2014.1.2
金谷駅から牧之原の茶畑に上ります。
ちょっとルートがわかりにくくて困りました。
この旧東海道の石畳から上るのが正解でした。
入口にある石畳茶屋。
ここも今日は休みです。
やたらと幟の立ったお堂を通り過ぎて、まだ上ります。かなり距離がありました。
写真映りが悪いですが、周囲はこんな感じ。
背の高い森の中の道です。
そして、森を抜けるとそこは茶畑だった。
石畳の道を登り切るまではまったくそんな気配は無くて不安だったのですが、登り切って台地に入ると、月並みな言葉ですが一気に視界が開けました。
さっきまで森だったのが嘘のような広々とした茶畑大地です。
この道、我が旅、果てしなく続く。
風車があちこちに建っているのは、ここでも畑の上空の広い空間を活かして風力利用(発電とは限らない)しているのでしょう。
同じ茶畑のせいか、狭山に似ています。
360度、どこを見回してもしても茶畑が続いています。
この大地は本当に茶畑しか無い、という印象。
この茶畑は明治初期、江戸幕府が潰れたことで大量の浪人(武士自体が無くなるので単なる失業者)が出ることを危惧した勝海舟が、幕府の浪人を中心に開拓したものです。
運もあったのでしょうが、いくら広くとも本来農作物の育成には不向きなこの土地に茶を選んだチョイス、そして、争乱よりも平穏を望んだがために生活基盤の安定を保証した勝海舟は、やはり凄腕の「政治家」だったのではないかと。
超強攻策と大幅な妥協を使い分けて「負けてやった」江戸城開場のエピソードや、最期の言葉が「これでおしまい」というエピソードなど、個人的には好きな人物です。
おそらく、理にも情にも寄らず、バランスよく判断した上で、それでもちょうど釣り合ってしまった場合、「理」を取るのが勝海舟で、「情」を取るのが榎本武揚なのではないかと。
ひいき目も入りますが、勝利することに盲信した後の政府軍より、事ここに及んでは自分たちが負けた方が多くの人に利があると判断し、その上で後の混乱を避けるために自分のできることをやってのけた勝海舟のほうが立派に思えます。しかも、やったのは地味ですが長期間かかる大仕事の、新たな生活基盤の構築ですから。それで名産品まで作っちゃうんだからたいしたものです。
…もっとも、本人、とっても悔しかったのだろうと思いますけれどね(笑)。人を食ったような言動の裏にどんな心情を持っていたのか、もはや想像するしかありません。
少し下がったところには、自分が抜けてきたのと同じような森があります。
ここが森に囲まれた台地だと実感させてくれます。
模式図にすると、台形的な土地の側面を森がぐるっと囲んでいて、上は茶畑が被さるように載っているという形になるのでしょう。
上の台地は茶畑を開拓する際に森を伐採したのでしょうか? それとも元々風が強いとかで森になりにくい地形だったのでしょうか? どちらもありそうです。
歩き続けた牧之原台地のお茶畑の中に、お茶の博物館がありました。
これはその博物館内にあった茶室です。昔の茶室を再現したものだとか。
こういう襖などの開放できる仕切りが多い部屋は和室の特徴ですね。部屋が多く感じられることで実際よりも広い建物に感じられます。一部屋一部屋を狭くすることで全体としては広く奥深く思わせるという、生活の知恵ですね。
庭園もあります。
周りにあるコンクリートの壁との対比がシュールです。
池の真ん中に島というのは、この手の庭園の基本ですね(本当はよく分かっていませんが)。
天竺や極楽などを表現するのが日本庭園なので、ここで昔の人は「素晴らしい。これは○○記に出てきた××の章の光景ですな」とか言えれば教養人ぽく見られたのでしょうか?
真ん中の島には渡って歩くこともできます。真ん中の樹がらぶりぃ(笑)。
こうやってみると、『島』に必要な要素を最小限揃えた、一コママンガに出てきそうな島です。
こっちは外堀とその上を渡る丸木橋。
ここも昔の再現なのでしょうが、生け垣で区切られたすぐ隣は道路なので、やっぱりシュールです。
なお、この先に行っても外に通じる勝手口のような場所があるだけで、引き返さざるを得ませんでした(笑)。
中でお茶をごちそうになりました。
抹茶は苦い、というのはよくネタにされますが、そんなに…というか全然苦くなかったです。
お客さん用なためか、そもそも苦いというのがオーバーな表現なのか。
あ、お茶菓子もおいしかったです。
博物館内にあった開拓時代の牧之原台地のジオラマ。
本当に茶畑の中に小屋があるだけの光景です。これこそ「名所」と言っていいのでは無いでしょうか? 生活にはとても不便そうですが。
博物館の最後には自分でお茶を挽ける実体験コーナーがありました。
昔話に時々登場する石臼ですが、その仕組みや実際の使用方法については知らない人も多いのではないのでしょうか?
ちなみに上に開いている穴からお茶っ葉を入れて、回すことで細かく潰して粉にするという使い方です。あまり早く回転させると風で粉が飛ばされてしまうので、ゆっくりと一定のスペースで回すことが重要です。
挽いたお茶の粉は持って帰れます。自分はちょっと使いどころ(飲みどころ)に困りました。
博物館が終わる頃には日もとっぷり暮れてしまいました。
この後、どこまでも続くお茶畑を通り、暗い森を抜けて駅へ…はっきり言って怖かったです(笑)。
お茶畑に沈む夕日は絶景とまではいえなくとも心奪われる光景ではあったんですけれどね。
この日は掛川で一泊しました。
明日の三が日は掛川城と、御前崎に行く予定です。