本書は2014年刊行のみすず書房版で読む。
日本も参考にしたと言われるワイマール憲法、そして、ワイマール共和国について、本書のようなものがあると教えてくれたのは、たぶん、西部邁の著作だったのではないかと思う。
そんなことを考えながら読んでいたが、意外と楽しく読み進められた。
しかしながら、あとがきにも引用されている「今さ、30歳で結婚できるやつって、いるか?失業しているやつもいるし、明日にだって失職するやつもいるってことに、準備できてないんだ」という下りを読んでみて、あなたは、どう思うのだろう?
すてきな法律(憲法)はあっても、その実体が伴わなければ、ご存知のように、ファシズムへの道を歩んでしまう。
これは、単なるこじつけだが、そのことは、何か、現代の日本にもあるような感じがするのだ。
ことさらに、「法に則って」などという、権力者やら世論が目につくようになったということは、実体がそうではないということの、悲痛な反論のように見えてきてしまう。
まぁ、でも、そんな人にお勧めの一冊、ではなく、本書はケストナーの傑作として楽しく読んでほしいと思う、考察するのは、その後で良いのではないだろうか(そちらの方は簡単な問題ではないからね)?