『お別れホスピタル』NHK土曜の夜ドラマ『お別れホスピタル』岸井ゆきの主演で、緩和医療を行なう療養病棟で、逝く人々との関わりを描くドラマ。松山ケンイチが、不器用で誠実な医師に。シーズンワンでは、古田新太や泉ピン子が演じる、死にまつわる物語が深かった。今回は、内田慈の苦悩が痛い。飄々とした伊東四朗と、図太い渡辺えりの微笑ましいつながりや、YOUと確執のある女性のやりとりなど、死を間近にしたひとの想いを描く。エンディングの、Chara「小さなお家」の絶唱が心に響く。
『教場 Requiem』キムタク定番のシリーズ。警察学校の生徒、ひとりひとりのドラマが、よくできていると感じる。ただ、クライマックスの爆破シーンは、過剰では?林遣都の熱演は強いが、設定が少し強引。教官が、卒業生各人に語りかけるシーンは、いつもながら、気持ちがこもる。ラストで、今後を期待させる。
「魯山人のかまど」NHK火曜の夜ドラマ『魯山人のかまど』北大路魯山人を演じる、藤竜也は、自然で飄然としていて、素晴らしい。柄本明の吉田茂も、さすがの演技。クセの強い異色の役が多い、古川琴音が、初々しくかわいい。恋愛や派手な人間ドラマがなくても、風物や佇まい、器や料理、それだけでこんなに豊かな気持ちにさせる。かまどで炊いたご飯やおこげの、なんと美味そうなこと。
『宙わたる教室』2024年のNHKの夜ドラ『宙わたる教室』を見返した。伊与原新の原作で、実話を元にした感動作。夜間の定時制高校で、文章を読めない障がいを抱え、不良から立ち直ろうとする青年・起立性障がいで保健室登校の少女・外国籍の苦労と戦う母・病の妻を介助する町工場の高齢者など、事情を抱えた生徒たちと、訳ありの理科教師が、科学部をつくり、学会発表を目指す。小林虎之介や伊東蒼など、気鋭の若手が初々しい。ありがちな事情ではあるが、個々に寄り添い、丁寧に描いている。感情やこうすべきを、熱く訴えるのではなく、静かに穏やかに、より良いやり方を模索するような物語。「実験は、想定外の結果が出てからが本番」という言葉が、印象に残る。最後の発表会、小林虎之介が、静かに想いを語る場面では、心豊かに泣ける。
『ナイトフラワー』映画『ナイトフラワー』北川景子と森田望智の身体を張った熱演。貧困や母子家庭の辛さが、これでもかと描かれる。森田の格闘家としての覚悟、ドラッグの密売にまで手を染めて、ひたすら子供に尽くす北川。生理的には、好きになれない展開。森田の格闘シーンで、北川に向かい、娘が「しっかり見なきゃダメだよ」とのセリフには、撃たれた。賛否の分かれるラストをどう捉えるか。
『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山崎賢人主演の、アニメ原作の作品。アイヌ埋蔵金をめぐる活劇の、シリーズ物。ラッコ鍋を食べて、盛り上がる場面は、少しふざけ過ぎ。その後の、激しい展開は、迫力があり面白い。ただ、あまり感情移入できないのは、生理的に好まない場面が多いせいか。井浦新、大谷亮平、池内博之といった、中堅の良い役者が支えていると感じる。続編を期待させるラストは、どうなのかなぁ。
ドラマ『片想い』NHKの、26・27日の夜ドラ『片想い』NHK+で、遅れて見た。芦田愛菜と岡山天音のコメディタッチの恋愛。岡山の飄然とした存在感と、芦田の一途に突っ走る楽しさ。傾きかけた豆腐屋を、岡山の祖母と父が支える。岡山を想いつつ、豆腐作りにも熱中する芦田。祖母の白石佳代子の、たくましさが秀逸。不器用に挫折した、岡山と芦田が、豆腐屋を引き継いでゆく展開が、明るく心地良い。
映画『レンタル・ファミリー』大阪出身で、ロサンゼルスで監督になった女性、HIKARIさんの作品。暖かな擬似家族の物語と予想したら、かなり違った。大柄で、小心ながら、喜怒哀楽の豊かなアメリカ人の主人公、B・フレイザー。この存在だけで、この映画は魅力的。役者で、オーディションに落ち、気が向かないまま始めたレンタル家族の仕事。求める人たちに寄り添うことで、心を通わせてゆく。レズの女性が、自由を得て親を安心させるため、偽の結婚相手に。母子家庭の少女の受験のために、父親に。引きこもりの中年男といっしょに、ゲームをし、ストリップ小屋に。認知症の老役者の、最後の望みを叶えるため、記者に扮して、娘に内緒で、生まれ故郷への「脱走」まで手伝う。不倫相手を演じ、人妻に謝罪し叩かれる女性。人のためにと思いながら、本当にこれで良いのか?家族や人のつながりとは何なのか?他のスタッフと共に、それぞれが苦悩するようになる。このビジネスは、現実に80年代から日本にあったという。最後の救いに、癒される。少女と、老役者の柄本明が素晴らしい。
「おおきな木」Eテレ月曜日の夜、「100分で名著」の絵本『おおきな木』少年と大きな木の物語。与えることと幸せとは?金銭的価値のある、ものの「所有」人との信頼などに価値を置く「存在」わかりやすく、穏やかに解説してくれる若松英輔の説明は、とてもいい。「満足」と「充足」量的な価値を際限なく求めて、満たされることない「満足」何もなくても、心が満たされる「充足」大きな木と年老いた少年の、ラストの幸せは、この歳になった自分には、とても刺さる。