2024年のNHKの夜ドラ
『宙わたる教室』
を見返した。

伊与原新の原作で、実話を元にした感動作。

夜間の定時制高校で、文章を読めない障がいを抱え、不良から立ち直ろうとする青年・起立性障がいで保健室登校の少女・外国籍の苦労と戦う母・病の妻を介助する町工場の高齢者など、事情を抱えた生徒たちと、訳ありの理科教師が、科学部をつくり、学会発表を目指す。

小林虎之介や伊東蒼など、気鋭の若手が初々しい。

ありがちな事情ではあるが、個々に寄り添い、丁寧に描いている。

感情やこうすべきを、熱く訴えるのではなく、静かに穏やかに、より良いやり方を模索するような物語。

「実験は、想定外の結果が出てからが本番」という言葉が、印象に残る。

最後の発表会、小林虎之介が、静かに想いを語る場面では、心豊かに泣ける。

映画『ナイトフラワー』

北川景子と森田望智の身体を張った熱演。
貧困や母子家庭の辛さが、これでもかと描かれる。

森田の格闘家としての覚悟、ドラッグの密売にまで手を染めて、ひたすら子供に尽くす北川。
生理的には、好きになれない展開。

森田の格闘シーンで、北川に向かい、娘が「しっかり見なきゃダメだよ」とのセリフには、撃たれた。

賛否の分かれるラストをどう捉えるか。


深夜ドラマ
『終のひと』が最終回。

柿澤勇人が初の主役。

予想された終わり方ではあるが、生前葬の意義を改めて意識した。

死や通夜・葬儀についての想いを語る、風間杜夫の言葉が、心に響く。

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

山崎賢人主演の、アニメ原作の作品。
アイヌ埋蔵金をめぐる活劇の、シリーズ物。

ラッコ鍋を食べて、盛り上がる場面は、少しふざけ過ぎ。
その後の、激しい展開は、迫力があり面白い。

ただ、あまり感情移入できないのは、生理的に好まない場面が多いせいか。

井浦新、大谷亮平、池内博之といった、中堅の良い役者が支えていると感じる。

続編を期待させるラストは、どうなのかなぁ。

NHKの、26・27日の夜ドラ
『片想い』
NHK+で、遅れて見た。

芦田愛菜と岡山天音のコメディタッチの恋愛。

岡山の飄然とした存在感と、芦田の一途に突っ走る楽しさ。

傾きかけた豆腐屋を、岡山の祖母と父が支える。
岡山を想いつつ、豆腐作りにも熱中する芦田。
祖母の白石佳代子の、たくましさが秀逸。

不器用に挫折した、岡山と芦田が、豆腐屋を引き継いでゆく展開が、明るく心地良い。

大阪出身で、ロサンゼルスで監督になった女性、HIKARIさんの作品。

暖かな擬似家族の物語と予想したら、かなり違った。

大柄で、小心ながら、喜怒哀楽の豊かなアメリカ人の主人公、B・フレイザー。
この存在だけで、この映画は魅力的。

役者で、オーディションに落ち、気が向かないまま始めたレンタル家族の仕事。
求める人たちに寄り添うことで、心を通わせてゆく。

レズの女性が、自由を得て親を安心させるため、偽の結婚相手に。
母子家庭の少女の受験のために、父親に。
引きこもりの中年男といっしょに、ゲームをし、ストリップ小屋に。
認知症の老役者の、最後の望みを叶えるため、記者に扮して、娘に内緒で、生まれ故郷への「脱走」まで手伝う。
不倫相手を演じ、人妻に謝罪し叩かれる女性。

人のためにと思いながら、本当にこれで良いのか?
家族や人のつながりとは何なのか?
他のスタッフと共に、それぞれが苦悩するようになる。

このビジネスは、現実に80年代から日本にあったという。

最後の救いに、癒される。
少女と、老役者の柄本明が素晴らしい。

Eテレ月曜日の夜、
「100分で名著」の絵本『おおきな木』

少年と大きな木の物語。
与えることと幸せとは?

金銭的価値のある、ものの「所有」
人との信頼などに価値を置く「存在」

わかりやすく、穏やかに解説してくれる若松英輔の説明は、とてもいい。

「満足」と「充足」
量的な価値を際限なく求めて、満たされることない「満足」
何もなくても、心が満たされる「充足」

大きな木と年老いた少年の、ラストの幸せは、この歳になった自分には、とても刺さる。

「頑張れ」で連想するのは、
中島みゆきの「ファイト」

単なる応援歌と思われがちだが、歌詞を聴くと、ひとの思いの黒い不条理を描いている。

階段で、子供を突き落とした女の薄笑い・悔しさで握りしめたコインに、爪の血が滲む・村八分にすると脅され、諦めた東京行きの、捨てられない切符。

それぞれが、一本の映画を観たような深さ。

「戦う君の歌を、戦わない奴らが笑うだろ」と、少女のような声で歌う。

鱗をはがしながら、身をよじって川をさか登る小魚に例えた、苦しい応援歌なのかもしれない。

震災に関連して、いつも思うことがあります。

「頑張れ」と言う言葉は、あまり好きではありません。
被災者が、「頑張る」と、自らを鼓舞するのはわかります。
しかし、外部から、被災者に「頑張れ」と言うのは、慎重に使うべきと考えます。

震災から復興している人は、頑張らなければと痛いほど自覚しています。
その人たちに、外から「頑張れ」と言うのは、強く迫るような、苦しめることにもなりかねないと感じます。
頑張るのに疲れ切った人も、頑張れない人もいます。

励ますために声をかけたいとき、
どんな言葉が良いのでしょうか?

「大丈夫」と言うのはどうでしょう?
人に寄り添い、やさしく包み込む気持ちが感じられると思います。

東野圭吾原作のアニメ映画。

主役の声を高橋文哉、他に天海祐希・大沢たかお・宮世琉弥といった豪華な声優。
奥行きのある物語を、繊細で丁寧な絵で描写。

不可思議な設定ながら、現実の親子の想いや葛藤を深く描いている。

ただ、個人的には、主人公にあまり感情移入できなかった。
複雑な展開を詰め込み過ぎた感もある。

もう一度鑑賞すれば、違ってくるのかも。

映画館で配布された「クスノキの裏技」は、鑑賞後の良い読み物。