久しぶりのセルカニア
(スペイン国鉄電車)
に乗り
セントロと言われる
マドリード市内へ。
セントロへは
長らく足を運んでいなかったぶん、
楽しみと
どこかへ行く
ワクワク感と一緒に
乗車。
車内は
祝日ということもあり
ガラガラで
普段でも
この時間なら混んでいないな、
朝のラッシュが終わり
お昼前の静けさが
漂っているんだろうな
なんてことも想像したりして
わたしは
四人座れるボックス席の
窓際に一人
贅沢に腰をおろし
車窓越しに
冬晴れの陽光あたたかく
進行方向からやってくる景色を
ぼんやりと眺めてた。
マドリードのレンフェは
ここ約一年くらい
大規模な工事をしていて
普段使う最寄り駅からだと
アトーチャ駅までの運行で、
セントロの中心地
『SOL』
までいくなら
アトーチャ駅で
メトロ(地下鉄)に
乗り換える必要がある。
しかし
先日まで
アトーチャ駅の地下鉄も長いこと
工事をしていたので
レンフェの大規模な工事が
始まってからは
自宅から真っ直ぐの道を
西に歩いて
15分くらいの距離にある
マルガリータ駅を利用している。
マルガリータ駅から
マドリード市内へ向かう
電車に乗ると
ソル駅の次の
ヌエボス・ミニステリオス駅まで
運行しているので
乗り換えなしで
セントロに行けるのが
とってもありがたい。
そして
マルガリータ駅近くに
カルロス三世公立大学があり、
たくさんの学生さんたちが
利用するおかげで
電車の本数が多いのも
すごく重宝してる。
ガタンゴトン、
電車に揺られ
冬の陽射しを
世界の車窓からならぬ、
スペインの車窓からたっぷり浴び、
ぼんやりに
ますます拍車がかかる。
アトーチャ駅付近になると
セルカニアは
南へと伸びる
アンダルシア街道と平行に
様々なところへ行く
中距離、長距離列車の線路が
横並びになってゆく。
うたた寝したくなるぼんやり感で
眺めてたら
車窓の向こうから
まだスピードが上がる前の
AVE
(alto velocidad de españa)
という
スペイン高速列車が
眩しい陽光越しに
通り過ぎていった。
『どこへにでも行けるっていいな。』
と
素直におもった。
日常を精一杯こなしていたから
いつでもどこにでも行けるってこと
うっかり忘れていたわたし。
固くなった頭の中を
やわらかくするように
ガタンゴトン、
優しく揺られる電車に
乗る必要が
あったのかものしれないな。
氣付きのプレゼントを
もらったわたしを乗せた
電車は
アトーチャ駅に着き
眠り姫が目を覚ますのに
苦労はしないくらい
静かだった車内が一氣に
賑やかに。
そして
わたしの座っている前の席に
赤ちゃんを抱っこしたお母さんが
腰かけた。
赤ちゃんは
好奇心旺盛なんだろうな、
お目目ぱっちりで可愛らしく
わたしと目が合うと
にこにこと笑ってくれる。
そのママに
『!Que linda !
¿Cuántos años tiene su hija? 』
(とっても可愛いわ、
娘さん何歳なの?)
と、
声をかけた。
ママは
『Seis meses!』
(半年なんです!)
『Bienenida a este munndo, señorita recién nacido!』
生まれたてホヤホヤちゃんは
笑顔のまま
ママの膝の上で上機嫌。
覚悟を決めて潔く
この世界に生まれてきたんだな、
と
おもったら
感動して泣きそうになった。
ガタンゴトン、
電車は目的地ソル駅に着き
生まれたてホヤホヤちゃんとママに良いクリスマスをと
あいさつ、
上機嫌で電車を降りた。
そして
同じ駅で下車した人たちと
喜びの波の流れにのるように
駅構内を歩き
改札へと
向かう。
みんなみんな
祝福されて生まれて来たんだ。
忘れちゃっていたけれど
みんなみんな
祝福されて生まれた来たんだ。
生まれたてちゃん、
ようこそこの世界に!
赤ちゃんに対して贈った
祝福の言葉は
わたしの胸にも
おんなじ、
いや、
それ以上のエネルギーで
教会の鐘みたいに
いつまでも
響き渡る。
Feliz Navidad
良いクリスマスを
お過ごし下さい
読んで下さって
むーちゃす・ぐらしあす
どうもありがとうございます
久恵