生徒に説明しています。
頭は良いのに反抗的な生徒が,先生の言う解き方は間違っている,と異議を唱えます。
この反抗的な生徒は,先生は有能ではないと言わんばかりに,自分はずっと良い解き方を知っている,と言い張ります。
生徒の中には,その意見は正しいと思う人もいて,やはり反抗的になります。
先生はどうすべきでしょうか。
クラスから反抗的な生徒たちを追い出せば,他の生徒はどんな影響を受けるでしょうか。

最初に異議を唱えた生徒と,その生徒に加わっ た仲間たちを正しいと思うのではないでしょうか。
クラスの生徒全体が,先生は自分の間違いが証明されることを恐れていると考え,先生に対する敬意を失うかもしれません。
しかし,最初に異議を唱えた生徒本人がどう問題を解くのか,それを本人にクラス全体の前で示させるとしたら,どうでしょうか。


ここに出てくる先生は,反抗的な生徒とそれに加わった生徒たちが間違っていることを知っています。
しかし,生徒たちに,自分たちの意見が正しいことを証明してみるための機会を与えるなら,クラス全体のためになることも知っています。
反抗した生徒たちが失敗すれば,誠実な生徒すべてが,クラスを指導する資格があるのはその先生だけであることを悟るでしょう。
その後になおも反抗的な生徒がいれば,先生がそのような生徒すべてを教室から退去させるとしても,誠実な生徒はその理由を理解できるでしょう。


さて、
先生が決して行なわなかった二つの事柄を考えてください。
第一に,例の生徒が自分の意見を主張するのをとどめようとはしませんでした。
第二に,先生は,反抗的な生徒が自分の主張の正しさを証明するのを助けようとはしませんでした。


幾千年もの人間の歴史の中で,人類はあらゆる形態の自治つまり統治を試すことができました。
人類は科学などの分野で,ある程度の進歩を遂げてきましたが,公正に反する事柄,貧困,犯罪,戦争などはますます深刻さを増しています。
人間による支配が失敗であることは,すでにはっきり示されています。