映画『私はあなたを知らない、』

主演は、結婚が話題の、坂口健太郎。

孤独で不器用で、心優しい青年を演じた。

シングルマザー(堀田真由)と娘(早瀬憩)と出会い、変わってゆく。

しかし、すれ違いから悲劇が。

はじめ、坂口と堀田の話と娘の話が、時を隔ててパラレルに進み、拘置所での面会でクロスする。

小道具の使い方が巧み。

2人の出会いのきっかけの、パン切りナイフが、事件の鍵に。

最後に花をつけるサボテン、スカイツリーの名前をめぐる坂口の思いなど。

弁護士の滝藤賢一や、堀田の母の原田美枝子の関わりもいい。

坂口健太郎の表情の変遷が、物語のすべて。

家族とは何か?

罪と罰、赦しを問いかけるような映画。

拘置所の面会で、坂口が口にする、タイトルの「私はあなたを知らない、」が、最後に深い意味を。

末尾の句読点の深さ。


歳をとると、体力も気力も衰え、家族や友人が亡くなり、できることが減ってゆく。

しかし、経験や思考の蓄積を活かし、起業したり、新しいことを始めることもできる。

80歳からスケボーを始めた、86歳の男性。
前立腺ガンも心臓の手術も乗り越えた。
スケボーは、体の一部と笑う。

77歳からクラブDJを始めた、91歳の女性。
今からは、儲けもの。
DJブースで死にたいと笑う。

マージャンやeスポーツに熱中する高齢者も。

ひとは死ぬまで進化する、と考えて良いのかもしれない。

大河『豊臣兄弟』と戦争

マンネリになりがちな、戦国秀吉だが、秀長を取り上げ、歴史改ざんが過ぎると批判されながらも、毎回巧みな物語や展開で、面白く描かれている。

竹中直人をはじめ、多くの名優が演じてきた秀吉。

その成り上がり物語は、さまざまアレンジされたが、食傷気味。

戦国とはいえ、繰り返される殺戮は、避けるべき悲劇と描かれても、さすがにウンザリ😩。

平和な世をつくるためには、戦さによって天下統一をするしかないという愚かさ。

人類が共同体を営み、自他を区別し、他者や他集団を排斥し攻撃する。

それから数千年、ガザやイランに至るまで繰り返す。

DNAに刻まれた避けられぬ習性と諦めるしかない?

いや、歴史に学ぶ人類が、やめられないはずはない。

国や政治のために、人を殺傷し破壊し、武力で威嚇するなど、正当化されない。

歴史上、知恵と工夫で和解し、平和をもたらした例もある。

古代エジプトとヒッタイトの史上最古の和平条約。
北宋と契丹の澶淵の盟。
十字軍の争いを、アル•カーミルとフリードリヒ2世が、相互理解と苦心の末に成立させた和平。
イギリスの名誉革命。
第一次大戦後のパリ不戦条約。
チェコのビロード革命。
イスラエルとPLOのオスロ合意。
北アイルランドのベルファスト合意。
エクアドルとペルーのコンドル山脈の領有争いを自然保護区として解決した例。
キルギスのチューリップ革命。
などなど…

希望を持ちたい。


障害者の「害」の字を、「碍」や「がい」に表記することが広まりつつある。

人口の10%くらいは、なんらかの障がいを持つという。

障がいは個性とまでは言わないが、多様な人のあり方と考えたい。

視覚•聴覚、あるいは事故などによるさまざまな身体的な障がい、知的•精神的な障がい、難病や感染、高齢から来るもの等。

これらを、健常な人から、何かが欠けたマイナスの存在と考えがち。

しかし、空を飛べる鳥に対し、翼を持たない人間は、マイナスの障がいとは考えない。

聴覚の代わりに、動体視力や手話という豊かな表現法を得たり、視覚を失っても、微妙な音や、空気や人の流れを敏感に捉えられたりする。

障がい者が不幸なのではなく、健常者を前提に作られた社会や制度•インフラが不便なだけではないか?

「合理的配慮」が法的に定められたのは、制度だけでなく、人がみな互いを思いやる配慮を少し持つだけで、豊かで幸せな社会に近づくためと思う。

映画『時には懺悔を』

西島秀俊が主人公。

満島ひかり、黒木華、柴咲コウ、それに宮藤官九郎、佐藤二朗、役所広司と充実の布陣。

重苦しい内容。感想が難しい。

やさぐれた西島が、酒をあおりタバコを吸い、物を食うシーンが多い。

バディの満島も、話しながらよく食べて飲む。

他にも飲食のシーンが多く、とても不快。

それに比して、障がい児たちの表情や笑顔が、清々しくホッとする。

これは、映画の狙いなのか?

障がい児を持った親や兄弟姉妹の苦悩が描かれる。
時代背景もあるだろうが、あまりに苦しい。

捨てた親も育てる親も、苦悩する。

本来なら家族だけでなく、周囲も支えて育てるべきと強く思う。

ただ、血のつながった親は、子を愛し育てなければならない、離れた子供にも執着するという感情は、共感も理解もできない。

他人の子である障がい児を9年も育てた、宮藤と子のように、血のつながりでなく、親と子として互いに想い、幸せを感じる関係こそ本当の親子と痛感する。

金曜夜の『ガイアの夜明け』

電子書籍やネットで本を買うことが広まり、紙の本が売れなくなり、書店が激減。
それに抗い、新たな取り組みをする。

陳列のあり方を変え、DXで効率化。
関連グッズを売ったり、イベントをしたり。

紙の本を好む人もまだ多い。

本の感想をみんなで話し合う「読書会」。

本屋の棚を貸し出し、本好きな人が、自分のお勧めの本を置いて、ポップを書いて売る「シェア型書店」。

読み終えたり、不要になった本を並べて、誰もが自由に持ち帰る「ブックポスト」。
いろんな工夫がある。

私が、塩野七生「ローマ人の物語」と運命的な出会いをしたのも書店。

いい本を見つけるのは、売れ筋や書評でなく、本屋や図書館で、手に取るのが一番。

タイトル、著者、装丁、目次、あとがき、何より本文の言い回しや語彙の使い方、これに惹かれた本なら、自分にとって良い本。

書店が、本を売る場所から、人が集まり思いを伝える場所に。

街の人がつながる本屋ができかも。

遺産相続についての考察

自分が努力して築いた資産を、子供に残したいと思うのは人情。

ただ、裕福な人の子は、生まれながらに裕福というのは、不合理。
それこそ「親ガチャ」。

家業や会社を承継するなど、理由があれば別だが、ただ無条件に資産を得て富裕層になるのは、疑問。

淑徳大学の結城康博さんは「金持ちの高齢者の資産に課税する相続税は100%が良い」と言ってる。
同感。

少子高齢化で、年金や社会保障制度が難しくなる中、高齢者と現役世代の対立さえ生みかねない。

所得に課税するだけでなく、金融資産等の把握しにくい資産にも、マイナンバーカードなどを利用して、きっちり課税すべき。

富裕層は反対するだろうが、資産の把握と課税は必須。

「失われた30年」からの脱却を図り、安倍元総理が提唱した「トリクルダウン」は、失敗。

「富裕層や大企業が豊かになれば、その富が徐々に下層へと浸透し、最終的に全体が豊かになる」

これは実現せず、富裕層と中流貧困層の分断や、大企業の内部留保と零細企業の淘汰を増やしただけ。

経済的格差を無くすための社会•経済制度を進めないと、分断と対立から混乱を招くことになる。

相続制度の見直しは、その第一歩と思う。

15年前の映画『神様のカルテ』

現役医師の夏川草介の小説が、なかなか読めないので、櫻井翔の主演の映画で。

松本の病院で、地方医療に苦悩する医師。
妻(宮崎あおい)との交流。

末期がん患者(加賀まりこ)が、医師のあり方を考えさせる。


12年前の映画『神様のカルテ2』

柄本明が主役と言ってもいい、続編作品。

藤原竜也が医師と夫婦のあり方に悩む。

最後に語る、院長の言葉の重さ。

重厚な鈴木瑞穂が懐かしい。


幼い昭和の頃、近所の駄菓子屋にいつも、おばあちゃんが座ってた。

棚の上には、ガラスの大きな壺のような容器が並んで、塩せんべいや油せんべいなどが入ってた。

買いに行くと、おばあちゃんが手づかみで、ガラス瓶からせんべいをつかみ出し、新聞紙や紙袋に入れて渡してくれた。

今なら、衛生に問題あるなどと言われそうだが、当時は普通で、腹を壊したりしない。

コロナ以降は、除菌•殺菌が徹底され清潔になった。

しかし、過度に清潔だと、免疫が衰えるらしい。

アレルギーや体質に問題なければ、子供の頃からある程度の汚れや不衛生、細菌に触れることは、免疫力を高めるためには必要。

金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』

生方美久が脚本の、面白い物語。

多様な夫婦のあり方や、人のつながりの危うさ。

ハッとさせる台詞が、随所にあり、生方らしい。

放浪癖や多くの離婚は、あるだろうし、理解はできる。

ただ、設定や展開がぶっ飛び過ぎてて、なかなか共感できない。

生方の3年前のドラマ「いちばんすきな花」は、ゆっくり会話を噛みしめたい良作。

劇的な恋愛もサスペンスもない。

みんなとは違う想いや、ちょっとした生きづらさを、丁寧に描いていた。

それに比して「Tシャツ…」は、納得感に少し欠ける。

最終回の着地に期待。