ブルルルルっ
と
寒さで身体が縮こまりそう
だったので
お腹に日本から持ってきた
残り少ない貴重なカイロを貼り、
ダウンのロングコートを羽織り
マスクをして
家を出る。
ほぼほぼ
日の出と共に目が覚めた幸せな朝で
カーテンを開け見えた空の色には
とってもやさしい桜色があった。
昨晩、
眠る前にチェックした
スペイン・マドリードの
天氣予報は
一日中雨マークだったのに、
雨はまだ降りそうもない。
力強い陽光になる前の
やわらかな桜色に背中押されて
今日もわたしは
わたしで在ること、
自分のまごころの
ど真ん中のわたしを
選んでゆく。
自宅を出て
スペイン公立カルロス三世大学の
裏の道を通り抜け
マドリード通りを目指す。
昨日は
Dia de Constitución de España
という
スペイン憲法記念日の祝日、
今日は平日、
で、
明日は
Inmaculada Concepción
という
キリスト教の
聖母無原罪のお宿りという
祝日になる。
お店や会社勤めの方は
今日は
平日と同じように働いている人も
多いだろうが、
学校はお休みの様。
昨日から週末も入れると5連休だ。
カルロス三世大学の
脇道にさしかかり、
ふと
中を見たら
管理している方が
校庭に散った茶色や
鮮やかな黄色い
枯れ葉たちを箒で
掃いている音が
脇道にも届き、
いつもとちがう静かさを
少し早足に通り抜ける。
今日は
インプラント治療の為の
歯医者通い。
最初、歯茎のところに
ぷつっと出来物ができ、
びくびくしながら
歯医者へ行ったのが
今年の7月。
ちょうど
夏休み旅行へ行く4，5日前だった。
膿が歯茎にたまっていて
その膿は逃げ道を探す様に
ぷつっと歯茎の横にでてきたのだ。
インプラント治療を受けると
決めたものの
初めてのことで
わからないことだらけ、
まわりにインプラント治療した
知人もおらず、
治療できるかどうか調べるために
別の病院へ行って
CTと撮る必要があったり、
抜歯して、
一か月以上様子見てから
次の工程へ進むから
時間もかかるし、
治療にあたって初めて聞くスペイン語も出てくるし、
旅行前だったし、
めちゃんこ不安だった。
今なら
勇氣をだして
早目に歯医者に相談して
よかったとおもえる。
抜歯してから問題なく
長期旅行へ行けたし、
土台になる部分も
無事に埋め込んだし。
なにより歯医者さんも、
みんな若くて
情熱を持って治療してくれるし
親切、丁寧でやさしい。
そして
わたしのことをとても
親戚のお姉さんみたいに
可愛がってくているのが
とてもわかる。
『何とかなるもんだ～』
夏前の不安を懐かしく感じながら
マスクの中で一人そう呟いて
片側2車線、
大学もあるせいか
バスの交通量の多い
マドリード通りを
渡る。
『久恵、歯茎も健康だね。
順調だよ。
来月の治療はtapaするからね、
そしてからcorona(歯)の部分を入れるよ。予約していってね、
Feliz Naidad ！ 』
おまじないかけてくれたみたいに
良いクリスマスをって
言われたから
良いクリスマスに
ならざるをえないな、
と
ありがたく素直に感じて
わたしも
『Muchas gracias,
Igualmente, y buen dia!!!!』
わたしがわたしを
照らしているように
わたしの氣がむくところ全てに
ホッとした灯りがともればいいな、
そしてそのホッとした灯りに
色があるなら
今朝の空みたいな
桜色だったら
いいな。
芽生えた望みを抱きながら
今回も笑顔で
歯医者をあとに。
外へ出たら
お腹に貼ってある
カイロのあたたかさが
更にじんわり広がって来た。
『遠回りして帰ろうかな～』
わたしはそうして
雨がまだ降っていない
奇跡を味わう。
読んで下さって
どうもありがとうございます
むーちゃす・ぐらしあす
Muchas Gracias
