事故物件より怖い物件 2 | 不思議サロン

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怪談奇譚不思議のブログです。

少し前に事故物件より怖い物件 1を書いた。

 

実際にその部屋では誰も亡くなっていないのだが

 

その部屋に住んだ人達が立て続けに不慮の事故で

 

亡くなっている部屋だった。

 

自分もその部屋に住んだら……と思うと

 

ある意味怖い物件である。

 

そんな事故物件よりも怖い物件の

 

パート2である。

 

 

 

 

「とにかく変だったんですよ、

 

部屋のデザインが。。。」

 

こう言ったのはYさん(女性)である。

 

これは20年ほど前の出来事で

 

デザイナーズマンションという言葉に

 

まだ馴染めない時でした。

 

もちろん私はデザイナーズマンションに住めるような

 

身分じゃなかったので、ごく普通の、

 

なんなら安ければ安ほどありがたかったです。

 

不動産屋さんに「安い部屋を探している」と言うと

 

いろいろ紹介してくれたんですが、

 

どれもいまいちだったんですよ。

 

安ければ良いと言ったものの、

 

一応女なので(笑)

 

部屋にトイレとお風呂があって

 

欲を言えば、別々を希望しました。

 

安い部屋って、お風呂とトイレが一緒の事が

 

多いですよね。

 

あとは、

 

安いイコール古い、というのも気になりました。

 

うーーーん、と唸っていると

 

不動産屋さんが「では、この部屋なんかは

 

どうですか?」

 

築3年でトイレとお風呂が別れていて

 

2DKで4万8000円というではないですかっ。

 

「あるじゃない!」思わず口から出てしまいました。

 

102号室が空いているそうです。

 

内見に行ってびっくりしました。

 

玄関入るとすぐに広めのキッチン、

 

正面に二部屋あるのですが

 

向かって右側の部屋の扉が、

 

壁がないんですよ。

 

左側の部屋には引き戸でちゃんと扉がついていました。

 

違和感しかないその部屋に

 

ポカンとしていると不動産屋さんが

 

空間を広く見せるためのデザインでして。。と

 

説明してくれました。

 

「いわゆるデザイナーズマンションってヤツです」

 

私には、ただ壁がないだけにしか

 

見えなかったのですが、

 

なんとなく響きの良いフレーズに

 

私は納得してしまいました。

 

言われてみると、右側の部屋は扉、

 

壁がないので明るくて解放感がありました。

 

結局私はこの部屋に住み始めたんです。

 

最初の頃は快適に暮らしていました。

 

引き戸のついている部屋に

 

ベッドを置いて寝ていました。

 

扉、壁の無い方にはソファを置いていましたが

 

なんとなく居心地が悪いので

 

ベッドの部屋で過ごす事が多くなりました。

 

ある晩、珍しくトイレで目が覚めた私は

 

トイレに行くと、なんか嫌なんですよ、

 

この妙な解放感が。

 

落ち着かないというか。

 

陽があるうちは良いのですが、

 

夜になると闇が広がっているだけのような気がして。

 

週末に私は右側の部屋の壁になるよう

 

白い木製のパーテーションを買って

 

置いてみました。

 

我ながら良い感じで

 

一枚あるだけでこんなにも変わるものかと

 

意気揚々とそのパーテーションを眺めていました。

 

今度の週末には、ここに観葉植物を置けば

 

もっと素敵になるかもしれない。

 

胸を弾ませていました。

 

その日の夜です。

 

真夜中に

 

コン コン カン カツンっ

 

何かに物が当たっているような音に目が覚めました。

 

ベランダに吊してあるハンガーが風で

 

窓に当たっているのかしら?

 

そんな音でした。

 

ん?でも違う。

 

部屋の中から聞こえるのです。

 

キッチンや風呂場を見に行きましたが

 

特に異変はありません。

 

こんな事が1か月ほど続いたんです。

 

夜中になると聞こえる物音。

 

さすがに薄気味悪くなりました。

 

友人に話すと、マンションやアパートには

 

よくある事で、排水管から音がするというのです。

 

日中はいろんな音があるので聞こえにくいが

 

夜中は静かになる分、聞こえやすいとか。

 

なるほど、納得して安心しました。

 

それからもたまに夜中に聞こえて来たのですが

 

もう怖くはありませんでした。

 

でも、その夜は違ったんです。

 

バキっ バタンっ!!!

 

大きな音でした。

 

何????

 

飛び起きて

 

引き戸を開けてキッチンに出てみると

 

白い木製のパーテーションが倒れているでは

 

ありませんか。

 

うそっ。

 

手で口を押さえて、しばらくは身動きが取れませんでした。

 

パーテーションの足場に異常はなく

 

誰かが倒したとしか思えない状況でした。

 

背筋がゾっとしましたが、

 

その頃、私はようやく一人前に仕事が出来るように

 

なって来ていたので楽しくて、

 

そんな事すらも

 

地震か何かで倒れたんだわ、と思う事にしたんです。

 

それからまた数日、今度は

 

カリカリカリ カリカリカリ

 

トントン トントントントン

 

ドン ドン

 

誰かが扉を押しているというか、

 

そんなような音が聞こえて来ました。

 

これも排水管の音なのだろうか。

 

でも何か違う。

 

よく考えてみると、いつも聞こえてくるのは。。。

 

パーテーション付近なのです。

 

排水管なら壁から聞こえてくるのでは?

 

やだ、

 

急に怖くなりました。

 

でも、このままにしておくのもいやなので

 

勇気を振り絞って見に行く事にしました。

 

ゆっくり引き戸を開けてみると、

 

パーテーションの前に5.6人の人影が

 

ぼーっと立っているんですよ!!!

 

えっ。

 

青白く光ったその影は、

 

侍のように見えました。

 

何故かは分からないのですが、

 

侍だ、そう思ったのです。

 

人影は、全員私に背を向けていました。

 

恐怖で顔面蒼白、

 

ガクガク震えるしかできませんでした。

 

一つの背中が不自然にゆらゆら揺らめきながら

 

なんとなくこちらに振り返って来そうだったので

 

慌ててベッドにもぐりこみました。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

何故か何度も謝りました。

 

気づいたら朝でした。

 

怖い夢を見たと思いましたが

 

夢とは言い切れない生々しい感覚が

 

いつまでも残っていました。

 

もうこの部屋にいるのが怖くなってしまって

 

実家に戻りました。

 

母親に言うと引っ越した方が良いと

 

言うのですが、そんなお金はありません。

 

排水管の音だと言った友人に相談してみると

 

知り合いのお母さんがものすごく霊感があるというので

 

紹介して貰う事になりました。

 

正直、そういうのは

 

ほとんど信じていないのですが、

 

やらしい話、お金はいらないというので

 

部屋を見て貰う事にしました。

 

そのお母さんは商売にはしておらず

 

頼まれたら視ているだけ、との事でした。

 

友人とそのお母さんを車に乗せて

 

件のマンションに向かっていました。

 

マンション近くなるとお母さんは

 

「ここで停めて下さる?

 

うんうん、はいはい、そういう事ね」

 

なんて言うではありませんか。

 

前方にあるマンションを見ながら

 

車の中でお母さんはこう言いました。

 

「あなたのマンションは霊道に立っているのよ。

 

だから霊道を通っている霊を見たんだと思うわ」

 

このまま住みたければ、立てたパーテーションを

 

外せば良いだけの事、とさらりと言われましたが

 

そんな部屋に住む気にはなれなかったので

 

母にお金を借りて退去する事にしました。

 

私がパーテーションを立てたばかりに

 

霊道が塞がれてしまったのだ、と霊能者さんは

 

言っていました。

 

そもそも右側の部屋に扉がなかったのは

 

霊道を塞がないようにしていたのか。

 

という事は、オーナーさんは知っていたのか?

 

改めてマンションの立地をよく見てみると

 

神社があって、マンションがあって

 

マンションの裏手には木々で覆われて

 

パっと見は分からなかったのですが

 

かなり古い墓地があったのです。

 

これが原因だとお母さんは言っていました。

 

それから数年後、そのマンションは建て壊されて

 

駐車場になっていました。

 

 

 

 

Yさん、ありがとうございました。

 

事故物件よりも霊道に建つ物件は怖い。

 

また、侍っていうのが怖いじゃないですか。

 

今でこそ、侍の霊の目撃譚はとんと聞かなくなったが

 

私が若い頃はちらほらあった。

 

友人が子供の頃、夜中に喉が渇いたので

 

台所に行くと、シンクの前に

 

後ろ姿の侍が立っていた

 

という話を聞いた事があった。

 

しかも斬ばら髪だったとか。

 

立派な鎧を纏っており、

 

手に持っていた刀がキラリと暗闇の中で

 

光ったと言っていた。

 

今想像すると背筋がゾクっとする。

 

 

 

 

話しを聞いていて

 

こんなつまらない疑問を抱いてしまった。

 

パーテーションは無理だが、

 

マンションの玄関と窓はすり抜けられるのか?

 

Yさんも、言われてみればそうですね、と

 

苦笑していた。

 

 

いつも読んでくれてありがとうございます。

 

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